一般社団法人 青空朗読
青空朗読
インターネット上の図書館「青空文庫」の作品を朗読する「青空朗読」は、プロのアナウンサーによる社会貢献活動としてスタートし、最近は、朗読を学ぶ一般の方々からも作品を提供していただいています。2016年5月に一般社団法人となりました。
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Episódios
【青空朗読】若鮎について 著者:北大路 魯山人 読み手:小川 幸香 時間:3分27秒 09.04.2026 3:27
若鮎について 著者:北大路 魯山人 読み手:小川 幸香 時間:3分27秒 あゆの小さなものは、どうかするとうまくないというひともあるが、わたしは一概にそうは思わない。 小田原の手前に酒匂川という川がある。まだ禁漁中にあの近辺のひとが酒匂川のあゆをよく盗み取りするが、わたしはそれをもらうことがあって、たびたび 食ったことがある。大きさはまだやっと一寸ぐらいのものだが、ちょっとあぶって食うと、実に調子の高...
【青空朗読】 ライオンの大損 著者:村山 籌子 読み手:池戸 美香 時間:3分29秒 08.04.2026 3:29
ライオンの大損 著者:村山 籌子 読み手:池戸 美香 時間:3分29秒 ある秋の一日、一匹の威張り屋のライオンが森の中で、お昼寝をしてゐる間に、大切な、日頃自慢のあごひげを、誰にとられたのか、それとも抜け落ちてしまつたのか、とにかく起きて、のどがかわいたので、水をのみに、ふら/\と川の方へ行く途中で熊に会ひますと熊は、ライオンをよく知つてゐるのに挨拶をしないので 「熊君、なぜ、挨拶をしない? 失敬じやな...
【青空朗読】薬局 著者:織田 作之助 読み手:宮松 大輔 時間:2分28秒 07.04.2026 2:28
薬局 著者:織田 作之助 読み手:宮松 大輔 時間:2分28秒 その男は毎日ヒロポンの十管入を一箱宛買いに来て、顔色が土のようだった。十管入が品切れている時は三管入を三箱買うて行った。 敏子は釣銭を渡しながら、纒めて買えば毎日来る手間もはぶけるのにと思ったが、もともとヒロポンの様な劇薬性の昂奮剤を注射する男なぞ不合理にきまっている。然し敏子の化粧はなぜか煙草屋の娘の様に濃くなった。敏子は二十七歳、出戻...
【青空朗読】魔術 著者:芥川 龍之介 読み手:加茂野 一夫 時間:26分22秒 06.04.2026 26:22
魔術 著者:芥川 龍之介 読み手:加茂野 一夫 時間:26分22秒 ある時雨の降る晩のことです。私を乗せた人力車は、何度も大森界隈の険しい坂を上ったり下りたりして、やっと竹藪に囲まれた、小さな西洋館の前に梶棒を下しました。もう鼠色のペンキの剥げかかった、狭苦しい玄関には、車夫の出した提灯の明りで見ると、印度人マティラム・ミスラと日本字で書いた、これだけは新しい、瀬戸物の標札がかかっています。 マティラ...
【青空朗読】八ガ岳に追いかえされる 著者:梅崎 春生 読み手:水野 礼子 時間:9分41秒 05.04.2026 9:41
八ガ岳に追いかえされる 著者:梅崎 春生 読み手:水野 礼子 時間:9分41秒 八ガ岳登山を試みたのは、昨年の八月末のことで、メンバーは僕んとこ夫妻、遠藤周作夫妻、遠藤君の教え子のグラマー嬢たちが数人、それに斎藤さんと言う人で、この斎藤さんは土地の人で、案内役をして呉れることになった。 初めは八ガ岳に登る予定じゃなかったのである。八ガ岳麓の白駒ガ池という池に行く予定であった。足弱の遠藤君が脚に自信がな...
【青空朗読】正岡子規 著者:芥川 龍之介 読み手:福井 一恵 時間:4分23秒 04.04.2026 4:23
正岡子規 著者:芥川 龍之介 読み手:福井 一恵 時間:4分23秒 北原さん。 「アルス新聞」に子規のことを書けと云ふ仰せは確に拝誦しました。子規のことは仰せを受けずとも書きたいと思つてゐるのですが、今は用の多い為に到底書い てゐる暇はありません。が、何でも書けと云はれるなら、子規に関する夏目先生や大塚先生の談片を紹介しませう。これは子規を愛する人人には間に合せの子規 論を聞かせられるよりも興味のあること...
