聴く文学ゼミ

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Arts JA ↓ 172 episodes

“名前は知ってるけど読んでない”文豪の名作を、ミナ&文哉の2人がやさしく解説する対談番組。あらすじ・時代背景・読みどころをネタバレ控えめで。原作は青空文庫を使用しています。

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Oct 18, 2026

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【朗読】どんぐりと山猫|「いちばんバカがえらい」賢治が子どもに仕掛けた哲学の罠 21.09.2026

宮沢賢治の童話『どんぐりと山猫』は、小学校の教科書にも載る親しみやすい一作でありながら、読み返すほどに不思議な余韻を残す問題作です。 ある土曜の夕方、少年・一郎のもとに山猫から「めんどうな裁判があるから来てほしい」という奇妙なはがきが届くところから物語は始まります。 翌朝、森を分け入った先で一郎が目にしたのは、「頭のとがった者がえらい」「丸い者がえらい」「大きい者がえらい」と言い合うどんぐりたちの大...

【朗読】トカトントン|何をやっても虚しくなる音の正体——太宰が戦後に書いた異色の傑作 20.09.2026

太宰治の短編小説『トカトントン』は、終戦直後の1947年に発表された、書簡形式の異色作です。 26歳の青年が太宰に宛てた手紙という体裁で物語は進みます。 「何かに感激しようとするたびに、どこからともなく金槌の音『トカトントン』が聞こえてくる」——その音が聞こえるたびに、熱意も恋心も社会運動への共鳴も、すべてが一瞬で白けて消えてしまう。 小説を書こうとしても、恋をしても、デモに感動しても、そして自殺を考えても—...

【朗読】歯車|死の直前に書かれた遺稿――視野を覆う半透明の歯車の正体とは 19.09.2026

芥川龍之介の遺作《歯車》は、1927年に自ら命を絶つ直前に書かれた未完の遺稿です。 主人公「僕」の視野に突如現れる半透明の歯車、至るところに現れるレインコートの男、「オオル・ライト」という謎の言葉、そして義兄の轢死――現実と妄想の境界が崩れていく恐怖を、芥川が自身の体験として書き残しました。 「誰か僕の眠っているうちにそっと絞め殺してくれるものはないか」という最後の一文で突然途切れるこの作品は、天才作家の...

【朗読】みだれ髪|明治の女が「やは肌」と詠んだ衝撃――与謝野晶子の恋と革命 18.09.2026

与謝野晶子の歌集『みだれ髪』(1901年)は、「やは肌のあつき血汐にふれも見でさびしからずや道を説く君」という一首に象徴される通り、女性が自らの肉体と恋愛感情を堂々と詠み上げた、明治文学史上最大の問題作です。 当時の社会通念を根底から覆したこの歌集は、発表と同時に「淫猥」「不道徳」と激しく批判される一方、若い世代の心を鷲掴みにし、近代短歌の扉を開きました。 今回は、晶子がどんな状況でこの歌集を書き、何を...

【朗読】あやかしの鼓|百年の呪いが三つの命を絡め取る夢野久作の怪作 17.09.2026

夢野久作の短編『あやかしの鼓』は、百年前の職人が作った一つの鼓をめぐって、三つの家系と六七人の命が絡み取られていく怪奇譚です。 語り手の音丸久弥は、先祖が失恋の魂を刻み込んで作ったとされる妖怪染みた鼓に憑かれ、謎めいた屋敷と美しい未亡人、そして七年間囚われ続けた青年と出会います。 「呪い」と「因縁」が、論理と偶然と人間の欲望とが奇妙に交差しながら転がりつづけ、最後には語り手自身が世間から「怪賊」と呼...

【朗読】嵐|母なき4人の子を育てた父の七年間、その静かな覚悟 15.09.2026

島崎藤村の短編小説『嵐』は、妻を早くに亡くした父が、四人の子供たちと七年間をともに過ごした日々を静かに振り返る自伝的な作品です。 借家探し、子供たちのけんか、成長の記録、病床の日々、そして長男・次郎の旅立ち——劇的な事件は何もないのに、読み終えるとなぜか胸に深いものが残る。 「家の内も、外も、嵐だ」と父がひとり呟く一言に、この七年のすべてが凝縮されています。 子育て・老い・自立・家族のかたちを、藤村独...

