一般社団法人 青空朗読
青空朗読
インターネット上の図書館「青空文庫」の作品を朗読する「青空朗読」は、プロのアナウンサーによる社会貢献活動としてスタートし、最近は、朗読を学ぶ一般の方々からも作品を提供していただいています。2016年5月に一般社団法人となりました。
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Episódios
うまれて 來る 雀達 著者:新美 南吉 読み手:室 由美子 時間:3分45秒 12.11.2025 3:45
うまれて 來る 雀達 著者:新美 南吉 読み手:室 由美子 時間:3分45秒 その 雀は びつこでした。まだ やつと 飛べるやうに なつたばかりの 頃、いたづらな 少年に とらへられて 片足を ひもで 固く 縛られましたため か弱い 足は きづついて しまつたのでした。 その びつこの 雀が 麥畑の 黄く なる 頃 或る 家の 軒に 三つの 卵を うみました。 雀は うれしくて うれしくて、三つの 卵...
最後の晩餐 著者:フィオナ・マクラウド/松村 みね子 訳 読み手:宮崎 文子 時間:23分3秒 11.11.2025 23:03
最後の晩餐 著者:フィオナ・マクラウド/松村 みね子 訳 読み手:宮崎 文子 時間:23分3秒 ふいと見た夢のように私は幾度もそれを思い出す。私はその思い出の来る心の青い谿そこを幾度となくのぞき見してみる、まばたきにも、虹のひかりにも、その思い出は消えてしまう。それが私の霊の中から来る翼ある栄光であるか、それとも、幼い日に起った事であったか、よく見極めようとして近よる時――それは、昼のなかに没するあけぼの...
岡の家 著者:鈴木 三重吉 読み手:水谷 ケイコ 時間:11分1秒 10.11.2025 11:01
岡の家 著者:鈴木 三重吉 読み手:水谷 ケイコ 時間:11分1秒 岡の上に百姓のお家がありました。家がびんぼうで手つだいの人をやとうことも出来ないので、小さな男の子が、お父さんと一しょにはたらいていました。男の子は、まいにち野へ出たり、こくもつ小屋の中で仕事をしたりして、いちんちじゅう休みなくはたらきました。そして、夕方になるとやっと一時間だけ、かってにあそぶ時間をもらいました。 そのときには、男の...
橋の上で 著者:小泉 八雲/林田 清明 訳 読み手:福井 慎二 時間:12分43秒 09.11.2025 12:43
橋の上で 著者:小泉 八雲/林田 清明 訳 読み手:福井 慎二 時間:12分43秒 お抱え車夫の平七が、熊本の町の近郊にある有名なお寺院へ連れて行ってくれた。 白川に架かっている、弓のように反った、由緒ありそうな橋まで来たとき、私は平七に橋の上で停まるように言った。この辺りの景色をしばし眺めたいと思ったのである。夏空の下で、電気のような白日の光に溢れんばかりに浸されて、大地の色彩は、ほとんどこの世のもの...
私の祖父 著者:土田 耕平 読み手:小川 幸香 時間:3分31秒 08.11.2025 3:31
私の祖父 著者:土田 耕平 読み手:小川 幸香 時間:3分31秒 私は、幼いころのお父さん、お母さん、おばあさんの思ひ出は、はつきりしてをります中に、おぢいさんといふ人を少しも知りません。おぢいさんとはいつても、まだ四十二で亡くなつたのですから、私の生れるずつと先のことです。 このおぢいさんは、大そうえらい人だつたと、私の子供のじぶん、誰彼にいひきかされました。 「なぜえらいのか。」 ときゝますと、 「...
猫の事務所 〜ある小さな官衙に関する幻想〜 著者:宮沢 賢治 読み手:福井 一恵 時間:24分39秒 07.11.2025 24:39
猫の事務所 〜ある小さな官衙に関する幻想〜 著者:宮沢 賢治 読み手:福井 一恵 時間:24分39秒 軽便鉄道の停車場のちかくに、猫の第六事務所がありました。ここは主に、猫の歴史と地理をしらべるところでした。 書記はみな、短い黒の繻子の服を着て、それに大へんみんなに尊敬されましたから、何かの都合で書記をやめるものがあると、そこらの若い猫は、どれもどれも、みんなそのあとへ入りたがつてばたばたしました。 ...
