一般社団法人 青空朗読

青空朗読

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インターネット上の図書館「青空文庫」の作品を朗読する「青空朗読」は、プロのアナウンサーによる社会貢献活動としてスタートし、最近は、朗読を学ぶ一般の方々からも作品を提供していただいています。2016年5月に一般社団法人となりました。

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Jul 11, 2026

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Episodes

ムジナモ発見物語り 著者:牧野 富太郎 読み手:福井 一恵 時間:9分26秒 09.10.2025

ムジナモ発見物語り 著者:牧野 富太郎 読み手:福井 一恵 時間:9分26秒  じつとしていて静かに往時を追懐してみると、次から次に、あの事この事と、いろいろ過去の事件が思い出される、何を言え九十余年の長い歳月のことであれば、そうあるべきである筈なのである。  しかし、ふつうのありふれた事柄は、たとえ実践してきた自身のみには、多少の趣きはあるとしても、他人には別にさほどの興味も与えまいから、そこで私はその...

「の」の字の世界 著者:佐藤 春夫 読み手:池戸 美香 時間:4分44秒 08.10.2025

「の」の字の世界 著者:佐藤 春夫 読み手:池戸 美香 時間:4分44秒  うたちゃんは、三人兄弟の末で、来年からは幼稚園へ行こうというのですが、早くから、自分ではお姉ちゃん気どりで「えいちゃん」「えいちゃん」と、自分をよんでいます。「えいちゃん」とは、ねえちゃんのかたことなのです。  うたちゃんは、「えいちゃん」だけに、二つ上のなき虫の兄がなくと、すぐ手ぬぐいを持って行って、なみだをふいてやったり、頭を...

ある男の死 著者:岡本 かの子 読み手:西村 文江 時間:4分28秒 07.10.2025

ある男の死 著者:岡本 かの子 読み手:西村 文江 時間:4分28秒  A! 女学校では、当時有名な話でありました。それは 『二時間目事件。』  といふのでした。  新学期がはじまつてから二ヶ月程後のある日、朝から二時間目の歴史の時間に起つたこと。と書きたてるほど大げさなことでもないのに、それをそれほど有名にしたのは、まつたく、その男の――つまり、その歴史の時間での先生である溝口文学士の性格によるのでした。...

待つ 著者:太宰 治 読み手:三田 朱美 時間:7分25秒 06.10.2025

待つ 著者:太宰 治 読み手:三田 朱美 時間:7分25秒  省線のその小さい駅に、私は毎日、人をお迎えにまいります。誰とも、わからぬ人を迎えに。  市場で買い物をして、その帰りには、かならず駅に立ち寄って駅の冷いベンチに腰をおろし、買い物籠を膝に乗せ、ぼんやり改札口を見ているのです。上り下 りの電車がホームに到着するごとに、たくさんの人が電車の戸口から吐き出され、どやどや改札口にやって来て、一様に怒って...

金沢の思ひ出  著者:中原 中也 読み手:松岡 初子 時間:11分14秒 05.10.2025

金沢の思ひ出 著者:中原 中也 読み手:松岡 初子 時間:11分14秒  私が金沢にゐたのは大正元年の末から大正三年の春迄である。住んでゐたのは野田寺町の照月寺(字は違つてゐるかも知れない)の真ン前、犀川に臨む庭に、大きい松の樹のある家であつた。その松の樹には、今は亡き弟と或時叱られて吊り下げられたことがある。幹は太く、枝は大変よく拡がつてゐたが、丈は高くない松だつた。昭和七年の夏金沢を訪れた時、その松が...

お時儀 著者:芥川 龍之介 読み手:水野 久美子 時間:17分40秒 04.10.2025

お時儀 著者:芥川 龍之介 読み手:水野 久美子 時間:17分40秒  保吉は三十になったばかりである。その上あらゆる売文業者のように、目まぐるしい生活を営んでいる。だから「明日」は考えても「昨日」は滅多に考えない。しかし往来を歩いていたり、原稿用紙に向っていたり、電車に乗っていたりする間にふと過去の一情景を鮮かに思い浮べることがある。それは従来の経験によると、たいてい嗅覚の刺戟から聯想を生ずる結果らしい...

