roudoku iqunity

朗読のアナ 寺島尚正

Arts JA ↓ 306 episodes

100万再生突破!ありがとうございます。 ラジオアナウンサーは言葉を読み語る表現者。 文化放送から、四十年にわたってリスナーに語りかけている寺島尚正アナウンサーがさまざまな作品を朗読します。 その声が紡ぎ出す物語に耳をすませ、語りから無限に広がる想像力、日本語の奥深さをご堪能ください。  朗読のお仕事がございましたらお声かけください。

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Arts

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Jul 10, 2026

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Episodes

久保田万太郎 「角力」 08.04.2023

 久方ぶりに大相撲の見物に行った久保田万太郎は、かつての相撲にあった趣が失われている様をしみじみと実感します。東京に残っていた江戸の暮らしは、関東大震災(大正12)を境に失われたといわれます。昭和の初めになると、震災からの復興とともに町の近代化が加速し、映画やラジオ放送といった娯楽を通して、新しい生活様式が広まりました。万太郎が角力見物に行ったのはその頃です。古いものを失いつつある大相撲が、当時は最...

太宰治 「黄金風景」 05.04.2023

 太宰治は昭和10年、26歳の夏に千葉県船橋へ転居します。盲腸炎をこじらせ鎮痛剤中毒になっており、その静養のためでした。地方の名家に生まれ育ち、自尊心の高かった若き太宰にとっては失意からの回復の日々だったと思われます。近所から頂いて庭に植えた夾竹桃は、この作品のみならず太宰の関連作にたびたび登場します。夾竹桃の花が咲くのは夏で、今も船橋市民ホールの前庭に残っているそうです。 It is a recitation read...

海野十三 「最小人間の怪―人類のあとを継ぐもの」 03.04.2023

 博士は冬の霧島山中で、自分たちは次の人類であるという生き物に出会いました。しかし、その記憶は途中で途切れ、どのように別れたのかは曖昧なまま終わっていたのですが、その後なんとも不思議な邂逅をします。昭和の子供たちの胸躍らせた海野十三らしい、不思議や不気味が入り混じり独特の味わいを生み出している短編です。

高見順 「かなしみ」 01.04.2023

 主役は無垢な赤ん坊です。高見順は乗り合わせた汽車の中で起きている些細な出来事と、それを見ている自らの心境を丹念(饒舌)に描きます。日常の現実を見つめたこの短編は、現在の多くの私小説に通ずるところがあり、受け止めやすいように思われます。 It is a recitation read in beautiful Japanese with correct pronunciation. I want you to listen to masterpieces of Japanese literature.

正宗白鳥 「花より団子」 29.03.2023

 桜にまつわる少年期の奇行を追想する随筆ですが、そこには正宗白鳥が文学の啓示をうけた経験が重ねられています。当たり前の作文を当たり前に書いていた少年が、題材に与えられた桜の美しさや見事さに胸打たれ、今までのように紋切り型の文章を書けなくなります。素朴な内容なのに、読むほどに考えさせられる楽しい短編です。 It is a recitation read in beautiful Japanese with correct pronunciation. I want you to listen...

北条民雄 「いのちの初夜」 18.03.2023

 ハンセン病となった作者が生きることを問いなおすこの作品は、生きづらさを感じる人が増えている時代に再評価されています。再刊され、「100分de名著」でも取り上げられました。視聴前のお断りとして、この病気がらい病と呼ばれていた時代の患者たちの状況が生々しく描かれているため、グロテスクに受け止める方がいるかもしれません。しかし、自分が何者でなぜ生きるのかを切実に問いなおす契機となった、この病のありようを...

芥川龍之介 「死後」 22.02.2023

 或る夜、僕は自分が死んだ後の夢を見ます。自分が死んだことに対する友人の反応や、思わぬ相手と再婚していた妻の反応…。それは現実の世界で僕が気づいていない、周囲の本音や真実のようにも思えてきます。僕は自分のいないもう一つの世界をのぞき込む不思議な感覚を味わいます。芥川が自殺する2年前に書かれ、掌編ですが研究者からも注目されている作品です。 It is a beautiful recitation read with correct Japanese pronun...

谷﨑潤一郎 「刺青」 18.02.2023

 谷崎は数多いる日本の小説家のなかでも、世界、特に英語圏で多大な人気を誇り、作品と評論の数も他を圧するものがあると言われます。その偉大なる谷﨑が小説の世界に踏み出す第一歩となった作品が「刺青」です。日本人としては、ぜひとも知っておきたい作品です。 It is a beautiful recitation read with correct Japanese pronunciation. This program is reading masterpieces of modern Japanese literature.