家族といふもの 著者:亀井 勝一郎 読み手:二宮 正博 時間:9分6秒 06.11.2025 9:06
家族といふもの 著者:亀井 勝一郎 読み手:二宮 正博 時間:9分6秒 青年時代に、自我にめざむるにつれて、人は次第に家族から孤立せざるをえないやうになる。自分の友情、恋愛、求道については、両親は必ずしも良き教師ではない。むしろ敵対者としてあらはれる場合が多いであらう。これは家族制度そのものの罪とのみは言へまい。どのやうに自由な家族であつても青年はひとたびは離反するであらう。孤立せんとする精神にとつて...
仙人 著者:芥川 龍之介 読み手:三田 朱美 時間:11分33秒 05.11.2025 11:33
仙人 著者:芥川 龍之介 読み手:三田 朱美 時間:11分33秒 皆さん。 私は今大阪にいます、ですから大阪の話をしましょう。 昔、大阪の町へ奉公に来た男がありました。名は何と云ったかわかりません。ただ飯炊奉公に来た男ですから、権助とだけ伝わっています。 権助は口入れ屋の暖簾をくぐると、煙管を啣えていた番頭に、こう口の世話を頼みました。 「番頭さん。私は仙人になりたいのだから、そう云う所へ住みこませて...
臨終まで 著者:梶井 久 読み手:宮崎 文子 時間:19分6秒 04.11.2025 19:06
臨終まで 著者:梶井 久 読み手:宮崎 文子 時間:19分6秒 彼は永年病魔と闘いました。何とかしてその病魔を征服しようと努力しました。私も又彼を助けて、共にその病魔を斃そうと勉めましたが、遂に最後の止めを刺されたのであります。 本年二月二十六日の事です。何だか身体の具合が平常と違ってきて熱の出る時間も変り、痰も出ず、その上何処となく息苦しいと言いますから、早速かかりつけの医師を迎えました。その時、医...
納豆合戦 著者:菊池 寛 読み手:福井 慎二 時間:14分33秒 03.11.2025 14:33
納豆合戦 著者:菊池 寛 読み手:福井 慎二 時間:14分33秒 一 皆さん、あなた方は、納豆売の声を、聞いたことがありますか。朝寝坊をしないで、早くから眼をさましておられると、朝の六時か七時頃、冬ならば、まだお日様が出ていない薄暗い時分から、 「なっと、なっとう!」と、あわれっぽい節を付けて、売りに来る声を聞くでしょう。もっとも、納豆売は、田舎には余りいないようですから、田舎に住んでいる方は、まだ...
狐のつかい 著者:新美 南吉 読み手:室 由美子 時間:4分21秒 02.11.2025 4:21
狐のつかい 著者:新美 南吉 読み手:室 由美子 時間:4分21秒 山のなかに、猿や鹿や狼や狐などがいっしょにすんでおりました。 みんなはひとつのあんどんをもっていました。紙ではった四角な小さいあんどんでありました。 夜がくると、みんなはこのあんどんに灯をともしたのでありました。 あるひの夕方、みんなはあんどんの油がもうなくなっていることに気がつきました。 そこでだれかが、村の油屋まで油を買いにゆ...
横綱 著者:太宰 治 読み手:小川 幸香 時間:2分10秒 01.11.2025 2:10
横綱 著者:太宰 治 読み手:小川 幸香 時間:2分10秒 二、三年前の、都新聞の正月版に、私は横綱男女ノ川に就いて書いたが、ことしは横綱双葉山に就いて少し書きましょう。 私は、角力に就いては何も知らぬのであるが、それでも、横綱というものには無関心でない。或る正直な人から聞いた話であるが、双葉山という男は、必要の 無いことに対しては返辞をしないそうである。お元気ですか。お寒いですね。おいそがしいでしょ...