【青空朗読】夜光虫 著者:小泉 八雲/林田 清明 訳 読み手:宮崎 満 時間:8分23秒 03.04.2026 8:23
夜光虫 著者:小泉 八雲/林田 清明 訳 読み手:宮崎 満 時間:8分23秒 月なき無窮の夜空に、あまたの星がきらめいて、横たわる天の河も、ひときわさんざめいている。風は凪いでいるが、海はざわめいている。見渡せば、ざあと一 つまた一つ押し寄せて来る小浪が、皆火のように燦めいている。黄泉の国の美しさもこのようではなかろうかと思うばかりである。真に夢のようである。小浪の 浪間は漆黒であるが、波の穂は金色を帯び...
【青空朗読】マグノリアの木 著者:宮沢 賢治 読み手:かわなみ のりこ 時間:12分59秒 02.04.2026 12:59
マグノリアの木 著者:宮沢 賢治 読み手:かわなみ のりこ 時間:12分59秒 霧がじめじめ降っていた。 諒安は、その霧の底をひとり、険しい山谷の、刻みを渉って行きました。 沓の底を半分踏み抜いてしまいながらそのいちばん高い処からいちばん暗い深いところへまたその谷の底から霧に吸いこまれた次の峯へと一生けんめい伝って行きました。 もしもほんの少しのはり合で霧を泳いで行くことができたら一つの峯から次の巌...
【青空朗読】約束 著者:夢野 久作 読み手:池戸 美香 時間:1分52秒 01.04.2026 1:52
約束 著者:夢野 久作 読み手:池戸 美香 時間:1分52秒 「ある人が橋の下で友達に会う約束をして待っていた。そのうちに雨が降って水がだんだん深くなって、その人の胸まで来た。けれどもその人は約束を守って立っていた。そのうちに水はいよいよ深くなって、その人の口の処まで来た。けれどもその人は動かなかった。そのうちに水は口から鼻から眼まで来て、とうとうその人は溺れ死んでしまった。だから約束を守るのはわるい...
【青空朗読】まえがき(『真実に生きた女性たち』) 著者:宮本 百合子 読み手:谷岡 理香 時間:8分9秒 31.03.2026 8:09
まえがき(『真実に生きた女性たち』) 著者:宮本 百合子 読み手:谷岡 理香 時間:8分9秒 ここに、四人の婦人の物語がある。何年も前に書かれたこれらの物語をきょう、くりかえし読んでみて、深く深く心を動かされることは、人間社会の歴史は、何 とたゆむことなく前進しているであろうか、ということである。そして、生活は、何と堂々たる偽り得ないものであろうか、ということである。四人の女性の一 人一人の生きた姿は、...
【青空朗読】舞姫 著者:森 鴎外 読み手:藤田 利和 時間:1時間2分4秒 30.03.2026 1:02:04
舞姫 著者:森 鴎外 読み手:藤田 利和 時間:1時間2分4秒 石炭をば早や積み果てつ。中等室の卓のほとりはいと静にて、熾熱燈の光の晴れがましきも徒なり。今宵は夜毎にこゝに集ひ来る骨牌仲間も「ホテル」に宿りて、舟に残れるは余一人のみなれば。 五年前の事なりしが、平生の望足りて、洋行の官命を蒙り、このセイゴンの港まで来(こ)し頃は、目に見るもの、耳に聞くもの、一つとして新ならぬはなく、筆に任せて書き記しつ...
【青空朗読】山羊の歌 汚れつちまつた悲しみに…… 著者:中原 中也 読み手:鈴木 佳子 時間:1分36秒 29.03.2026 1:36
山羊の歌 汚れつちまつた悲しみに…… 著者:中原 中也 読み手:鈴木 佳子 時間:1分36秒 汚れつちまつた悲しみに 今日も小雪の降りかかる 汚れつちまつた悲しみに 今日も風さへ吹きすぎる 汚れつちまつた悲しみは たとへば狐の革裘 汚れつちまつた悲しみは 小雪のかかつてちぢこまる 汚れつちまつた悲しみは なにのぞむなくねがふなく 汚れつちまつた悲しみは 倦怠のうちに死を夢む 汚れつちまつた悲しみに いたいたしくも怖気づ...
