一般社団法人 青空朗読
青空朗読
インターネット上の図書館「青空文庫」の作品を朗読する「青空朗読」は、プロのアナウンサーによる社会貢献活動としてスタートし、最近は、朗読を学ぶ一般の方々からも作品を提供していただいています。2016年5月に一般社団法人となりました。
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Episodi
【青空朗読】じいさんばあさん 著者:森 鴎外 読み手:水野 久美子 時間:25分39秒 31.05.2026 25:39
じいさんばあさん 著者:森 鴎外 読み手:水野 久美子 時間:25分39秒 文化六年の春が暮れて行く頃であった。麻布竜土町の、今歩兵第三聯隊の兵営になっている地所の南隣で、三河国奥殿の領主松平左七郎乗羨と云う大名の邸の中に、大工が這入って小さい明家を修復している。近所のものが誰の住まいになるのだと云って聞けば、松平の家中の士で、宮重久右衛門と云う人が隠居所を拵えるのだと云うことである。なる程宮重の家の離...
【青空朗読】『小さな草と太陽』序 著者:小川 未明 読み手:加藤 供子 時間:4分3秒 30.05.2026 4:03
『小さな草と太陽』序 著者:小川 未明 読み手:加藤 供子 時間:4分3秒 詩や、空想や、幻想を、冷笑する人々は、自分等の精神が、物質的文明に中毒したことに気付かない人達です。人間は、一度は光輝な世界を有していたことがあったのを憫れむべくも自ら知らない不明な輩です。 芸術は、ほんとうに現実に立脚するものです。童話は、芸術中の芸術であります。虚無の自然と生死する人生とを関連する不思議な鍵です。芸術の中...
【青空朗読】塩昆布の茶漬け 著者:北大路 魯山人 読み手:左 璃寛 時間:4分17秒 29.05.2026 4:17
塩昆布の茶漬け 著者:北大路 魯山人 読み手:左 璃寛 時間:4分17秒 私の語るのは、ことわるまでもなく趣味の茶漬けで、安物の実用茶漬けではない。そのつもりで考えていただきたい。 とは申しても、もともと昆布のことであるから、さして高価なものではない。ところで塩昆布だが、そこいらに売っているものでは、まず駄目だ。所詮、昆布がよくて、これを煮る醤油がよくなくては駄目なので、この点、売りものの仕入れ品など...
【青空朗読】小さな草と太陽 著者:小川 未明 読み手:菅野 秀之 時間:10分22秒 28.05.2026 10:22
小さな草と太陽 著者:小川 未明 読み手:菅野 秀之 時間:10分22秒 垣根の内側に、小さな一本の草が芽を出しました。ちょうど、そのときは、春の初めのころでありました。いろいろの花が、日にまし、つぼみがふくらんできて、咲きかけていた時分であります。 垣根の際は、長い冬の間は、ほとんど毎朝のように霜柱が立って、そこの地は凍っていました。寒い、寒い天気の日などは、朝から晩まで、その霜柱が解けずに、ちょう...
【青空朗読】ジェンナー伝 著者:小酒井 不木 読み手:二宮 正博 時間:35分48秒 27.05.2026 35:48
ジェンナー伝 著者:小酒井 不木 読み手:二宮 正博 時間:35分48秒 一 いまからおよそ百五十年前のことです。英国南部のバスという市で、ある夜盛大な晩餐会が開かれました。 集まったものは、政治家、実業家、医師、軍人など数十人、いわゆるその市およびその付近で、名をあげている人ばかりでありました。当時まだ電燈は発明されておりませんでしたから、いく本かの美しい装飾をほどこした銀色の燭台が、テーブルの...
【青空朗読】家康 著者:坂口 安吾 読み手:水野 久美子 時間:50分48秒 26.05.2026 50:48
家康 著者:坂口 安吾 読み手:水野 久美子 時間:50分48秒 徳川家康は狸オヤジと相場がきまっている。関ヶ原から大坂の陣まで豊臣家を亡すための小細工、嫁をいじめる姑婆アもよくよく不埓な大狸でないとかほど見えすいた無理難題の言いがかりはつけないもので、神君だの権現様だの東照公だのと言いはやす裏側で民衆の口は狸オヤジという。手口が狸婆アの親類筋であるからで、民衆のこういう勘はたしかなものだ。 けれども...