質屋の小僧 著者:宇野 浩二 読み手:松岡 初子 時間:23分31秒 31.10.2025 23:31
質屋の小僧 著者:宇野 浩二 読み手:松岡 初子 時間:23分31秒 私がどんなに質屋の世話になつたかといふ事は、これまで、小説に、随筆に、既にしばしば書いたことである。だが、私だとても、あの暖簾を単独でくぐるやうになる迄には、余程の決心を要した。私が友人を介して質屋の世話になり始めてから、友人なしに私一人でそこの敷居をまたぐやうになつた迄には、少なくとも二年の月日がかかつた。 それは私が二十四歳の秋...
十三年 著者:山川 方夫 読み手:西村 文江 時間:9分24秒 30.10.2025 9:24
十三年 著者:山川 方夫 読み手:西村 文江 時間:9分24秒 明るい昼すぎの喫茶店で、彼は友人と待ち合わせた。友人はおくれていた。 客のない白い円テーブルが、いくつかつづいている。夏のその時刻は客の数もまばらで、そのせいか、がらんとした店内がよけいひろくみえる。 ふと、彼は、彼をみつめている一つの眼眸に気づいた。生温くなった珈琲にゆっくりと手をのばして、彼は、同じ窓ぎわの、五、六メートル先きのテー...
玉虫のおばさん 著者:小川 未明 読み手:緒方 朋恵 時間:9分48秒 29.10.2025 9:48
玉虫のおばさん 著者:小川 未明 読み手:緒方 朋恵 時間:9分48秒 ある日、春子さんが、久代さんの家へ遊びにまいりますと、 「ねえ、春子さん、きれいなものを見せてあげましょうか。」と、いって、久代さんは、ひきだしの中から、小さなきりの箱を取り出しました。 「この中に、なにが入っているか、あててごらんなさい。」と、笑いながら、いいました。 春子さんは、なんだろうと思いました。いくら頭をかしげてもわかり...
死霊 著者:小泉 八雲/田部 隆次 訳 読み手:福井 慎二 時間:6分11秒 28.10.2025 6:11
死霊 著者:小泉 八雲/田部 隆次 訳 読み手:福井 慎二 時間:6分11秒 越前の国の代官、野本彌治衞門の歿した時、その下役の者共相謀って、その故主人の遺族をだまそうとした、代官の負債の幾分を償却すると云う口実の下に、その家の財宝家具全部を押えた。その上、故主人が無法にも自分の資産の価値以上の債務を契約したように見える偽りの報告書を整えた。この偽りの報告を彼等は宰相に送った、そこで宰相は越前の国から野...
懐中時計 著者:夢野 久作 読み手:畠山 有香 時間:1分4秒 27.10.2025 1:04
懐中時計 著者:夢野 久作 読み手:畠山 有香 時間:1分4秒 懐中時計が箪笥の向う側へ落ちて一人でチクタクと動いておりました。 鼠が見つけて笑いました。 「馬鹿だなあ。誰も見る者はないのに、何だって動いているんだえ」 「人の見ない時でも動いているから、いつ見られても役に立つのさ」 と懐中時計は答えました。 「人の見ない時だけか、又は人が見ている時だけに働いているものはどちらも泥棒だよ」 鼠は恥かしく...
男心とはかうしたもの 女のえらさと違う偉さ 著者:岡本 かの子 読み手:宮崎 文子 時間:3分23秒 26.10.2025 3:23
男心とはかうしたもの 女のえらさと違う偉さ 著者:岡本 かの子 読み手:宮崎 文子 時間:3分23秒 尊敬したい気持 結婚前は、男子に対する観察などいつても、甚だ漠然としたもので、寧ろこの時代には、男とも、女とも意識しなかつた位です。 それが結婚して、やうやく男子に対する自覚が出来、初めて男といふものが解つた時、私の感じたのは、男子といふものは事業慾が強くて、一般に利己主義なものだと思ひました。...
お鍋とおやかんとフライパンのけんくわ 著者:村山 籌子 読み手:福井 一恵 時間:5分23秒 25.10.2025 5:23
お鍋とおやかんとフライパンのけんくわ 著者:村山 籌子 読み手:福井 一恵 時間:5分23秒 よう子ちやんはお台所が大好きでした。なぜといつて、お料理のにほひはほんとにおいしさうなんですもの。それに、おさじや フオークや お茶碗や お皿などがカチン、カチン、チヤラ、チヤラと可愛いい音をたててゐます。それからもつと、色んな音がします。 お鍋の中ではクツタ、クツタ、クツタとお湯のにたつ音がしますし、ジヤ、...
