聴く文学ゼミ

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Arts JA ↓ 172 episodes

“名前は知ってるけど読んでない”文豪の名作を、ミナ&文哉の2人がやさしく解説する対談番組。あらすじ・時代背景・読みどころをネタバレ控えめで。原作は青空文庫を使用しています。

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Oct 18, 2026

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【朗読】行人|妻の心が読めない夫の孤独――漱石が晩年に抉った「他者とわかり合えない恐怖」 18.10.2026

夏目漱石の長編小説『行人』は、1912〜13年に発表された後期三部作の一作。 主人公の弟・二郎の目を通して、秀才の兄・一郎が「妻の心が分からない」という恐怖に蝕まれていく姿を描く。 「他者の心は永遠に理解できないのか」「結婚とは何か」「知性は人を幸福にするのか」——100年以上前の問いが、現代を生きる私たちの胸にもまっすぐ刺さる。 漱石の実人生における孤独な家庭環境が、そのまま作品の暗さと深さに溶け込んだ傑作。...

【朗読】土神ときつね|嫉妬が神を壊す日、ポケットに残ったものとは 17.10.2026

宮沢賢治の短編『土神ときつね』は、一本の樺の木をめぐる土神と狐の、切なくも残酷な三角関係を描いた物語です。 上品でウィットに富んだ狐、乱暴だけど一途な土神——樺の木はどちらに惹かれているのか。 嫉妬に燃えた神がついに取り返しのつかない行動をとったとき、その狐のポケットから出てきたものとは。 賢治が生涯抱えた孤独や純粋さへの憧れが凝縮された、知る人ぞ知る傑作です。 結末まで丁寧に読み解き、この物語があなた...

【朗読】グッド・バイ|太宰が死の直前に書いた「未完の傑作」その結末とは 16.10.2026

太宰治の絶筆《グッド・バイ》は、1948年に連載途中のまま作者の死によって永遠に未完となった異色の喜劇です。 愛人を十人近く抱えた編集者・田島が「別れを告げる旅」に出るために、闇市で見つけた怪力の絶世の美人・キヌ子を「偽の女房」として雇う——という抱腹絶倒の設定。 しかし笑えば笑うほど、どこか切なくなる。 戦後の混乱期を生きた人間の滑稽さと悲しさが、太宰らしい軽妙な文体でスパークする一作。 この番組では、結...

【朗読】六の宮の姫君|極楽も地獄も知らぬ女——芥川が書いた、最も静かな絶望 15.10.2026

芥川龍之介の晩年作『六の宮の姫君』は、没落した平安貴族の姫が、愛でもなく希望でもなく、ただ「なりゆきに任せる」まま死んでいく物語です。 極楽往生を願う声が上がる中、姫の口から出た最後の言葉は「暗い中に風ばかり」——救われたのか、救われなかったのか、芥川は答えを明かしません。 わずか数千字の短編に、人間の受動性・宿命・信仰の限界が静かに刻まれています。 今回の聴く文学ゼミでは、あらすじを結末まで丁寧に解...

【朗読】カズイスチカ|森鴎外が描く「父と息子」と三つの奇妙な診察の記録 13.10.2026

森鴎外の短篇『カズイスチカ』は、医学士・花房が父の診療所で代診をした頃の、三つの不思議な診察エピソードを軽妙に綴った異色作です。 「落架風」「一枚板」「生理的腫瘍」——どれも教科書的な名前とは裏腹に、人間の体と生活が滲み出す場面ばかり。 軍医・小説家として知られる鴎外が、医師としての経験と観察眼をそっと忍ばせた、小粋で読みやすい一篇です。 父の「全幅の精神」と息子の「どこかにあるはずの何か」という対比...

【朗読】牛をつないだ椿の木|菓子を断ち続けた男が戦場へ散った理由 12.10.2026

新美南吉の短編『牛をつないだ椿の木』は、山道のかたわらに立つ一本の椿と、そこに井戸を掘ろうとした人力車引き・海蔵さんの物語です。 お金持ちに頼んで断られ、通行人の寄付も集まらず、それでも諦めない海蔵さんがとった行動とは——毎日の菓子代を一銭ずつ貯めること。 そして頑固な地主との対話の末に生まれた、思いがけない結末。 「ごんぎつね」で知られる南吉が、利他と自己犠牲のテーマをユーモアと温かみで包んだ傑作で...

