一般社団法人 青空朗読
青空朗読
インターネット上の図書館「青空文庫」の作品を朗読する「青空朗読」は、プロのアナウンサーによる社会貢献活動としてスタートし、最近は、朗読を学ぶ一般の方々からも作品を提供していただいています。2016年5月に一般社団法人となりました。
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Odcinki
どじょうと金魚 著者:小川 未明 読み手:緒方 朋恵 時間:2分18秒 17.01.2026 2:18
どじょうと金魚 著者:小川 未明 読み手:緒方 朋恵 時間:2分18秒 ある日、子供がガラスのびんを手に持って、金魚をほしいといって、泣いていました。すると、通りかかったどじょう売りのおじいさんが、そのびんの中へ、どじょうを二匹いれてくれました。 子供は、喜んで、びんに顔を押しつけるようにして、ながめると、ひげをはやして、こっけいな顔に見えるどじょうは、 「坊ちゃん、あのきれいなばかしで、能のない金魚...
質屋の主人 著者:宇野 浩二 読み手:松岡 初子 時間:10分17秒 16.01.2026 10:17
質屋の主人 著者:宇野 浩二 読み手:松岡 初子 時間:10分17秒 最早や昨年のことになるかと思ふが、私はこの雑誌に『質屋の小僧』といふ文章を書いたことがある。すると、一二ヶ月後、私のその文章を見たと云つて、あべこべに以前その質屋の暖簾をくぐつた頃の私の印象を、その『質屋の小僧』が書いたことがある。その頃から一年程たつた今、彼は既に質屋の小僧でなく番頭であつた。名は金井源蔵と云ふ。 以前、その小僧時...
あし 著者:新美 南吉 読み手:畠山 有香 時間:3分27秒 15.01.2026 3:27
あし 著者:新美 南吉 読み手:畠山 有香 時間:3分27秒 二ひきの馬が、まどのところでぐうるぐうるとひるねをしていました。 すると、すずしい風がでてきたので、一ぴきがくしゃめをしてめをさましました。 ところが、あとあしがいっぽんしびれていたので、よろよろとよろけてしまいました。 「おやおや。」 そのあしに力をいれようとしても、さっぱりはいりません。 そこでともだちの馬をゆりおこしました。 「たい...
雪の話 著者:中谷 宇吉郎 読み手:福井 慎二 時間:16分32秒 14.01.2026 16:32
雪の話 著者:中谷 宇吉郎 読み手:福井 慎二 時間:16分32秒 一 この頃新聞を見ていて気の付いたことは、スキーと雪の記事がこの数年来急に増してきたことである。主なものはスキー地の広告のようであるが、その他に純粋に雪と冬の山とを讃えるような記事もかなり沢山あるように思われる。何でも東京では山の雑誌が十種ばかりも出されていて兎に角そのどれもが刊行を継続されているし、雪の朝は郊外電車がスキー車を出...
北へ傾がった家 著者:山本 周五郎 読み手:西村 文江 時間:6分1秒 13.01.2026 6:01
北へ傾がった家 著者:山本 周五郎 読み手:西村 文江 時間:6分1秒 何月ぶりかに来た若い客が、迷わずに来たといって自慢そうな顔をした。 「途中でききましてね、あのお宅は垣根を作りましたかというと、いや元のままですといって、その人はにやにやしましてね」などと、さも賢こそうに自分もにやにやした。 わが家には垣根がない、ひと並べ灌木がぼさぼさ植わっているだけである。家も北方へひっ傾がって(持主の大橋さん...
遺伝 著者:小酒井 不木 読み手:吉江 美也子 時間:14分2秒 12.01.2026 14:02
遺伝 著者:小酒井 不木 読み手:吉江 美也子 時間:14分2秒 「如何いう動機で私が刑法学者になったかと仰しゃるんですか」と、四十を越したばかりのK博士は言った。「そうですねえ、一口にいうと私のこの傷ですよ」 K博士は、頸部の正面左側にある二寸ばかりの瘢痕を指した。 「瘰癧でも手術なすった痕ですか」と私は何気なくたずねた。 「いいえ、御恥かしい話ですが……手っ取り早くいうならば、無理心中をしかけられた痕...
