ハナボウズ

ハナボウズの山ログ

Science JA ↓ 69 episodes

​群馬県中之条町、標高1000mの山の中ハーブや宿根草を育てる「ハナボウズ」の園主(中島)が、日々の農作業の合間に、山の音と言葉を記録しています。ステレオ録音で、山の中にある畑の環境ごと、カエルの声、鳥の声、風の向き、遠くのチェーンソー音、この山に生きているものたちの気配を伝えたい。いつか誰かがこれを聞くとき、その朝の空気が伝わったら面白いなと思っています。ハナボウズ圃場コード:たびたび登場する、畑の定義です。​K = 湿地・開放農地・森林が接するエッジ環境​A = アトリエ(現在の作業場の隣)​G = ゴリラ形の岩がある枝もの畑(Aから100mくらい)​M = 開拓時に水鉄砲がぶら下がっていた畑、標高1030m・北向きの...

Author

ハナボウズ

Category

Science

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Jul 8, 2026

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Episodes

場所に名前をつける 21.03.2026

新しく手に入ったハウスに名前をつけるという、小さいが決して軽くない行為について、中島はしばらく悩んだ。K はかぶる。では何か。山の上にあった庭園。山の上。Y。——決まった、と声に出したとき、それはただの記号ではなく、土地とのはじめての約束になっていた。 畑に名前をつけるのは、地図を読むためではない。ゴリラに見える岩、ぶら下がっていた水鉄砲、そして今度は山の上の庭園。名前はいつも、その場所で起きた何かの残...

100坪のビニールハウス 20.03.2026

春の陽気が作業着の判断を迷わせる日、ひとつの抽選会が静かに畑の地図を塗り替えた。応募者はひとりだった。つまり、迷いも競争もなく、ただ土地が向こうからやってきた。100坪のハウスが増える。アストランティア、アルケミラ、アスチルベを植え込む計画が頭のなかで芽吹きはじめ、乾ききった床土を想像するだけで胸が弾む。しかしその弾みに影が差すように、やるべきことの重さもどかりと心に落ちてきた。ワクワクと憂鬱は同じ...

カモミールは二日酔いに良いらしい 19.03.2026

二日酔いの朝、私は畑へ向かった。体は重く、気分は1か2。昨夜は深酒とAIで遊びすぎた。 しかし、その深夜の実験は思わぬ扉を開いていた。ソローの『ウォールデン』をAIに食わせたら、ソローが応答してきた。「2ドルで売れる豆を育て、それに費やした時間と労力を計算した」——あの一節の響き。私は2026年の山の中で花を育てている者として問いを投げ、同じ問いが返ってきた。商品作物として花を育てるとき、花本来の意味は失われる...

周りが見えていない 18.03.2026

神社の駐車場で、自分の車が周りと比べてひどく汚れていることに気づいた。結婚式の日に、石を返しに行った帰り道の話だ。 日常の中で、自分のものがどれだけ「見えなくなっているか」に気づくのは、いつも他者の目線を借りた時だ。毎日乗っている車は、毎日見ているからこそ汚れが目に入らない。神社という非日常の場に持ち込んで初めて、足回りに積もったエンカルの白さが見えた。 作業を終えてタンクに水が溜まったころ、脚立と...

いつか行こうと思うとなかなかいけないもんだ 16.03.2026

午前中の灌水を終え、アルケミラの畝で草を抜きながら、昨日と明日のことを考えていた。昨日は婚活会の挨拶に立った。用意してきた言葉は緊張の中でほとんど抜け落ち、残ったのはひとつの文だけだった——山の環境で育った花を切り取って、都会に送っている、と。それで十分だったかもしれない。会は盛り上がり、自分が何かをする必要はなかった。 明日は日光へ行く。結婚式のとき神社から授かった石を、ずっと返しに行けずにいた。...

婚活会でこのあと挨拶しなきゃいけないんだ 15.03.2026

朝、ハウスの中に立つ。灌水のホースを手に取りながら、植物の名前をまた取り違えていることに気づく。アストランティア、アルケミラ——あから始まる名前たちは、いつも少しだけ滑る。それでいい。間違えながら、体が覚えていく。 前回凍らせたホースは、今夜もハウスの暖かい場所に引き上げる。失敗は罰ではなく、手順書だ。農場の仕事の多くは、そういう小さな修正の堆積でできている。 草を一本抜く。ゼロと一のあいだには、言葉...

残酷なハコベ 13.03.2026

三月の朝、ため池からハウスへ引いたホースが夜の間に凍りついていた。灌水できないまま、ホースをハウスの中であたためながら、アルケミラの草取りをする。去年の六月に植えつけたアルケミラは、今までで1番かもしれない。先輩農家さんほどではないけれど、自分の中では一番マシな育ちだと思う。花が登ってきてくれると信じて、今日も草を取る。 「ハコベ(仮)」と呼んでいる雑草(調べたらコハコベかミドリハコベと判明)がアル...

雪解けの畑と読書 11.03.2026

2026年3月11日、晴れ。雪が溶けて畑に入れるようになった今日、ハナボウズは静かに春の気配を読んでいた。2年前に植えた蝋梅がそろそろ花をつけそう——収穫は来年だとわかっていても、期待してしまうのが農家というものだ。 気分は4。最近は図書館通いが習慣になり、三宅香帆『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』を読んで「そうそう、あの頃は読めなかった」と過去の自分に静かに頷く。お金の心配はあれど、本が読める今は悪く...

