roudoku iqunity

朗読のアナ 寺島尚正

Arts JA ↓ 316 episodes

100万再生突破!ありがとうございます。 ラジオアナウンサーは言葉を読み語る表現者。 文化放送から、四十年にわたってリスナーに語りかけている寺島尚正アナウンサーがさまざまな作品を朗読します。 その声が紡ぎ出す物語に耳をすませ、語りから無限に広がる想像力、日本語の奥深さをご堪能ください。  朗読のお仕事がございましたらお声かけください。

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Oct 10, 2026

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Episodes

芥川龍之介 「猿蟹合戦」 10.05.2023

 昔話のさるかに合戦は、サルに騙されたうえに、柿をぶつけられて死んだしまったカニの子供たちが、サルに敵討ちをするお話です。これを事件としてとらえた芥川が書いた後日談です。近代化によって変化した日本の価値観、感情に流される社会の大衆化、かつてはあっ晴れといわれたカニの仇討ちの価値もまったく違うものになってしまいました。

森鴎外 「じいさんばあさん」 06.05.2023

 仲の良い老夫婦は、若き頃のとある事件で離れ離れに生きてきました。森鴎外が53歳の時に発表した短編小説です。家庭を持ち仕事に励む人生の充実期が、二人にとって空白の時間になってしまいました。鴎外は、一般的には生きる価値と見られているものを失った老夫婦の人生を成熟した視点で見つめます。

梶井基次郎 「檸檬」 29.04.2023

 梶井基次郎が学生(三高/京大)時代の体験をもとに書き、日本の近代文学のなかでも屈指の名作といわれています。得体のしれない不安感のなかに登場する檸檬の鮮やかさが、作品に独特のムードを生み出します。檸檬の重さや色彩の美しさ、そして主人公のとった行動の意味については百人百様の解釈があります。読者一人一人に「私なりの檸檬」を考えさせるところが、長く愛されている理由かも知れません。

芥川龍之介 「杜子春」 23.04.2023

 芥川のなかでも有名な作品で、教科書で読まれた方も多いと思いますが、大人になると意外に話の筋を忘れていたりもします。教訓的な内容にみえて、杜子春と仙人とのやりとりや展開がとても面白く、あらためて触れても十分に楽しめるお話です。 To everyone learning Japanese. This is a masterpiece of modern Japanese literature read in Japanese with correct pronunciation. Ryunosuke Akutagawa.

和辻哲郎 「土下座」 23.04.2023

 和辻哲郎は哲学者、戦前のベストセラーで今も読まれ続けている「古寺巡礼」の著者としても有名です。この作品では、実利的な考え方をする主人公が、古い風習に従って形式的な行動をしてみたところ、それまで気づかなかった内なるものを発見します。西洋哲学を出発点とした和辻が、日本思想史と融合していく過程を思わせる短編です。 To everyone learning Japanese. This is a masterpiece of modern Japanese literature read i...

野村胡堂 「猟色の果」 17.04.2023

 馬に食わせたいほど金を持っているという若主人は、これまで好き放題に女と結びつき、飽いては捨てるを繰り返してきました。そんな若主人の身に不気味な出来事が起こります。銭形平次を生んだ作家の野村胡堂が持つもう一つの顔、伝奇幻想小説の名手としての胡堂に触れることができます。

坂口安吾 「私は海を抱きしめていたい」 15.04.2023

 自分を諦めた男は、一緒にいる頭の悪いうぬぼれ屋で貞操観念のない女だけが、自分を安心させると言います。諦観し生きている二人は、離れられず一緒にいますが、その関係はとても虚無的です。女とともに鬱々とした日々を送る男は、荒れた海を見たときに、自らが望んでいるものがそこにあるように感じます。いかにも坂口安吾らしい短編です。

片山廣子 「或る国のこよみ」 13.04.2023

 片山廣子は歌人および随筆家で、松村みね子名義でアイルランド文学翻訳家としても活躍しました。芥川龍之介は「或る阿呆の一生」のなかでその才気の高さに触れ、堀辰雄の小説に登場する女性のモデルにもなっています。75歳で唯一の随筆集「燈火節」を刊行し、一人残された晩年の心境を描いたこの作品は、今でも高く評価されています。その中の一篇です。