小さき者へ 著者:有島 武郎 読み手:福井 慎二 時間:43分34秒 03.10.2025

小さき者へ 著者:有島 武郎 読み手:福井 慎二 時間:43分34秒  お前たちが大きくなって、一人前の人間に育ち上った時、――その時までお前たちのパパは生きているかいないか、それは分らない事だが――父の書き残したものを繰拡げて見る機会があるだろうと思う。その時この小さな書き物もお前たちの眼の前に現われ出るだろう。時はどんどん移って行く。お前たちの父なる私がその時お前たちにどう映るか、それは想像も出来ない事だ...

劇の好きな子供たちへ 著者:岸田 國士 読み手:宮崎 文子 時間:26分42秒 02.10.2025

劇の好きな子供たちへ 著者:岸田 國士 読み手:宮崎 文子 時間:26分42秒 1 劇をやるのは何のためだろう  子供たちが集まって劇をするということは、楽しい遊びであると同時に、おたがいの勉強であるということを忘れないようにしたい。  楽しい遊びであるからには、思う存分、自分が面白いと思うように、そして、人も面白がるようにやるのがいい。自分だけが面白く、人にはそれほど面白くないというようなやり方、あるいは...

ウサギ 著者:新美 南吉 読み手:室 由美子 時間:3分40秒 01.10.2025

ウサギ 著者:新美 南吉 読み手:室 由美子 時間:3分40秒  ヒトリノ アキナヒガ ヤツテ キマシタ。  ウサギノ ハイツタ カゴヲ モツテ ヲリマシタ。  ソノ クセ、 「ロバノ コハ イリマセンカ、ロバノ コ」 ト ヨンデ アルキマシタ。  チヤウサンハ チヨウド、ロバガ イツピキ ホシイト オモツテ ヰタ トコロデシタノデ、アキナヒノ モツテ ヰル カゴヲ ノゾイテ ミマシタ。 「ヤア、チヒサイネ」...

マロニエの花 著者:岡本 かの子 読み手:齋藤 こまり 時間:3分26秒 30.09.2025

マロニエの花 著者:岡本 かの子 読み手:齋藤 こまり 時間:3分26秒  父親が英国好きの銀行家であるために初め一年間はぜひともロンドンに住み、それからあとは目的のパリ留学に向わして貰える約束を持った青年画家があった。いやいや住んでいるものだからいつもロンドンからパリに行くことをあこがれていた。その画家はパリにあこがれるのによくこういう言葉を使った。  ――おおマロニエの花よ」  そしてその花の咲くころそ...

悪妻論  著者:坂口 安吾 読み手:二宮 正博 時間:13分46秒 29.09.2025

悪妻論 著者:坂口 安吾 読み手:二宮 正博 時間:13分46秒  悪妻には一般的な型はない。女房と亭主の個性の相対的なものであるから、わが平野謙の如く(彼は僕らの仲間では大愛妻家という定説だ)先日両手をホータイでまき、日本が木綿不足で困っているなどとは想像もできない物々しいホータイだ。肉がえぐられる深傷だという無慙な話であるけれども、彼の方が女房の横ッ面をヒッパたいたことすらもないという沈着なる性格、深...

だしの取り方  著者:北大路 魯山人 読み手:三田 朱美 時間:8分33秒 28.09.2025

だしの取り方 著者:北大路 魯山人 読み手:三田 朱美 時間:8分33秒  かつおぶしはどういうふうに選択し、どういうふうにして削るか。まず、かつおぶしの良否の簡単な選択法をご披露しよう。よいかつおぶしは、かつおぶしとか つおぶしとを叩き合わすと、カンカンといってまるで拍子木か、ある種の石を鳴らすみたいな音がするもの。虫の入った木のように、ポトポトと音のする湿っぽ い匂いのするものは悪いかつおぶし。  本節...