【青空朗読】狐 著者:永井 荷風 読み手:小林 きく江 時間:48分32秒 25.05.2026 48:32
狐 著者:永井 荷風 読み手:小林 きく江 時間:48分32秒 一 小庭を走る落葉の響、障子をゆする風の音。 私は冬の書斎の午過ぎ。幾年か昔に恋人とわかれた秋の野の夕暮を思出すような薄暗い光の窓に、ひとり淋しく火鉢にもたれてツルゲネーフの伝記を読んでいた。 ツルゲネーフはまだ物心もつかぬ子供の時分に、樹木のおそろしく生茂った父が屋敷の庭をさまよって、或る夏の夕方に、雑草の多い古池のほとりで、蛇と...
【青空朗読】イエスとペテロ 著者:片山 廣子 読み手:アン荻野 時間:8分22秒 24.05.2026 8:22
イエスとペテロ 著者:片山 廣子 読み手:アン荻野 時間:8分22秒 聖書の中にあるイエス・キリストやお弟子たちの話が、人の口から耳へ、思ひもかけない遠くの国に伝へられて、その国のキリストやペテロの話になつてゐることもある。これはアイルランドの民話で、ユダヤ、サマリヤ、ガリラヤの国々がすぐ彼等の村々に続いてゐるやうにも聞える話である。 イエス・キリストがガリラヤの湖のほとりや野はらや町を歩かれた時、...
【青空朗読】喫茶店にて 著者:萩原 朔太郎 読み手:野村 洋二 時間:4分06秒 23.05.2026 4:06
喫茶店にて 著者:萩原 朔太郎 読み手:野村 洋二 時間:4分06秒 先日大阪の知人が訪ねて来たので、銀座の相当な喫茶店へ案内した。学生のすくない大阪には、本格的の喫茶店がなく、珍らしい土産話と思つたからである。果 して知人は珍らしがり、次のやうな感想を述べた。先程から観察して居ると、僅か一杯の紅茶を飲んで、半時間もぼんやり坐つてる人が沢山居る。一体彼等は何 を考へてゐるのだらうと。一分間の閑も惜しく、...
【青空朗読】家じゅうの人たちの言ったこと 著者:ハンス・クリスチャン・アンデルセン/矢崎 源九郎 訳 読み手:寺田 理恵子 時間:12分10秒 22.05.2026 12:10
家じゅうの人たちの言ったこと 著者:ハンス・クリスチャン・アンデルセン/矢崎 源九郎 訳 読み手:寺田 理恵子 時間:12分10秒 家じゅうの人たちは、なんと言ったでしょうか? まずさいしょに、マリーちゃんの言ったことを聞きましょう。 その日は、マリーちゃんのお誕生日でした。マリーちゃんにとっては、いちばん楽しい日のような気がしました。小さなお友だちが、大ぜいあそびにきました。マリーちゃんは、いちばんき...
【青空朗読】泥棒と若殿 著者:山本 周五郎 読み手:大栗 幸子 時間:1時間10分9秒 21.05.2026 1:10:09
泥棒と若殿 著者:山本 周五郎 読み手:大栗 幸子 時間:1時間10分9秒 一 その物音は初め広縁のあたりから聞えた。縁側の板がぎしっとかなり高く鳴ったのである、成信は本能的に枕許の刀へ手をのばした、しかし指が鞘に触れると、いまさらなんだという気持になって手をひっこめた。 ――もうたくさんだ、どうにでも好きなようにするがいい、飽き飽きした。 こう思いながら、仰向きに寝たまま腹の上で手を組み合せた。...
【青空朗読】生霊 著者:小泉 八雲/田部 隆次 訳 読み手:みきさん 時間:16分54秒 20.05.2026 16:54
生霊 著者:小泉 八雲/田部 隆次 訳 読み手:みきさん 時間:16分54秒 昔、江戸霊岸島に喜兵衞と云う金持ちの瀬戸物店があった。喜兵衞は六兵衞と云う番頭を長く使っていた。六兵衞の力で店は繁昌した、――余り盛大になって来たので、番頭独りでは管理して行かれなくなった。そこで、経験のある手代を雇う事を願って許された、それから自分の甥を一人よびよせた――以前大阪で瀬戸物商売を習った事のある、二十二ばかりの若者で...