【朗読】ある女の生涯|夫の不貞・精神病院・孤独死——藤村が描いた「消された女」の真実 14.09.2026

島崎藤村の晩年作『ある女の生涯』は、夫の放蕩に翻弄され続けた老女・おげんの、人生の最後の数ヶ月を静かに、しかし容赦なく描いた物語です。 夫の不義から生まれた病、刃物を隠される日々、精神病院への強制入院、そして誰にも看取られない孤独死——。 これは単なる「不幸な女の話」ではなく、明治という時代に女性が声を上げることすら許されなかった構造そのものへの問いかけです。 藤村自身のスキャンダルと深く絡み合うこの...

【朗読】にごりえ|明治の銘酒屋女が抱えた絶望と、二つの棺が語る真実 13.09.2026

樋口一葉の傑作短編『にごりえ』は、明治中期の東京・新開地の銘酒屋を舞台に、一枚看板の娼婦お力と、彼女に狂わされた男・源七の破滅を描く物語です。 賑やかな店先の喧騒の裏に、お力が密かに抱える孤独と絶望、そして父から受け継いだ「気の狂い」。 源七の妻・お初の悲しみ、引き裂かれる家族。 物語の末尾、新開の町から出た「棺二つ」の謎が、読む者に問いかけます――愛とは何か、女の幸せとは何か、と。 わずか数千字の短編...

【朗読】十三夜|夫は鬼か、それとも——樋口一葉が描いた逃げられない女の一夜 13.09.2026

樋口一葉の短編小説『十三夜』は、明治26年発表の傑作です。 旧暦十三夜の夜、名家に嫁いだお関が突然実家に帰ってきます。 夫・原田勇の冷酷な仕打ちに耐えかね、離縁を願い出るために——。 しかし父の一言が、彼女の運命を静かに、しかし決定的に塗り替えていきます。 帰り道の車中で起きる「再会」は、読む者の胸を締めつけます。 女が声を上げることも、逃げることも許されなかった時代。 一葉自身も貧困と恋と才能の狭間で生き...

【朗読】大つごもり|お峯は本当に盗んだのか?一葉が描く貧困と正直の瀬戸際 12.09.2026

樋口一葉の短編小説『大つごもり』は、明治時代の大晦日を舞台に、女中・お峯が極限の選択を迫られる物語です。 病に倒れた伯父を支えるため、わずか二円の工面に奔走するお峯。 しかし信じていた女主人に裏切られ、追い詰められた彼女がとった行動とは——。 貧富の格差、奉公人の理不尽な立場、家族への愛情が交錯する緊張感あふれる一作です。 結末には、思いがけない「救済」が待っています。 一葉文学の真骨頂ともいえる、息を...

【朗読】麒麟|孔子が美女に負けた日――聖人を試した女の正体 12.09.2026

谷崎潤一郎の初期短編『麒麟』は、孔子が伝道の旅の途中、衛の国で絶世の美女・南子夫人と対峙する物語です。 聖人と悪女、徳と美、理想と欲望――相容れない二つの力がぶつかる息詰まる構図は、谷崎がデビュー間もない20代で書いたとは思えない完成度。 孔子が最後に残した「吾未見好徳如好色者也(徳を好むこと、色を好むが如くなる者を、いまだ見ざるなり)」という一言が、2500年後の現代にも重くのしかかります。 今回はあらす...

【朗読】吉野葛|谷崎潤一郎が吉野の山奥で追い求めた「母の面影」とは 11.09.2026

谷崎潤一郎の『吉野葛』は、南朝の秘史を題材にした歴史小説を書こうと吉野を旅した「私」と、亡き母の故郷を求めて同行する友人・津村の物語です。 大正期の吉野川沿いを舞台に、初音の鼓の伝説、国栖の手漉き紙の村、奥吉野の険しい渓谷が丁寧に描かれます。 そして旅の本当の目的が明らかになるとき、南朝ロマンと母恋いの情感が静かに重なり合います。 読み終えたあとに吉野の空気と、人が誰かを慕う気持ちのやさしさがじんわ...