【朗読】硝子戸の中|漱石が最後に書いた「日常」——そこに滲む死と生の問い 11.10.2026

夏目漱石の随筆集『硝子戸の中』は、大正4年(1915年)に朝日新聞に連載された、漱石晩年の作品。 書斎の硝子戸越しに外を眺めながら、風邪で引きこもる漱石が、訪ねてくる人々・亡くなった犬・幼少期の記憶・死への考察をゆったりと綴る。 笑えるエピソードあり、胸を締めつける告白あり——派手な事件は何も起きないのに、読み終えると「生きるとはなにか」を深く問われた気分になる。 漱石の死の翌年に書籍化されたこの作品を、二...

【朗読】鹿踊りのはじまり|鹿が方言で会話する!?幻想と笑いの奇跡の短編 10.10.2026

宮沢賢治の短編『鹿踊りのはじまり』は、山へ湯治に向かう農夫・嘉十が、すすきの野原でこっそり目撃した「鹿たちの不思議な踊り」を描いた幻想的な物語です。 手拭いひとつを前に、おっかなびっくり近づいては逃げ帰る鹿たち——その会話がなんと東北の方言でユーモラスに描かれ、読む者の顔に自然と笑みが浮かびます。 やがて鹿たちは太陽に向かって一列に並び、詩のような歌を詠みはじめる。 その静謐で美しい場面との落差こそが...

【朗読】燈籠|万引きした女の子の告白——悪人なのに、なぜこんなに美しい? 09.10.2026

太宰治の短編『燈籠(とうろう)』は、万引きで捕まった24歳の女性・さき子が、神様に語りかけるように自分の身の上を告白する物語です。 貧しい下駄屋の一人娘、出自の複雑な家庭、年下の孤独な青年への恋心——そして衝動的な盗み。 彼女は悪人なのか、それとも? 交番での狂ったような独白、冷たい青年からの手紙、そして電球ひとつで輝く親子三人の夜。 読み終えたとき、タイトル「燈籠」の意味がじんわりと光を放ちます。 太宰...

【朗読】お富の貞操|猫一匹のために体を差し出した女の、驚くべき20年後 08.10.2026

芥川龍之介の短編小説『お富の貞操』は、明治元年・上野戦争前夜という極限状況を舞台に、一人の若い女中が「たった一匹の猫」をめぐって下す、驚くべき決断を描いた作品です。 乞食姿の謎めいた男・新公と、肝の据わった女中・お富。 短銃が突きつけられ、剃刀が抜かれ、二人の奇妙な攻防が暗い台所で繰り広げられます。 お富はなぜあの行動をとったのか。 新公はなぜ最後に引いたのか。 そして22年後、華やかな博覧会の人ごみで...

【朗読】うたかたの記|王が溺死した夜、もう一人が消えた理由を知っていますか 07.10.2026

森鴎外の初期短編『うたかたの記』は、1886年のミュンヘンを舞台に、日本人画家・巨勢とバイエルン王国の国王ルートヴィヒ2世の実際の溺死事件を絡めた、幻のように美しく悲しい恋愛悲劇です。 謎めいた少女マリイは何者なのか。 彼女の壮絶な過去と、画家との束の間の邦愛が交錯するなか、歴史的事件の夜、二つの命が湖に消えていきます。 鴎外がドイツ留学中に実際に体験した空気を纏った、文明開化期の日本人が書いた異国情緒あ...

【朗読】花のき村と盗人たち|盗人が泣いた理由——新美南吉が描く「信じられること」の奇跡 05.10.2026

新美南吉の童話『花のき村と盗人たち』は、「ごんぎつね」の作者が遺した、あたたかくて少し不思議な物語です。 五人組の盗人が平和な花のき村に忍び込むのですが、弟子たちはそれぞれの昔の仕事の癖が抜けず、なかなか盗人らしく動けない。 そしてかしらは、たった一人の無邪気な子供に仔牛を預けられただけで、ぼろぼろと涙を流してしまいます。 「人に信じてもらう」ということが、これほどまでに人の心を変えてしまうのか——読...