売られていった靴 著者:新美 南吉 読み手:水谷 ケイコ 時間:2分10秒 11.01.2026 2:10
売られていった靴 著者:新美 南吉 読み手:水谷 ケイコ 時間:2分10秒 靴屋のこぞう、兵助が、はじめていっそくの靴をつくりました。 するとひとりの旅人がやってきて、その靴を買いました。 兵助は、じぶんのつくった靴がはじめて売れたので、うれしくてうれしくてたまりません。 「もしもし、この靴ずみとブラシをあげますから、その靴をだいじにして、かあいがってやってください。」 と、兵助はいいました。 旅人は...
山の春 著者:高村 光太郎 読み手:三田 朱美 時間:14分23秒 10.01.2026 14:23
山の春 著者:高村 光太郎 読み手:三田 朱美 時間:14分23秒 ほんとうは、三月にはまだ山の春は来ない。三月春分の日というのに、山の小屋のまわりには雪がいっぱいある。雪がほんとに消えるのは五月の中ほどである。 つまり、それまで山々にかぶさっていた、氷のように冷たい空気が、五月頃になると、急に北の方へおし流されて、もう十分あたたかくなっている地面の中の熱 と、日の光とが、にわかに働きだして、一日一刻も惜...
大寒小寒 著者:土田 耕平 読み手:池戸 美香 時間:4分18秒 09.01.2026 4:18
大寒小寒 著者:土田 耕平 読み手:池戸 美香 時間:4分18秒 おほ寒こ寒 山から小僧が とんでくる…… 冬のさむい晩のこと、三郎はおばあさんと二人で、奥座敷のこたつにあたつてゐました。庭の竹やぶが、とき/″\風に吹きたわむ音がして、そのあとは、しんとしづかになります。そして、遠くの方で犬の吠える声がきこえたりするのも、山家の冬らしい気もちであります。大寒小寒の唄は、さういふさむい晩など、おばあさんが口癖...
最も楽しい事業 著者:羽仁 もと子 読み手:宮崎 文子 時間:6分39秒 08.01.2026 6:39
最も楽しい事業 著者:羽仁 もと子 読み手:宮崎 文子 時間:6分39秒 人の世になによりも楽しいものは仕事である。張り合いのあるものは仕事である。もしも私たちにすることが与えられてなかったら、毎日どんなにつまらないものだろう。 田園の人は、きょう耕した畑に、あすは種子をまこうと思って楽しく眠る。織りかけている機は、あすは終わるであろうと、ある人は待ちのぞむ。市の人は朝はやく起きて店を飾り、またある人...
汗 著者:岡本 かの子 読み手:堀江 令子 時間:7分11秒 07.01.2026 7:11
汗 著者:岡本 かの子 読み手:堀江 令子 時間:7分11秒 ――お金が汗をかいたわ。」 河内屋の娘の浦子はさういつて松崎の前に掌を開いて見せた。ローマを取巻く丘のやうに程のよい高さで盛り上る肉付きのまん中に一円銀貨の片面が少し曇つて濡れてゐた。 浦子はこどものときにひどい脳膜炎を患つたため白痴であつた。十九にもなるのに六つ七つの年ごろの智恵しかなかつた。しかし女の発達の力が頭へ向くのをやめて肉体一方...
子規の画 著者:夏目 漱石 読み手:福井 一恵 時間:7分5秒 06.01.2026 7:05
子規の画 著者:夏目 漱石 読み手:福井 一恵 時間:7分5秒 余は子規の描いた画をたった一枚持っている。亡友の記念だと思って長い間それを袋の中に入れてしまっておいた。年数の経つに伴れて、ある時はまるで袋の所 在を忘れて打ち過ぎる事も多かった。近頃ふと思い出して、ああしておいては転宅の際などにどこへ散逸するかも知れないから、今のうちに表具屋へやって懸物 にでも仕立てさせようと云う気が起った。渋紙の袋を引...