【朗読】小僧の夢|16歳の天才小僧が催眠術師に堕ちていくまで 11.09.2026

谷崎潤一郎の初期作品『小僧の夢』は、銀座の洋酒店で働く16歳の庄太郎が主人公。 自分を天才芸術家の卵だと信じて疑わない少年が、盗みと飲酒を重ねながら、ある日浅草で出会ったロシア人女性催眠術師メリー嬢に魂ごと囚われていく。 芸術への渇望、境遇への怒り、美への耽溺——谷崎が後の傑作群で繰り返すテーマが、すでにこの一篇に凝縮されている。 自意識過剰な少年の独白と日記という形式が、読む者を奇妙な共感と居心地の悪...

【朗読】興津弥五右衛門の遺書|主君の死に殉じた男の遺書が問いかけるもの 10.09.2026

森鴎外の短編小説『興津弥五右衛門の遺書』は、江戸時代初期の武士・興津弥五右衛門が切腹前夜に書き残した遺書という形式で描かれた、息を呑む傑作です。 長崎での香木争奪、相役を斬り捨てるほどの主命への忠誠、そして主君の死後に殉じるまでの数十年──一人の武士の生涯が遺書の文体で淡々と綴られるとき、そこに浮かびあがるのは「忠義とは何か」「自分の死に意味を見出すとはどういうことか」という、今も色あせない問いです...

【朗読】雁|高利貸の妾と医学生——すれ違いのまま終わる、明治の純愛 10.09.2026

森鴎外の中編小説『雁』は、明治13年の東京を舞台に、高利貸の妾として無縁坂に囲われた女・お玉と、医学生・岡田のすれ違いの恋を描いた作品です。 窓越しの視線、蛇退治という偶然の接近、そして永遠に訪れなかった「その瞬間」——二人は言葉を交わす機会をついに逃したまま、物語は幕を閉じます。 なぜ想いは届かなかったのか。 お玉の聡明さと諦め、岡田の無自覚な残酷さ、時代が女性に課した檻。 100年以上前の物語なのに、読...

【朗読】大塩平八郎|元エリート役人はなぜ大阪を燃やしたのか?森鴎外が描く幕末の反乱 09.09.2026

森鴎外の歴史小説『大塩平八郎』は、天保八年(1837年)二月十九日、大阪で実際に起きた武装蜂起を緻密な史料考証をもとに再現した作品です。 主人公・大塩平八郎は元東町奉行所の与力という幕府側のエリート。 隠居後は私塾を開いた儒学者でもありました。 しかし連年の飢饉で民が苦しむ中、役人と富豪が私腹を肥やす現実に憤り、ついに門人・農民ら百余人を率いて大阪市中に火を放ちます。 わずか半日で鎮圧されながらも、三千軒...

【朗読】あそび|働きながら書き続けた文豪の「遊び」という生き方哲学 08.09.2026

森鴎外の短編小説『あそび』は、明治43年に発表された、ある一人の官僚文学者の「一日」を描いた作品です。 主人公・木村は、役所で淡々と書類をさばき、電車に揺られ、弁当を食う——その何気ない日常の裏側に、批評家への皮肉、世間への静かな反骨、そして「すべては遊びである」という深い人生哲学が透けて見えます。 鴎外自身の境遇を色濃く投影した本作は、「真剣に生きるとはどういうことか」を、声高に叫ばず、むしろ晴れやか...

【朗読】少女地獄|夢野久作が描いた「嘘しかつけない少女」の正体と哀しい末路 07.09.2026

夢野久作の短編集『少女地獄』は、昭和初期を舞台に「嘘をつき続けなければ生きられない少女たち」の心理を描いた怪奇文学の傑作です。 表題作「何んでも無い」では、天才的な看護婦でありながら根も葉もない嘘を吐き続ける姫草ユリ子が、自ら作り上げた虚構の地獄に落ちていく様を、医師からの告白書という形式で描きます。 続く「殺人リレー」「火星の女」も、それぞれ女車掌と女学生を主人公に、社会の底辺で生きる女性たちの絶...

【朗読】ドグラ・マグラ|読んだ人が「発狂する」と言われる日本最大の奇書、その真相 07.09.2026

夢野久作の長編小説『ドグラ・マグラ』(1935年)は、「読んだ者は必ず一度発狂する」という伝説を持つ日本三大奇書のひとつ。 精神病院の一室で目覚めた青年は、自分の名前すら思い出せない。 壁越しに聞こえる女の叫び声、謎めいた法医学教授、「胎児の夢」という怪論文、そして「狂人解放治療」の実験——すべてが繋がっているようで、何一つ確かめられない。 これは探偵小説なのか、学術論文なのか、それとも脳髄そのものが見せ...