永日小品 泥棒 著者:夏目 漱石 読み手:西村 文江 時間:13分34秒 27.09.2025

永日小品 泥棒 著者:夏目 漱石 読み手:西村 文江 時間:13分34秒  寝ようと思って次の間へ出ると、炬燵の臭がぷんとした。厠の帰りに、火が強過ぎるようだから、気をつけなくてはいけないと妻に注意して、自分の部屋へ引取った。もう十一時を過ぎている。床の中の夢は常のごとく安らかであった。寒い割に風も吹かず、半鐘の音も耳に応えなかった。熟睡が時の世界を盛り潰したように正体を失った。  すると忽然として、女の...

ねずみの嫁入り 著者:楠山 正雄 読み手:福井 一恵 時間:6分4秒 26.09.2025

ねずみの嫁入り 著者:楠山 正雄 読み手:福井 一恵 時間:6分4秒  むかし、むかし、ある家のお倉の中に、お米を持って、麦を持って、粟を持って、豆を持って、たいそうゆたかに暮らしているお金持ちのねずみが住んでおりました。  子供がないので神さまにお願いしますと、やっと女の子が生まれました。その子はずんずん大きくなって、かがやくほど美しくなって、それはねずみのお国でだれ一人くらべるもののない日本一のいい...

恋 著者:正岡 子規 読み手:宮崎 文子 時間:7分27秒 25.09.2025

恋 著者:正岡 子規 読み手:宮崎 文子 時間:7分27秒  昔から名高い恋はいくらもあるがわれは就中八百屋お七の恋に同情を表するのだ。お七の心の中を察すると実にいじらしくていじらしくてたまらん処がある。やさしい可愛らしい彼女の胸の中には天地をもとろかすような情火が常に炎々として燃えて居る。その火の勢が次第に強くなりて抑えきれぬために我が家まで焼くに至った。終には自分の身をも合せてその火中に投じた。世人...

茶碗の中  著者:小泉 八雲/田部 隆次 訳 読み手:福井 慎二 時間:10分31秒 24.09.2025

茶碗の中 著者:小泉 八雲/田部 隆次 訳 読み手:福井 慎二 時間:10分31秒  読者はどこか古い塔の階段を上って、真黒の中をまったてに上って行って、さてその真黒の真中に、蜘蛛の巣のかかった処が終りで外には何もないことを見出したことがありませんか。あるいは絶壁に沿うて切り開いてある海ぞいの道をたどって行って、結局一つ曲るとすぐごつごつした断崖になっていることを見出したことはありませんか。こういう経験の感...

ばべるの塔 著者:沖野 岩三郎 読み手:小川 幸香 時間:6分54秒 23.09.2025

ばべるの塔 著者:沖野 岩三郎 読み手:小川 幸香 時間:6分54秒  まだ、電話も電信も、なんにもない、五六千年も、まへのおはなしです。  ひろいひろい、のはらを、みつけた男がありました。あまり、けしきがよいので、そのまんなかに、一けんの家を、たてました。すると、いつのまにか、われ もわれもと、そこへ、何十万の人が、あつまつて来て、五六年めには、たいへん大きな、町になつて、しまひました。  ところが、ここ...

捨児 著者:芥川 龍之介 読み手:齊藤 雅美 時間:20分47秒 22.09.2025

捨児 著者:芥川 龍之介 読み手:齊藤 雅美 時間:20分47秒  「浅草の永住町に、信行寺と云う寺がありますが、――いえ、大きな寺じゃありません。ただ日朗上人の御木像があるとか云う、相応に由緒のある寺だそうです。その寺の門前に、明治二十二年の秋、男の子が一人捨ててありました。それがまた生れ年は勿論、名前を書いた紙もついていない。――何でも古い黄八丈の一つ身にくるんだまま、緒の切れた女の草履を枕に、捨ててあっ...