国木田独歩 「少年の悲哀」 16.02.2023

 少年の悲哀=こどものかなしみ。江戸時代の末から大正にかけて、東南アジアに売られていった「からゆきさん」とよばれる貧しい農村や漁村の娘たちがいました。恵まれた家庭に育った主人公が、幼い頃にふとした成り行きで、売られていく一人の女と出逢った時のことを追想します。合間に描かれた故郷の風景描写が作品の叙情を豊かに膨らませ、女の置かれた状況と見事なコントラストを作りだします。少年は人にいざなわれて、その二...

永井荷風 「或夜」 09.02.2023

 穏やかで幸せに暮らしているが、自分の居場所が見付けられない若い娘は、ときどきなんの目的もなく街をぶらつきます。戦後の混乱もやや落ち着きはじめた頃に郊外の街で暮らす若い女性のありようが、荷風らしい視点で描かれます。思いもよらぬ状況に置かれて、内に秘めていた好奇心や欲望が疼きだし、そして…。

山川方夫 「非情な男」 07.02.2023

 その存在に嫌悪感を抱いた男は、どんな冷たい仕打ちをあたえてやろうかと想像します。戦後に推理ミステリーは娯楽大衆小説の人気ジャンルになりました。そして技法や手法の応用が活発に試されました。これは純文学と推理小説の両方に取り組んだ山川が、叙述トリックを用いた実験的な作品です。奇妙で不可思議な味わいがあります。

菊池寛 「新今昔物語 弁財天の使」 04.02.2023

 鰯の頭も信心から、信じる者は救われる・・・かつて科学的や合理的な考え方よりも、人知を超えた力に恐れを感じすがることを救いとしていた時代には、人の心が思わぬ揺れ動き方をしたようです。傍から見れば信じがたい話も、心が不安定な時にはすぅっと入り込んできるようです。そんな人間の可笑しみを救い上げた作品です。今昔物語のなかの一編を題材に菊池寛が仕上げました。もしかすると科学の時代となって久しい今でも人間の...

与謝野晶子 「台風」 02.02.2023

 大嵐が近づいている予報を聞いて、与謝野晶子はその頃に使われ始めた台風という言葉と、昔ながらの野分の違いを考え始めます。そこからヨーロッパで行われている戦争に世界大戦(第一次)を予感し、その地で活動している芸術家たちのことに思いをはせます。訪れる大きな嵐とともに、忍び寄ってくる不穏なものを感じながらも、家族の日常は続いていくのです。何度か繰り返されてきた戦前の雰囲気を、家庭のなかから伝えている随筆...

岡本綺堂 「半七捕物帳 仮面」 27.01.2023

 道具屋の店先に飾られていた能の仮面(めん)に、事情と欲と思惑が絡んで事件になります。半七親分が、そこに絡んだ人たちの仮面をはがしていくと、見立てとは違った、事件の素の顔が明らかになります。推理ものの定石を逆手に取って、そうはうまく出来ていないのが現実といっているような作品です。

国木田独歩 「非凡なる凡人」 25.01.2023

 選ばれた才能や出自を持たぬ多くの凡人の一人であっても、尊敬に値する過ごし方をしている人がいます。一人の友人が、西洋の偉人の成功譚を読んで、なにを学び実践したのかが語られます。誰にでもできることを続けている友人は、大きな富や名声を得たわけではありませんが、主人公にとって心から尊敬しうる存在です。チートがもてはやされる風潮が続く時代に、真っすぐに生きる清々しさをあらためて思い出させてくれます。

太宰治 「新釈諸国噺 裸川」 22.01.2023

 この「新釈諸国物語」は、太宰治が尊敬する井原西鶴の作品を翻案したもので、戦時中に執筆し発表された作品です。作品検閲が厳しい戦時下の状況と折り合いをつけながら、太宰らしい批判精神を巧妙に埋め込んでいるとも言われます。「裸川」はもっともらしい建て前を振り回す侍と、いいように使われる人足のやり取りが滑稽に描かれます。体制の建て前に対抗する人足の考えを、最後まで小賢しい知恵のように描きながらも、鵜呑みに...