【朗読】黒猫|壁の中から聞こえた声――罪を暴いたのは猫だった 06.09.2026

エドガー・アラン・ポーの怪奇短編『黒猫』は、愛猫を自ら殺した男が、そっくりな二匹目の猫に追い詰められ、ついには妻まで手にかけてしまう戦慄の告白録です。 死体を壁に塗り込め完全犯罪を確信した男を待ち受けていたのは、壁の中から響く一声でした。 「天邪鬼(あまのじゃく)」と呼ばれる自己破壊衝動、罪悪感と恐怖が人間を追い詰めていく過程を、ポーは一人称の独白という形式で容赦なく解剖します。 推理小説の父にして...

【朗読】鏡地獄|球体の鏡の中で彼は何を見て狂ったのか 06.09.2026

江戸川乱歩の短編『鏡地獄』は、鏡・レンズ・光学装置に異常な執着を持つ青年が、自ら設計した球体の鏡の中に入り、発狂して死に至るまでを描いた怪奇小説です。 幼少期のガラス玩具への偏愛から始まり、凹面鏡の魔術的な実験、人間の顔を部屋一杯に投影する幻灯装置、そして究極の「鏡の球体」へ。 彼は球の内側で何を見たのか——物語はその答えを永遠に明かしません。 SF的な光学トリックと、美への狂気的な耽溺が交差する、乱歩...

【朗読】怪人二十面相|正体不明の天才怪盗が名探偵に仕掛けた罠とは 05.09.2026

江戸川乱歩の代表作《怪人二十面相》は、1936年に発表された少年向け冒険小説の金字塔です。 二十の顔を持つ天才怪盗・二十面相と、名探偵・明智小五郎、そして少年助手・小林芳雄の息詰まる頭脳戦を描きます。 予告状を送ってから盗みを実行するという独特のスタイル、伝書バトを使った通信作戦、仏像に変装しての大逆転——子どもが主役として活躍する痛快な展開が、発表から90年近く経った今も読者を魅了し続けています。 「あの...

【朗読】黒蜥蜴|女賊vs名探偵、互いに惹かれ合う宿命の対決――乱歩が描いた「美と悪の美学」 05.09.2026

江戸川乱歩の長編『黒蜥蜴』は、宝石と美しい人間を「収集」する女賊・黒蜥蜴と、名探偵・明智小五郎の、息もつかせぬ頭脳戦を描いた傑作です。 クリスマスイヴの歓楽街から幕を開け、人間椅子トリックや塔上の取引、船上の密室と、舞台を次々と変えながら展開する物語。 悪役であるはずの黒蜥蜴があまりにも魅力的で、読み終えた後に「彼女が好きになってしまう」と感じる読者が続出します。 昭和初期という時代に、乱歩がなぜこ...

【朗読】夜行巡査|明治の巡査はなぜ命を捨てたのか?泉鏡花が問う「正義」の残酷さ 03.09.2026

泉鏡花の短篇小説『夜行巡査』は、明治二十七年の冬の夜、ひとりの巡査が繰り広げる一夜の物語です。 厳格すぎるほど職務に忠実な八田巡査は、老車夫を叱り、寒空の下で眠る母子を追い立てながら夜の町を巡回します。 しかしその裏には、報われぬ恋と、己の感情を押し殺して生きる男の孤独が潜んでいました。 物語は思いがけない展開を経て、「仁義」とは何か、「正義」とは何かを読む者に鋭く突きつけます。 発表は明治二十八年。...

【朗読】鬼桃太郎|桃太郎に復讐しようとした鬼の末路が笑えて切ない 03.09.2026

尾崎紅葉の短編『鬼桃太郎』は、あの有名な昔話を「鬼の側から」描いた明治時代の痛快パロディ文学です。 桃太郎に島を荒らされた鬼たちが、苦桃太郎という新たな英雄を生み出して復讐に乗り出す——はずが、事態はどんどんとんでもない方向へ転がっていきます。 笑えるのに、どこかペーソスが漂う。 「負けた側」の怒りと悲哀を軽妙な文体で描いた、読み応えたっぷりの一作。 今回の対談では、あらすじを結末まで丸ごと解説しつつ、...

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