【青空朗読】山羊の歌 雪の宵 著者:中原 中也 読み手:松岡 初子 時間:1分33秒 28.03.2026 1:33
山羊の歌 雪の宵 著者:中原 中也 読み手:松岡 初子 時間:1分33秒 青いソフトに降る雪は 過ぎしその手か囁きか 白秋 ホテルの屋根に降る雪は 過ぎしその手か、囁きか ふかふか煙突煙吐いて、 赤い火の粉も刎ね上る。 今夜み空はまつ暗で、 暗い空から降る雪は…… ほんに別れたあのをんな、 いまごろどうしてゐるのやら。 ほんにわかれたあのをんな、 いまに帰つてくるのやら 徐かに私は酒...
【青空朗読】山羊の歌 サーカス 著者:中原 中也 読み手:松岡 初子 時間:1分40秒 27.03.2026 1:40
山羊の歌 サーカス 著者:中原 中也 読み手:松岡 初子 時間:1分40秒 幾時代かがありまして 茶色い戦争ありました 幾時代かがありまして 冬は疾風吹きました 幾時代かがありまして 今夜此処での一と殷盛り 今夜此処での一と殷盛り サーカス小屋は高い梁 そこに一つのブランコだ 見えるともないブランコだ 頭倒さに手を垂れて 汚れ木綿の屋蓋のもと ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん それの近くの白...
【青空朗読】山羊の歌 生ひ立ちの歌 著者:中原 中也 読み手:松岡 初子 時間:2分17秒 26.03.2026 2:17
山羊の歌 生ひ立ちの歌 著者:中原 中也 読み手:松岡 初子 時間:2分17秒 Ⅰ 幼年時 私の上に降る雪は 真綿のやうでありました 少年時 私の上に降る雪は 霙のやうでありました 十七―十九 私の上に降る雪は 霰のやうに散りました 二十―二十二 私の上に降る雪は 雹であるかと思はれた 二十三 私の上に降る雪は ひどい吹雪とみえました 二十四 私の上に降る雪は いとしめや...
【青空朗読】迷子 著者:泉 鏡花 読み手:堀口 直子 時間:9分21秒 25.03.2026 9:21
迷子 著者:泉 鏡花 読み手:堀口 直子 時間:9分21秒 お孝が買物に出掛ける道だ。中里町から寺町へ行かうとする突當の交番に人だかりがして居るので通過ぎてから小戻をして、立停つて、少し離れた處で振返つて見た。 ちやうど今雨が晴れたんだけれど、蛇の目の傘を半開にして、うつくしい顏をかくして立つて居る。足駄の緒が少し弛んで居るので、足許を氣にして、踏揃へて、袖の下へ風呂敷を入れて、胸をおさへて、顏だけ振...
【青空朗読】働く町 著者:夢野 久作 読み手:水野 久美子 時間:1分26秒 24.03.2026 1:26
働く町 著者:夢野 久作 読み手:水野 久美子 時間:1分26秒 ある国で第一番の上手というお医者さんが、ある町に招かれて来ました。お医者さんは町に着くと直ぐ、 「ここの人はどうして一日を過ごしていますか」 と尋ねました。 町の人はこう答えました。 「別に変った生活もしませんが、私達は日の出前に起床し、日が暮れて床に就き、明るいうちはせっせと働いて日を送っています。又餓じい時はお腹を一パイにするだけ御...
【青空朗読】夏の葬列 著者:山川 方夫 読み手:野中 美木子 時間:19分17秒 23.03.2026 19:17
夏の葬列 著者:山川 方夫 読み手:野中 美木子 時間:19分17秒 海岸の小さな町の駅に下りて、彼は、しばらくはものめずらしげにあたりを眺めていた。駅前の風景はすっかり変っていた。アーケードのついた明るいマーケットふうの通りができ、その道路も、固く鋪装されてしまっている。はだしのまま、砂利の多いこの道を駈けて通学させられた小学生の頃の自分を、急になまなましく彼は思い出した。あれは、戦争の末期だった。彼...
【青空朗読】走れメロス 著者:太宰 治 読み手:阿部 利恵子 時間:43分33秒 22.03.2026 43:33
走れメロス 著者:太宰 治 読み手:阿部 利恵子 時間:43分33秒 メロスは激怒した。必ず、かの邪智暴虐の王を除かなければならぬと決意した。メロスには政治がわからぬ。メロスは、村の牧人である。笛を吹き、羊と遊んで暮して来た。けれども邪悪に対しては、人一倍に敏感であった。きょう未明メロスは村を出発し、野を越え山越え、十里はなれた此のシラクスの市にやって来た。メロスには父も、母も無い。女房も無い。十六の、...