幽霊と文学 著者:坂口 安吾 読み手:吉江 美也子 時間:4分59秒 04.01.2026 4:59
幽霊と文学 著者:坂口 安吾 読み手:吉江 美也子 時間:4分59秒 幽霊の凄味の点では日本は他国にひけをとらない。西洋人の生活の中には悪魔が幅をきかしてゐるが、幽霊はあまり顔をださない。悪魔には日本の鬼や狐狸に通 ずる一脈の滑稽味と童話的な郷愁的な感情が流れ、今日の知識人の生活の中では、恐怖の対象であるよりも、理知の故郷に住み古した一人の友達の感が深い。 幽霊は悪魔とちがつて、徹頭徹尾凄味あるのみ、...
風 著者:竹久 夢二 読み手:緒方 朋恵 時間:3分58秒 03.01.2026 3:58
風 著者:竹久 夢二 読み手:緒方 朋恵 時間:3分58秒 風が、山の方から吹いて来ました。学校の先生がお通りになると、街で遊んでいた生徒達が、みんなお辞儀をするように、風が通ると、林に立っている若い梢も、野の草も、みんなお辞儀をするのでした。 風は、街の方へも吹いて来ました。それはたいそう面白そうでした。教会の十字塔を吹いたり、煙突の口で鳴ったり、街の角を廻るとき蜻蛉返りをしたりする様子は、とても面...
幸福 著者:島崎 藤村 読み手:松岡 初子 時間:4分22秒 02.01.2026 4:22
幸福 著者:島崎 藤村 読み手:松岡 初子 時間:4分22秒 「幸福」がいろいろな家へ訪ねて行きました。 誰でも幸福の欲しくない人はありませんから、どこの家を訪ねましても、みんな大喜びで迎えてくれるにちがいありません。けれども、それでは人の心がよく分りません。そこで「幸福」は貧しい貧しい乞食のような服装をしました。誰か聞いたら、自分は「幸福」だと言わずに「貧乏」だと言うつもりでした。そんな貧しい服装をし...
狸と与太郎 著者:夢野 久作 読み手:室 由美子 時間:2分35秒 01.01.2026 2:35
狸と与太郎 著者:夢野 久作 読み手:室 由美子 時間:2分35秒 与太郎は毎日隣村へ遊びに行って、まだ日の暮れぬうちに森を通って帰って来ました。 「あの森は狸がいていろいろのものに化けるから、日の暮れぬうちに帰らぬと怖ろしいぞ」 とお母さんが言いきかせているからです。 ある日、太郎はうっかり遊び過ごして真暗になって帰って来ました。森の中に入ると、忽ち一丈もある位の一つ目入道が出ました・・・ 【青空朗...
私のふるさと 著者:中谷 宇吉郎 読み手:福井 慎二 時間:3分14秒 31.12.2025 3:14
私のふるさと 著者:中谷 宇吉郎 読み手:福井 慎二 時間:3分14秒 私のふるさとは、石川県の片山津という温泉地である。柴山潟という湖のほとりにあって、私の子供のころは、まだ淋しい湖畔の小さい温泉地であった。 この潟にはあしが一面に生えていて、ばんという黒い水鳥が、たくさん棲んでいた。泉鏡花の小説にも出てくるが、このばんという鳥は、何となくこの世ばなれをした感じを与える鳥である。女のたましいを思わす...
蠅のはなし 著者:小泉 八雲/大谷 正信 訳 読み手:水谷 ケイコ 時間:7分59秒 30.12.2025 7:59
蠅のはなし 著者:小泉 八雲/大谷 正信 訳 読み手:水谷 ケイコ 時間:7分59秒 二百年ばかり前に、京都に飾屋九兵衞という商人が居た。店は島原道の少し南の、寺町通という町にあった。下女に――若狭の国生れの――玉というが居た。 玉は九兵衞夫婦に親切に待遇されていて、誠に二人を好いているように見えていた。が、玉は他の女の子のように綺麗な著物を著ようとはしないで、休暇を貰うと、美しい著物を数敷貰っていながら、...