【朗読】思い出す事など|30分間「死んでいた」作家が綴る、生還の記録 04.10.2026

夏目漱石の随筆『思い出す事など』は、1910年(明治43年)に修善寺での大吐血という「臨死体験」から生還した漱石が、病床での思索・人との別れ・自然への眼差しを綴った全33章の記録です。 医師が「もう駄目だろう」とドイツ語で囁く傍らで、漱石は眼を開けて「子供に会いたくはありません」と言い放つ。 死の淵をくぐり抜けた男が、ドストエフスキー・ジェームズ教授・長与院長の死と自らの「生き残り」を重ね合わせながら、生と...

【朗読】ひかりの素足|宮沢賢治が描いた「死と愛」の彼岸——弟を抱いて雪に倒れた兄の話 03.10.2026

宮沢賢治の童話『ひかりの素足』は、雪山で遭難した兄弟が「うすあかりの国」へ迷い込む物語です。 兄・一郎が傷だらけの足で弟・楢夫をかばい続ける姿、鬼に追われながらも「私を代わりに打って下さい」と叫ぶ場面、そして光り輝く足の人物との邂逅——法華経の世界観を下敷きに、愛と罪と救済を描いた賢治ならではの作品です。 結末は静かで、しかし忘れがたい余韻を残します。 ほとんど語られることのないこの隠れ名作を、今回は...

【朗読】畜犬談|犬が大嫌いな男が犬を毒殺しようとした朝に起きたこと 02.10.2026

太宰治の短編『畜犬談』は、犬を心底恐れ、憎む男が、一匹の捨て犬と半年間ともに暮らすうちに、思いもよらぬ結末を迎える異色のユーモア小説です。 「犬は猛獣だ」と本気で信じる語り手が、犬に媚びへつらい、犬に好かれ、犬に翻弄されてゆく様子は抱腹絶倒。 しかしその笑いの底には、弱者への眼差し、自己嫌悪、そして芸術家としての本音が静かに沈んでいます。 太宰が甲府に疎開していた時期の実体験をもとに書かれたとされる...

【朗読】南京の基督|15歳の少女が出会った「奇跡」の正体とは 01.10.2026

芥川龍之介の短編『南京の基督』は、1920年(大正9年)に発表された異色の傑作です。 舞台は清朝末期の南京・秦淮河沿い。 15歳のカトリック信者の少女・宋金花は、父を養うために売春婦として働きながらも、キリストへの純粋な信仰を胸に生きています。 ある秋の夜、謎めいた外国人が彼女の部屋を訪れ、翌朝、長く患っていた病が消えていたことに気づいた金花は「あの人こそキリストだった」と確信します。 しかし読者には、その...

【朗読】普請中|乾杯の一言が明かす、二人の終わった関係 30.09.2026

森鴎外の短編小説『普請中』は、明治43年に発表された、わずか数十分の夕食を描いた作品です。 主人公の渡辺参事官は、工事中のホテルに、かつてドイツで愛した異国の女性を招いて食事をします。 彼女は今、別の男と旅をしている。 渡辺はそれを知っていて、動じない。 嫉妬も未練も、少なくとも表面には一切出さない。 そして宴の終わりに渡辺が放った一言が、この物語の核心です。 「日本はまだ普請中だ」という台詞が何を意味す...

【朗読】正坊とクロ|クマが少年を守った理由に涙が止まらない 29.09.2026

新美南吉の短編『正坊とクロ』は、小さなサーカス団で暮らす少年・正坊と、年老いたクマのクロが織りなす、純粋な絆の物語です。 クロが薬を飲まないとき、正坊だけが口を開かせることができた。 舞台の上で本気で少年を守ろうとしたクマの行動。 そしてサーカスが解散し、離ればなれになったあとの再会——。 童話と呼ぶにはあまりにも切なく、読み終えたあとにじわじわと胸に広がる温かさが、この作品の真骨頂です。 「ごんぎつね...

【朗読】永日小品|漱石が書いた「日常の奇妙な感触」——猫の墓から蛇の声まで 28.09.2026

夏目漱石の短篇集『永日小品』は、1909(明治42)年に発表された25篇からなる散文集。 元日の謡の失敗、泥棒に帯を盗まれた顛末、ロンドンの霧の中で迷子になる恐怖、死にゆく猫の孤独……漱石が日常のふとした瞬間に感じた「おかしさ」「哀しさ」「不思議さ」を、研ぎ澄まされた短い文章に閉じ込めた作品集です。 「吾輩は猫である」「坊っちゃん」とはまた違う、もっと個人的で、もっとひんやりした漱石の魅力が詰まっています。...