夢 著者:芥川 龍之介 読み手:二宮 正博 時間:3分11秒 24.10.2025 3:11
夢 著者:芥川 龍之介 読み手:二宮 正博 時間:3分11秒 夢の中に色彩を見るのは神経の疲れてゐる証拠であると云ふ。が、僕は子供の時からずつと色彩のある夢を見てゐる。いや、色彩のない夢などと云ふものはあることも殆ど信ぜられない。現に僕はこの間も夢の中の海水浴場に詩人のH・K君とめぐり合つた。H・K君は麦藁帽をかぶり、美しい紺色のマントを着てゐた。僕はその色に感心したから、「何色ですか?」と尋ねて見...
満願 著者:太宰 治 読み手:三田 朱美 時間:6分21秒 23.10.2025 6:21
満願 著者:太宰 治 読み手:三田 朱美 時間:6分21秒 これは、いまから、四年まえの話である。私が伊豆の三島の知り合いのうちの二階で一夏を暮し、ロマネスクという小説を書いていたころの話である。或る夜、酔いながら自転車に乗りまちを走って、怪我をした。右足のくるぶしの上のほうを裂いた。疵は深いものではなかったが、それでも酒をのんでいたために、出血がたいへんで、あわててお医者に駈けつけた。まち医者は三十...
短夜の頃 著者:島崎 藤村 読み手:齊藤 雅美 時間:10分29秒 22.10.2025 10:29
短夜の頃 著者:島崎 藤村 読み手:齊藤 雅美 時間:10分29秒 毎日よく降つた。もはや梅雨明けの季節が來ている。町を呼んで通る竿竹賣の聲がするのも、この季節にふさはしい。蠶豆賣の來る頃は既に過ぎ去り、青梅を賣りに來るにもやゝ遲く、すゞしい朝顏の呼聲を聞きつけるにはまだすこし早くて、今は青い唐辛の荷をかついだ男が來はじめる頃だ。住めば都とやら。山家生れの私なぞには、さうでもない。むしろ住めば田舍といふ...
徒歩旅行を読む 著者:正岡 子規 読み手:宮崎 文子 時間:8分25秒 21.10.2025 8:25
徒歩旅行を読む 著者:正岡 子規 読み手:宮崎 文子 時間:8分25秒 紀行文をどう書いたら善いかという事は紀行の目的によって違う。しかし大概な紀行は純粋の美文的に書くものでなくてもやはり出来るだけ面白く書こうとする即美文的に書こうとする、故に先ず面白く書くという事はその紀行全部の目的でなくても少くも目的の五分は必ずこれであると極めて置いて、さてその外の五分は人によって種々雑多に書かれて居る事である。...
忠五郎のはなし 著者:小泉 八雲/田部 隆次 訳 読み手:福井 慎二 時間:17分33秒 20.10.2025 17:33
忠五郎のはなし 著者:小泉 八雲/田部 隆次 訳 読み手:福井 慎二 時間:17分33秒 昔、江戸小石川に鈴木と云う旗本があって、屋敷は江戸川の岸、中の橋に近い所にあった。この鈴木の家来に忠五郎と云う足軽がいた。容貌の立派な、大層愛想のいい、怜悧な若者で、同僚の受けも甚だよかった。 忠五郎は鈴木に仕えてから数年になるが、何等非難の打ち所のない程身持もよかった。しかし遂に外の足軽は、忠五郎が毎夜、庭から抜...
オペラの辻 著者:岡本 かの子 読み手:水野 久美子 時間:17分28秒 19.10.2025 17:28
オペラの辻 著者:岡本 かの子 読み手:水野 久美子 時間:17分28秒 巴里は世界の十字路といわれている。巴里の中でもブラス・ドゥ・オペラ(オペラの辻)は巴里の十字路といわれている。 冬の日が暮れると神廟のようなオペラの建物は闇の中にいよいよ黒く静まり返える。オペラの開幕は八時だから今はまだその広い入口の敷石に衛戍の兵士が派手な制服で退屈な立番の足を踏み代えているだけである。その前にすぐ地下鉄の出入...
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