酒井嘉七  「スタディオ・マーダー・ケース 撮影所殺人事件」 10.04.2023

 アメリカ帰りの映画のエキストラが撮影中に殺人を犯して逃げます。しかし誰が誰で誰を殺したのか、進んでいくうちに入り組んでわからなくなってしまう不思議な作品です。戦前に先鋭的な作品を残した作者の酒井嘉七は、経歴が判明したのが没後半世紀を経てからということもあり、幻の本格派探偵作家といわれていました。上質で先進的な娯楽雑誌であった「新青年」でデビューしただけあって、当時のハイカラな香り漂う作品です。

山本周五郎 「砂と柘榴」(「青べか物語」より) 09.04.2023

 当時は辺鄙な漁村であった浦安に、失意を抱え移り住んだ若き日の山本周五郎は、その地の暮らしを題材に出世作となる連作短編集「青べか物語」を執筆します。そこに収められている短編です。商家の跡取り息子は、都会から娶った妻と折り合えず別れたため、近隣で猥雑な噂話の的となります。やりなおすことになったその息子は、より猥雑な話でその噂に対抗します。田舎町に住む人々の人情と背中合わせの口さがなさは、日本が激変し...

久保田万太郎 「角力」 08.04.2023

 久方ぶりに大相撲の見物に行った久保田万太郎は、かつての相撲にあった趣が失われている様をしみじみと実感します。東京に残っていた江戸の暮らしは、関東大震災(大正12)を境に失われたといわれます。昭和の初めになると、震災からの復興とともに町の近代化が加速し、映画やラジオ放送といった娯楽を通して、新しい生活様式が広まりました。万太郎が角力見物に行ったのはその頃です。古いものを失いつつある大相撲が、当時は最...

太宰治 「黄金風景」 05.04.2023

 太宰治は昭和10年、26歳の夏に千葉県船橋へ転居します。盲腸炎をこじらせ鎮痛剤中毒になっており、その静養のためでした。地方の名家に生まれ育ち、自尊心の高かった若き太宰にとっては失意からの回復の日々だったと思われます。近所から頂いて庭に植えた夾竹桃は、この作品のみならず太宰の関連作にたびたび登場します。夾竹桃の花が咲くのは夏で、今も船橋市民ホールの前庭に残っているそうです。 It is a recitation read...

海野十三 「最小人間の怪―人類のあとを継ぐもの」 03.04.2023

 博士は冬の霧島山中で、自分たちは次の人類であるという生き物に出会いました。しかし、その記憶は途中で途切れ、どのように別れたのかは曖昧なまま終わっていたのですが、その後なんとも不思議な邂逅をします。昭和の子供たちの胸躍らせた海野十三らしい、不思議や不気味が入り混じり独特の味わいを生み出している短編です。

高見順 「かなしみ」 01.04.2023

 主役は無垢な赤ん坊です。高見順は乗り合わせた汽車の中で起きている些細な出来事と、それを見ている自らの心境を丹念(饒舌)に描きます。日常の現実を見つめたこの短編は、現在の多くの私小説に通ずるところがあり、受け止めやすいように思われます。 It is a recitation read in beautiful Japanese with correct pronunciation. I want you to listen to masterpieces of Japanese literature.

正宗白鳥 「花より団子」 29.03.2023

 桜にまつわる少年期の奇行を追想する随筆ですが、そこには正宗白鳥が文学の啓示をうけた経験が重ねられています。当たり前の作文を当たり前に書いていた少年が、題材に与えられた桜の美しさや見事さに胸打たれ、今までのように紋切り型の文章を書けなくなります。素朴な内容なのに、読むほどに考えさせられる楽しい短編です。 It is a recitation read in beautiful Japanese with correct pronunciation. I want you to listen...

北条民雄 「いのちの初夜」 18.03.2023

 ハンセン病となった作者が生きることを問いなおすこの作品は、生きづらさを感じる人が増えている時代に再評価されています。再刊され、「100分de名著」でも取り上げられました。視聴前のお断りとして、この病気がらい病と呼ばれていた時代の患者たちの状況が生々しく描かれているため、グロテスクに受け止める方がいるかもしれません。しかし、自分が何者でなぜ生きるのかを切実に問いなおす契機となった、この病のありようを...