【青空朗読】銭形平次捕物控 鈴を慕う女 著者:野村 胡堂 読み手:伊藤 和 時間:52分35秒 19.05.2026 52:35
銭形平次捕物控 鈴を慕う女 著者:野村 胡堂 読み手:伊藤 和 時間:52分35秒 一 「八、あれを跟けてみな」 「ヘエ――」 「逃がしちゃならねえ、相手は細かくねえぞ」 「あの七つ下がりの浪人者ですかい」 「馬鹿ッ、あれはどこかの手習師匠で、仏様のような武家だ。俺の言うのは、その先へ行く娘のことだ」 「ヘエ――、あの美しい新造が曲者なんですかい。驚いたな」 「静かに物を言え、人が聞いてるぜ」 銭形の平次と子...
【青空朗読】人でなしの恋 著者:江戸川 乱歩 読み手:野見山 丹李 時間:1時間5分23秒 18.05.2026 1:05:23
人でなしの恋 著者:江戸川 乱歩 読み手:野見山 丹李 時間:1時間5分23秒 一 門野、御存知でいらっしゃいましょう。十年以前になくなった先の夫なのでございます。こんなに月日がたちますと、門野と口に出していって見ましても、一向他人様の様で、あの出来事にしましても、何だかこう、夢ではなかったかしら、なんて思われるほどでございます。門野家へ私がお嫁入りをしましたのは、どうした御縁からでございましたか...
【青空朗読】葬られたる秘密 著者:小泉 八雲/戸川 明三 訳 読み手:遠田 恵子 時間:9分28秒 17.05.2026 9:28
葬られたる秘密 著者:小泉 八雲/戸川 明三 訳 読み手:遠田 恵子 時間:9分28秒 むかし丹波の国に稻村屋源助という金持ちの商人が住んでいた。この人にお園という一人の娘があった。お園は非常に怜悧で、また美人であったので、源助は田 舎の先生の教育だけで育てる事を遺憾に思い、信用のある従者をつけて娘を京都にやり、都の婦人達の受ける上品な芸事を修業させるようにした。こうして教育 を受けて後、お園は父の一族の...
【青空朗読】鏡地獄 著者:江戸川 乱歩 読み手:イトー ゲンヤ 時間:51分38秒 16.05.2026 51:38
鏡地獄 著者:江戸川 乱歩 読み手:イトー ゲンヤ 時間:51分38秒 「珍らしい話とおっしゃるのですか、それではこんな話はどうでしょう」 ある時、五、六人の者が、怖い話や、珍奇な話を、次々と語り合っていた時、友だちのKは最後にこんなふうにはじめた。ほんとうにあったことか、Kの作り話なのか、その後、尋ねてみたこともないので、私にはわからぬけれど、いろいろ不思議な物語を聞かされたあとだったのと、ちょうどそ...
【青空朗読】術数 著者:小泉 八雲/田部 隆次 訳 読み手:藤井 直樹 時間:7分38秒 15.05.2026 7:38
術数 著者:小泉 八雲/田部 隆次 訳 読み手:藤井 直樹 時間:7分38秒 屋敷の庭で死刑が執行される事にきまった。その罪人は引き出された。今も読者が日本庭園で見られるような飛石の一列が真中にある、砂を敷いた広場へ坐らされた。彼は後ろ手に縛られていた。家来は手桶の水と小石の満ちた俵を運んだ。それから坐っている男のまわりに俵をつめた、――動けないようにくさびどめにしておいた。主人が来て、その準備を見た。満...
【青空朗読】半日 著者:森 鴎外 読み手:小林 きく江 時間:1時間11分27秒 14.05.2026 1:11:27
半日 著者:森 鴎外 読み手:小林 きく江 時間:1時間11分27秒 六疊の間に、床を三つ並べて取つて、七つになる娘を眞中に寢かして、夫婦が寢てゐる。宵に活けて置いた桐火桶の佐倉炭が、白い灰になつてしまつて、主人の枕元には、唯ゞ心を引込ませたランプが微かに燃えてゐる。その脇には、時計や手帳などを入れた小葢が置いてあつて、その上に假綴の西洋書が開けて伏せてある。主人が讀みさして寢たのであらう。 一月三十日...
【青空朗読】銭形平次捕物控 江戸阿保宮 著者:野村 胡堂 読み手:伊藤 和 時間:1時間3分 13.05.2026 1:03:00
銭形平次捕物控 江戸阿保宮 著者:野村 胡堂 読み手:伊藤 和 時間:1時間3分 一 江戸開府以来の捕物の名人と言われた銭形平次も、この時ほど腹を立てたことはないと言っております。 滅多に人間を縛らぬ平次が、歯噛みをして口惜しがったのですから、よくよくの事だったに相違ありません。 「親分、また神隠しにやられましたぜ」 ガラッ八の八五郎が飛込んで来たのは、初夏の陽が庇から落ちて、街中に金粉を撒いた...