月日の話 著者:坂口 安吾 読み手:吉江 美也子 時間:3分2秒 29.12.2025 3:02
月日の話 著者:坂口 安吾 読み手:吉江 美也子 時間:3分2秒 歳末にコヨミをもらってページをくりつゝ新しい年を考える。 今月の歴史というところを読むと、異様な気がするのである。このことは一般の人々は気付かないことで、それが普通なのだが、小説家、特に歴史小説を書いている私などから見ると、大変奇妙に思われることが多い。 たとえば、義士の討入はころは元禄十四年極月(十二月)十四日とナニワ節にうたわれて...
寺田寅彦 著者:和辻 哲郎 読み手:宮崎 文子 時間:4分32秒 28.12.2025 4:32
寺田寅彦 著者:和辻 哲郎 読み手:宮崎 文子 時間:4分32秒 (昭和十一年) 寺田さんは有名な物理学者であるが、その研究の特徴は、日常身辺にありふれた事柄、具体的現実として我々の周囲に手近に見られるような事実の中に、本当に研究すべき問題を見出した点にあるという。ところで日常身辺の事実が示しているのは単に物理学的現象のみではなく、化学的・生理学的・動植物学的等の諸現象の複雑な絡み合いである。 寺田...
うた時計 著者:新美 南吉 読み手:西村 文江 時間:16分34秒 27.12.2025 16:34
うた時計 著者:新美 南吉 読み手:西村 文江 時間:16分34秒 二月のある日、野中のさびしい道を、十二、三の少年と、皮のかばんをかかえた三十四、五の男の人とが、同じ方へ歩いていった。 風がすこしもないあたたかい日で、もう霜がとけて道はぬれていた。 かれ草にかげをおとして遊んでいるからすが、ふたりのすがたにおどろいて、土手をむこうにこえるとき、黒い背中が、きらりと日の光を反射するのであった。 「坊、...
父 著者:芥川 龍之介 読み手:水野 久美子 時間:15分3秒 26.12.2025 15:03
父 著者:芥川 龍之介 読み手:水野 久美子 時間:15分3秒 自分が中学の四年生だった時の話である。 その年の秋、日光から足尾へかけて、三泊の修学旅行があった。「午前六時三十分上野停車場前集合、同五十分発車……」こう云う箇条が、学校から渡す謄写版の刷物に書いてある。 当日になると自分は、碌に朝飯も食わずに家をとび出した。電車でゆけば停車場まで二十分とはかからない。――そう思いながらも、何となく心がせく...
てかてか頭の話 著者:小川 未明 読み手:池戸 美香 時間:8分6秒 25.12.2025 8:06
てかてか頭の話 著者:小川 未明 読み手:池戸 美香 時間:8分6秒 ある田舎に、おじいさんの理髪店がありました。おじいさんは、もうだいぶ年をとっていまして、脊が曲がっていました。いいおじいさんなものですから、みんなに、おじいさん、おじいさんと慕われていました。 ちょうど、夏の昼過ぎのことであります。お客が一人もなかったので、おじいさんは、居眠りをしていました。 家の外には、きらきらとして暑そうに日...
博多人形 著者:竹久 夢二 読み手:松岡 初子 時間:6分38秒 24.12.2025 6:38
博多人形 著者:竹久 夢二 読み手:松岡 初子 時間:6分38秒 お磯は、可愛い博多人形を持っていました。その人形は、黒い眼と薔薇色の頬を持った、それはそれは可愛らしい人形でありましたから、お磯はどの人形よりも可愛がっていました。どこへゆく時にも傍をはなしませんでした。夜寝る時でさえ、そっと傍へ寝かしてやるほどでした。 ある日お磯は、牧場へ茅花を摘みにゆきました。やはりいつものように右の手には御気に入...
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