【青空朗読】泣き虫の小ぐまさん 著者:村山 籌子 読み手:ちくわさん 時間:3分28秒 21.03.2026 3:28
泣き虫の小ぐまさん 著者:村山 籌子 読み手:ちくわさん 時間:3分28秒 小ぐまさんは大変泣き虫でした。朝から晩まで、泣いてばかりゐました。 ある朝、目を覚まして、お床のなかでじつとしてゐますと、ふいに、鳥小屋のにはとりが「コケコツコー。」となきました。それをきいて、小ぐまさんは、つい、貰ひ泣きをしました。が、気がついて見ると、自分ながら、あまり馬鹿々々しいので、かう決心しました。 「にはとりのくせ...
【青空朗読】恥 著者:太宰 治 読み手:水谷 ケイコ 時間:30分19秒 20.03.2026 30:19
恥 著者:太宰 治 読み手:水谷 ケイコ 時間:30分19秒 菊子さん。恥をかいちゃったわよ。ひどい恥をかきました。顔から火が出る、などの形容はなまぬるい。草原をころげ廻って、わあっと叫びたい、と言っても未だ足りない。サムエル後書にありました。「タマル、灰を其の首に蒙り、着たる振袖を裂き、手を首にのせて、呼わりつつ去ゆけり」可愛そうな妹タマル。わかい女は、恥ずかしくてどうにもならなくなった時には、本当に...
【青空朗読】中原中也君の印象 著者:萩原 朔太郎 読み手:土屋 由美子 時間:4分17秒 19.03.2026 4:17
中原中也君の印象 著者:萩原 朔太郎 読み手:土屋 由美子 時間:4分17秒 中原君の詩はよく讀んだが、個人としては極めて淺い知合だつた。前後を通じて僅か三囘しか逢つて居ない。それも公會の席のことで、打ちとけて話したことはなかつた。ただ最後に「四季」の會で逢つた時だけは、いくらか落付いて話をした。その時中原君は、強度の神經衰弱で弱つてることを告白し、不斷に強迫觀念で苦しんでることを訴へた。話を聞くと僕...
【青空朗読】橋 著者:岡本 かの子 読み手:成 文佳 時間:8分38秒 18.03.2026 8:38
橋 著者:岡本 かの子 読み手:成 文佳 時間:8分38秒 こどものときから妙に橋というものが好きだった。こちらの岸からあちらの岸へ人工の仕掛けで渡って行ける。そういった人間の原始的功利の考えがこどもの好奇心の頭を擡げさせやすいのかとも考える。しかしそれならなんの履物ででもあれ、その上を渡りさえすれば気が済む筈である。だが私の場合は違っていた。どの橋でも真新らしい日和下駄の前を橋板に突き当てて、こんと...
【青空朗読】仲のわるい姉妹 著者:野口 雨情 読み手:小川 幸香 時間:8分6秒 17.03.2026 8:06
仲のわるい姉妹 著者:野口 雨情 読み手:小川 幸香 時間:8分6秒 ある村に、お杉とお紺と云ふ仲の悪い二人の姉妹(きやうだい)がありました。お母さんは、二人の仲がよくなるやうにと、いつも、心配をしてをりました。 ある晩方、つひ見たことのない、七八つ位のお芥子坊主が庭へ来て、 姉のお杉 妹のお紺 仲が悪くば 山の神様の 椋鳥さまに お頼みなされ と、山の方を指さし指さし謡つてをりました。お母さんは、不思...
【青空朗読】函館八景 著者:亀井 勝一郎 読み手:福井 慎二 時間:23分24秒 16.03.2026 23:24
函館八景 著者:亀井 勝一郎 読み手:福井 慎二 時間:23分24秒 連絡船に乗つて函館へ近づくと、恵山につらなる丘の上に、白堊の塔のある赤い煉瓦造りの建物が霞んでみえる。トラピスト女子修道院である。やがて函館山をめぐつて湾へ入りかけると、松前の山々につらなる丘の上に、やはり赤煉瓦造の建物と牧場がみえる。これは当別のトラピスト男子修道院である。函館の町を中心にこの二つの修道院をつなぐ半径内が、幼少年時代...
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