【青空朗読】貉 著者:小泉 八雲/戸川 明三 訳 読み手:中田 真由美 時間:6分28秒 12.05.2026 6:28
貉 著者:小泉 八雲/戸川 明三 訳 読み手:中田 真由美 時間:6分28秒 東京の、赤坂への道に紀国坂という坂道がある――これは紀伊の国の坂という意である。何故それが紀伊の国の坂と呼ばれているのか、それは私の知らない事である。この坂の一方の側には昔からの深い極わめて広い濠があって、それに添って高い緑の堤が高く立ち、その上が庭地になっている、――道の他の側には皇居の長い宏大な塀が長くつづいている。街灯、人力...
【青空朗読】耳無芳一の話 著者:小泉 八雲/戸川 明三 訳 読み手:山城 美奈 時間:37分23秒 11.05.2026 37:23
耳無芳一の話 著者:小泉 八雲/戸川 明三 訳 読み手:山城 美奈 時間:37分23秒 七百年以上も昔の事、下ノ関海峡の壇ノ浦で、平家すなわち平族と、源氏すなわち源族との間の、永い争いの最後の戦闘が戦われた。この壇ノ浦で平家は、その一族の婦人子供ならびにその幼帝――今日安徳天皇として記憶されている――と共に、まったく滅亡した。そうしてその海と浜辺とは七百年間その怨霊に祟られていた……他の個処で私はそこに居る平家...
【青空朗読】お勢登場 著者:江戸川 乱歩 読み手:大栗 幸子 時間:41分24秒 10.05.2026 41:24
お勢登場 著者:江戸川 乱歩 読み手:大栗 幸子 時間:41分24秒 一 肺病やみの格太郎は、今日も又細君においてけぼりを食って、ぼんやりと留守を守っていなければならなかった。最初の程は、如何なお人好しの彼も、激憤を感じ、それを種に離別を目論んだことさえあったのだけれど、病という弱味が段々彼をあきらめっぽくして了った。先の短い自分の事、可愛い子供のことなど考えると、乱暴な真似はできなかった。その点...
【青空朗読】銭形平次捕物控 路地の足跡 著者:野村 胡堂 読み手:伊藤 和 時間:49分25秒 09.05.2026 49:25
銭形平次捕物控 路地の足跡 著者:野村 胡堂 読み手:伊藤 和 時間:49分25秒 一 「銭形の親分さん、お助けを願います」 柳原土手、子分の八五郎と二人、無駄を言いながら家路を急ぐ平次の袖へ、いきなり飛付いた者があります。 「何だ何だ」 後ろから差し覗くガラッ八。 「どこか斬られなかったでしょうか、いきなり後ろからバサリとやられましたが――」 遠灯に透かせば、二十七八の、芸人とも、若い宗匠とも見え...
【青空朗読】雪の上の霜 著者:山本 周五郎 読み手:中村 昭代 時間:1時間31分57秒 08.05.2026 1:31:57
雪の上の霜 著者:山本 周五郎 読み手:中村 昭代 時間:1時間31分57秒 一 その仕事は簡単なものであった。街道に立っていて、荷物を(重たそうに)持っている旅人が来たら、あいそよく呼びかけて、こう云うのである。 ――次の宿までその荷物を持ちましょう。つまり、馬や駕籠に乗るほどではないが、歩き草臥れて少しばかり荷物が厄介になった、という客のために、馬や駕籠よりも安価な駄賃で、荷物を持ってやる。とい...
【青空朗読】雪女 著者:小泉 八雲/田部 隆次 訳 読み手:加茂野 一夫 時間:14分13秒 07.05.2026 14:13
雪女 著者:小泉 八雲/田部 隆次 訳 読み手:加茂野 一夫 時間:14分13秒 武蔵の国のある村に茂作、巳之吉と云う二人の木こりがいた。この話のあった時分には、茂作は老人であった。そして、彼の年季奉公人であった巳之吉は、十八 の少年であった。毎日、彼等は村から約二里離れた森へ一緒に出かけた。その森へ行く道に、越さねばならない大きな河がある。そして、渡し船がある。渡しの ある処にたびたび、橋が架けられたが、...
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