正宗白鳥 「奇怪な客」 16.01.2023

 その客は確かにホテルに泊まっているのに、ホテルにいる誰にも姿をみせません。そんな話から、正宗白鳥は人の不思議や奇怪について思いを巡らせていきます。権威ある批評家であった正宗ですが、つむじまがりで喧嘩の逸話も多く残しています。ニヒリストでどこか人生を冷ややかに見ているような正宗の、人生観や人間観の一片がうかがい知れる作品です。

葛西善蔵 「おせい」 15.01.2023

 実話をもとにした私小説です。葛西善蔵は、踏み倒して逃げた借金を取りに来た二十歳の娘と同棲するようになります。作家として身を立てるほどの稼ぎもなく、かといって働かず、病弱で、女性にもだらしない、絵にかいたような破滅型の作家でした。その処し方は、自らを偽ることのない芸術への献身と受け取られることもあれば、不道徳と強く非難されたりもしました。しかし作品にふれ葛西善蔵に対して、書かれて百年以上をも経た今...

山本周五郎 「死處」 12.01.2023

 「死處」は昭和16年に執筆されたのち未発表のまま保管され、77年ののちに発見された短編小説です。徳川家康の最大の敗戦といわれる三方ヶ原の戦いを題材としています。敗北濃厚な戦いで家康の家臣たちは誰もが先陣を切りたがりましたが、夏目は留守城の守りを買って出て周囲から謗られます。名より実の働きを心に秘めて状況を見極めていた夏目は、絶対説明の場面で家康を救い、味方を守るために討ち死にします。 To everyone lea...

芥川龍之介 「蜜柑」 01.01.2023

 不機嫌な主人公は乗った汽車の中での出会いで、ますます不機嫌になって行きます。しかしそれから起きた出来事が、主人公の不機嫌を一転させます。文学は日本近代文化の華で、芥川はそのトップランナーでした。細やかな心の移りかわりの描写も素晴らしいですが、文学のライバルとして映画が登場した時代に、視覚描写の鮮やかさでも新しい存在だったと実感します。 It is a beautiful recitation read with correct Japanese pronu...

森鴎外 「高瀬舟」 23.12.2022

 高瀬舟は、江戸時代の京都奉行所の与力が残した随筆集を元にして書かれた小説です。船の上での会話という限られた設定のなかで、安楽死の問題、人間の欲について、そして貧困層を生む社会の歪みなど、深いテーマが入り組んで展開します。また情景の静寂と、緊迫した死の場面で鮮やかなコントラストを印象付ける鷗外の筆致の素晴らしさにもうたれます。不朽の名作です。 It is a beautiful recitation read with correct Japanese...

宮沢賢治 「革トランク」 20.12.2022

 宮沢賢治の発表されている作品のほとんどは、亡くなった後に残された革トランクに詰め込まれていたものです。のちの世から見れば革トランクは賢治にとって特別なものだったように思えます。その革トランクを題材に、賢治はナンセンスギャグをちりばめたユニークな作品を残しました。地方の坊ちゃんが自分の冒したとんでもないヘマを直視できず、都会に逃げていきます。そんな坊ちゃんが里帰りします。賢治の違う一面が見られる作...

NYの新聞社説 「サンタクロースはいるのでしょうか?」 16.12.2022

 1897年9月21日に大衆向け新聞「ザ・サン」(ニューヨーク・サン)に掲載された社説欄です。8歳の少女から寄せられた質問に記者のフランシス・チャーチが答えました。この社説の反響は大きく長く続き、1920年代には読者の要望に応えて、クリスマスの時期になると繰り返し掲載されるようになったそうです。そして今でもクリスマスが近づくと、世界中でとりあげられています。

北条民雄 「すみれ」 15.12.2022

 人里離れた山奥で暮らしている老人は、妻を亡くして3年が経ち、つくづく孤独な暮らしに嫌気がさして、息子の住む町に移り住むことを考えます。老人の孤独を癒すものはどこにあるのでしょうか。作者の北条民雄は病魔と戦いながら文学と向き合いましたが、作品は深い苦悩を抱えながらも、健やかな心で生き命をつくす心を感じさせます。

直木三十五 「大岡越前の独立」 10.12.2022

 名奉行の誉れ高い大岡越前が、「政治の思惑」と「真実」と「法の執行者としての在り方」の3つが相反する難題をさばきます。さすがの立ち回りともいえますが、清濁併せ呑むこのやり方に、現代人は違和感も感じるかもしれません。それも含めて日本の官僚組織に古くから根付いた価値観がみてとれ、今にも通じていて興味深くもあります。時代小説を高めたと言われる直木三十五の作品です。

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