芥川龍之介 「死後」 22.02.2023

 或る夜、僕は自分が死んだ後の夢を見ます。自分が死んだことに対する友人の反応や、思わぬ相手と再婚していた妻の反応…。それは現実の世界で僕が気づいていない、周囲の本音や真実のようにも思えてきます。僕は自分のいないもう一つの世界をのぞき込む不思議な感覚を味わいます。芥川が自殺する2年前に書かれ、掌編ですが研究者からも注目されている作品です。 It is a beautiful recitation read with correct Japanese pronun...

谷﨑潤一郎 「刺青」 18.02.2023

 谷崎は数多いる日本の小説家のなかでも、世界、特に英語圏で多大な人気を誇り、作品と評論の数も他を圧するものがあると言われます。その偉大なる谷﨑が小説の世界に踏み出す第一歩となった作品が「刺青」です。日本人としては、ぜひとも知っておきたい作品です。 It is a beautiful recitation read with correct Japanese pronunciation. This program is reading masterpieces of modern Japanese literature.

国木田独歩 「少年の悲哀」 16.02.2023

 少年の悲哀=こどものかなしみ。江戸時代の末から大正にかけて、東南アジアに売られていった「からゆきさん」とよばれる貧しい農村や漁村の娘たちがいました。恵まれた家庭に育った主人公が、幼い頃にふとした成り行きで、売られていく一人の女と出逢った時のことを追想します。合間に描かれた故郷の風景描写が作品の叙情を豊かに膨らませ、女の置かれた状況と見事なコントラストを作りだします。少年は人にいざなわれて、その二...

永井荷風 「或夜」 09.02.2023

 穏やかで幸せに暮らしているが、自分の居場所が見付けられない若い娘は、ときどきなんの目的もなく街をぶらつきます。戦後の混乱もやや落ち着きはじめた頃に郊外の街で暮らす若い女性のありようが、荷風らしい視点で描かれます。思いもよらぬ状況に置かれて、内に秘めていた好奇心や欲望が疼きだし、そして…。

山川方夫 「非情な男」 07.02.2023

 その存在に嫌悪感を抱いた男は、どんな冷たい仕打ちをあたえてやろうかと想像します。戦後に推理ミステリーは娯楽大衆小説の人気ジャンルになりました。そして技法や手法の応用が活発に試されました。これは純文学と推理小説の両方に取り組んだ山川が、叙述トリックを用いた実験的な作品です。奇妙で不可思議な味わいがあります。

菊池寛 「新今昔物語 弁財天の使」 04.02.2023

 鰯の頭も信心から、信じる者は救われる・・・かつて科学的や合理的な考え方よりも、人知を超えた力に恐れを感じすがることを救いとしていた時代には、人の心が思わぬ揺れ動き方をしたようです。傍から見れば信じがたい話も、心が不安定な時にはすぅっと入り込んできるようです。そんな人間の可笑しみを救い上げた作品です。今昔物語のなかの一編を題材に菊池寛が仕上げました。もしかすると科学の時代となって久しい今でも人間の...

与謝野晶子 「台風」 02.02.2023

 大嵐が近づいている予報を聞いて、与謝野晶子はその頃に使われ始めた台風という言葉と、昔ながらの野分の違いを考え始めます。そこからヨーロッパで行われている戦争に世界大戦(第一次)を予感し、その地で活動している芸術家たちのことに思いをはせます。訪れる大きな嵐とともに、忍び寄ってくる不穏なものを感じながらも、家族の日常は続いていくのです。何度か繰り返されてきた戦前の雰囲気を、家庭のなかから伝えている随筆...

岡本綺堂 「半七捕物帳 仮面」 27.01.2023

 道具屋の店先に飾られていた能の仮面(めん)に、事情と欲と思惑が絡んで事件になります。半七親分が、そこに絡んだ人たちの仮面をはがしていくと、見立てとは違った、事件の素の顔が明らかになります。推理ものの定石を逆手に取って、そうはうまく出来ていないのが現実といっているような作品です。

国木田独歩 「非凡なる凡人」 25.01.2023

 選ばれた才能や出自を持たぬ多くの凡人の一人であっても、尊敬に値する過ごし方をしている人がいます。一人の友人が、西洋の偉人の成功譚を読んで、なにを学び実践したのかが語られます。誰にでもできることを続けている友人は、大きな富や名声を得たわけではありませんが、主人公にとって心から尊敬しうる存在です。チートがもてはやされる風潮が続く時代に、真っすぐに生きる清々しさをあらためて思い出させてくれます。

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