【朗読】いちょうの実|宮沢賢治が描く「旅立ちの朝」親子の別れに涙する理由 27.09.2026

宮沢賢治の短編童話『いちょうの実』は、秋の夜明け、一本のいちょうの木から千の実たちが巣立つ、たった数ページの奇跡のような作品です。 男の子たちは冒険を夢見て、女の子たちは別れを惜しんで泣き、母親の木は黄金の葉をすべて落として子どもたちを送り出す。 読んだあとに胸に残るのは、「旅立ち」という普遍的な経験の美しさと切なさ。 賢治が自然の中に隠した親子の愛と、子どもたちの無邪気な夢のぶつかり合いを、今回は...

【朗読】葉桜と魔笛|死の床の妹に届いた手紙の差出人、その正体と奇跡の真相 26.09.2026

太宰治の短編『葉桜と魔笛』は、死を目前にした妹と、彼女を支えようとした姉の、切なくも美しい物語です。 病床の妹のもとに届き続けた恋文。 差出人のM・Tとは誰なのか。 そしてある夕暮れ時、庭の葉桜の奥から聞こえてきた軍艦マーチの口笛の主は——神か、人か。 読み終えた後に胸に残る問いが、この短編の真骨頂です。 今回の対談では、あらすじ・結末から時代背景、太宰の知られざる家族観まで徹底解説。 聴き終えたあとにきっ...

【朗読】戯作三昧|馬琴が銭湯で悪口を聞いた日——芥川が描く「書く理由」の核心 25.09.2026

芥川龍之介の短編『戯作三昧』は、江戸後期の大作家・滝沢馬琴が天保二年のある一日に経験した出来事を描いた作品です。 銭湯で聞く悪口、しつこい版元との攻防、失敗した原稿への絶望——そして深夜、孫の一言をきっかけに訪れる創作の恍惚。 「お金にもならない」と妻に呆れられながら書き続ける老文豪の姿は、芥川が二十五歳で書いたとは思えないほどの深みを持っています。 「戯作三昧の心境」とは何か。 書くことへの誇りと苦し...

【朗読】じいさんばあさん|37年間待ち続けた夫婦の実話、森鴎外が描いた愛の正体 24.09.2026

森鴎外の短編小説『じいさんばあさん』は、37年という歳月を隔てて再会する武士夫婦の物語です。 文化六年の江戸、麻布に現れた白髪の老夫婦——近所の人々が「夫婦にしては遠慮しすぎている」と首をかしげるほど品格のある二人には、想像を絶する過去がありました。 一瞬の激情が引き起こした刃傷沙汰、37年に及ぶ離別、その間も夫の墓に香華を絶やさなかった妻。 実際に将軍から褒美を賜った史実をもとに、鴎外が静かに、しかし深...

【朗読】おじいさんのランプ|時代に負けた男が最後に選んだ、あまりにも美しい終わり方 23.09.2026

新美南吉の短編『おじいさんのランプ』は、明治期の農村を舞台に、ランプ売りの少年・巳之助が文明開化の波に翻弄されながらも、自分なりの誇りで時代を乗り越えようとする物語です。 孤児から叩き上げた商売人が、電気という新技術に全てを奪われそうになったとき、怒りと執念と涙のすえに選んだ「廃業の仕方」があまりにも鮮烈。 結末を知ってなお、池のほとりに灯る五十のランプの場面は、読む者の胸を打ちます。 童話作家とし...

【朗読】文鳥|漱石が文鳥を死なせた。犯人は誰か、あなたはどう読む? 22.09.2026

夏目漱石の短編『文鳥』は、一羽の小鳥をめぐる、静かで残酷な物語です。 弟子の鈴木三重吉に勧められ、文鳥を飼い始めた「自分」。 世話をするつもりが怠慢が重なり、ある日、文鳥は籠の底に冷たくなっていた。 怒りをぶつける先を探す「自分」の姿に、現代の私たちも身に覚えのある心理が透けて見えます。 美しい文体で描かれる小鳥の描写と、過去の恋の記憶が交錯する幻想的な読み心地も見どころ。 罪悪感と自己欺瞞を鋭くえぐ...

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