朝 著者:太宰 治 読み手:三田 朱美 時間:10分18秒 21.09.2025

朝 著者:太宰 治 読み手:三田 朱美 時間:10分18秒  私は遊ぶ事が何よりも好きなので、家で仕事をしていながらも、友あり遠方より来るのをいつもひそかに心待ちにしている状態で、玄関が、がらっとあくと眉をひそめ、口をゆがめて、けれども実は胸をおどらせ、書きかけの原稿用紙をさっそく取りかたづけて、その客を迎える。 「あ、これは、お仕事中ですね。」 「いや、なに。」  そうしてその客と一緒に遊びに出る。  けれ...

赤い魚と子供 著者:小川 未明 読み手:緒方 朋恵 時間:9分54秒 20.09.2025

赤い魚と子供 著者:小川 未明 読み手:緒方 朋恵 時間:9分54秒  川の中に、魚がすんでいました。  春になると、いろいろの花が川のほとりに咲きました。木が、枝を川の上に拡げていましたから、こずえに咲いた、真紅な花や、またうす紅の花は、その美しい姿を水の面に映したのであります。  なんのたのしみもない、この川の魚たちは、どんなに上を向いて、水の面に映った花をながめてうれしがったでありましょう。 「なんと...

地震雑感 著者:寺田 寅彦 読み手:二宮 正博 時間:19分26秒 19.09.2025
じゅりあの・吉助 著者:芥川 龍之介 読み手:水野 久美子 時間:12分14秒 18.09.2025

じゅりあの・吉助 著者:芥川 龍之介 読み手:水野 久美子 時間:12分14秒    一  じゅりあの・吉助は、肥前国彼杵郡浦上村の産であった。早く父母に別れたので、幼少の時から、土地の乙名三郎治と云うものの下男になった。が、性来愚鈍な彼は、始終朋輩の弄り物にされて、牛馬同様な賤役に服さなければならなかった。  その吉助が十八九の時、三郎治の一人娘の兼と云う女に懸想をした。兼は勿論この下男の恋慕の心などは顧...

毒草 著者:江戸川 乱歩 読み手:福井 慎二 時間:21分6秒 17.09.2025

毒草 著者:江戸川 乱歩 読み手:福井 慎二 時間:21分6秒  よく晴れた秋の一日であった。仲のよい友達が訪ねて来て、一しきり話がはずんだあとで、「気持のいい天気じゃないか。どうだ、そこいらを少し歩こうか」ということになって、私とその友達とは、私の家は場末にあったので、近くの広っぱへと散歩に出掛けたことであった。  雑草の生い茂った広っぱには、昼間でも秋の虫がチロチロと鳴いていた。草の中を一尺ばかりの小...

子供に化けた狐 著者:野口 雨情 読み手:室 由美子 時間:8分36秒 16.09.2025

子供に化けた狐 著者:野口 雨情 読み手:室 由美子 時間:8分36秒  子供に化けて、大人をだます悪い狐がをりました。  三五郎と云ふ百姓が、馬を曳いて帰つて来ますと、道の端に七八つ位の一人の子供が泣いてゐました。  三五郎は、狐が化けてゐるのだと気づきましたから、わざと知らない振りをして通りすぎようとしました。子供は三五郎の方を見い見い余計に泣きました。  どこまでも知らない振りをして三五郎が通つて来ま...

パナマ運河を開いた話 著者:鈴木 三重吉 読み手:谷岡 理香 時間:16分29秒 15.09.2025

パナマ運河を開いた話 著者:鈴木 三重吉 読み手:谷岡 理香 時間:16分29秒    一  パナマの運河といへば、だれにもおわかりのとほり、南北アメリカのまん中の、一とうせまい、約五十マイルの地峡をきりひらいて、どんな大きな軍艦でもとほれるやうにこしらへたほりわりです。これは今から十五年まへに出来上つたのですが、最初アメリカ合衆国政府が、パナマ共和国に同意させて、あのほりわりをひらく計画をたてたのは五十...

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