捨てられる潔さ 10.03.2026

3月11日の前日、雪がちらつく晴れの朝。ハウスの骨にくくりつけたマイカ線が風でずり落ち、脚立を担いで修繕した。農の時間の多くは、こうした「立て直し」に費やされる。それを嘆くよりも、そういうものだと受け取れるようになってきた。 お世話になった人への贈り物に花を選んだ。切り花はいつか枯れる。だから捨てられる。空間を占拠しつづける景品より、潔く消えていくものの方が、感謝を伝えるのにふさわしいと思った。 借家...

鼻農家 09.03.2026

2026年3月9日夕方、ハウスでアルケミラの灌水作業中の録音。朝から花粉症の症状(鼻水・くしゃみ)が出てアレグラを服用。効果はあったものの眠気が残り、昼食後に国会中継を見ながら昼寝。夕方はハウスでアルケミラの灌水作業。気分は朝4だったが、薬の眠気もあり現在は2〜1。晴れで暖かかったが夕方は風あり少し寒い。灌水後に草取りをしてハウスを閉め、作業終了。

メガネ曇る朝と隣の空き家 08.03.2026

晴れているのに山から雪が飛んでくる、風の強い朝。ハウスを開けながら、メガネが曇って花が見えないというあるあるを実感。セダムとアルケミラの生育を確認——ハウス内は20.2℃で順調。昨日じゃぶじゃぶ冠水を終えたので、明日また冠水予定。アルケミラは葉が展開してくれば草より大きくなって草の心配もなくなりそう。 気分は「晴れてるけど2」。寒いと気分が落ちる、正直なところ。 畑の地主さんの空き家のこと——いつかトラクター...

飲みすぎたけど気分はいい、みたいな農業 07.03.2026

夕暮れのハウス締め作業。二重構造のパイプハウスを閉めながら、かつての大雪の記憶が蘇る。ハウスが潰れるのは、真上からの重さに押しつぶされるのではなく、横から静かに寄りかかられることで倒れる。その気づきは、力への正面からの抵抗ではなく、圧力の逃し方を知ることが生存の条件だという農の知恵を静かに示している。湧き水をただ穴に貯めるだけの水場も、自然の流れに乗っかる同じ思想の延長にある。今日の気分は5点満点...

中飛車左穴熊 06.03.2026

気分は2か3。数字にすることで、自分を少し離れたところから見られる気がする。今日は晴れ、風もなく、残雪が静かに溶けていく。そういう日に限って、内側はどこか重い。 午前中はアルケミラとアストランティアの草取り。土と向き合う時間は、考えなくていい時間でもある。手が動いていれば、気分の数字はあまり関係ない。 ハウスの温度管理、ラズパイで自動化できないか。自然に任せながら、少し賢く介入する。それは農業の本質に...

ソローの森の生活、AI農家版 05.03.2026

3月5日、晴れ。午前中にアルケミラの灌水と草取りを終え、軽トラの車内から収録。灌水チューブが足りなくなりそうで追加購入を検討中。最近始めた「山ログ」の目的を改めて言語化——農業日誌・気分メーター・音声データをAIに学習させて"自分の分身"的な存在「ハナボウズAI」を作れたら面白いのでは、と1人で盛り上がる。友人とのポッドキャスト、子とのラジオ、そしてこの独り言の3つのログが素材になる構想。ソローの『森の生活』...

雪の翌日、セダムと草とふたりの畑 04.03.2026

3月4日、前日の雪が10cm積もる。妻と2人で畑のハウスへ。セダムの生長を確認しながら、換気・草取り・冠水の作業へ。風が強い中、アルケミラのハウスから草取りスタート。

3月3日みぞれから雪 03.03.2026

みぞれから雪へと変わる中、ハウスの温度を確認し、雪かきが不要か判断する。セダムのハウスに迷い込んだ鳥に驚きつつ、雪に浮かび上がる「熊棚」に目がとまる。白く覆われた景色の中で、心配事がやけにくっきり見える感覚もそのまま記録。自然と向き合う山のログ。

ハウスを閉めるついでに草取り 01.03.2026

娘と一緒に畑へ。アルケミラの草取りをしながら、花の名前や道具の話で小さな対話が生まれる日曜の山ログ。静かな午後の記録。

灌水チューブと草取り 28.02.2026

灌水設備を変え、水の広がりを確かめる。安さと機能のあいだで迷いながら、湧き水と向き合う。アルケミラの葉が開き、一本の草を抜く。小さな実験と手入れの積み重ねが、やがて山の風景をかたちづくる。今日の選択を残すログ。

番組名は何にしよう【初回軽トラ録音、雑音多い】 27.02.2026

【軽トラ撮影のためノイズ大きいです】 山へ向かう道すがら、試しに録音を始めた第1回。 話さなきゃと力む自分と、力を抜こうとする自分。そのあいだで揺れながら、季節の移ろいと仕事の手応え、未来への構想を静かに見つめる。 完成していない今を、そのまま置いていく園主の途中の記録。

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