闇と鮒

オーディオドラマ「五の線3」

Fiction JA ↓ 100 episodes

【一話からお聴きになるには】 http://gonosen3.seesaa.net/index-2.html からどうぞ。 「五の線」の人間関係性による事件。それは鍋島の死によって幕を閉じた。 それから間もなくして都心で不可解な事件が多発する。 物語の舞台は「五の線2」の物語から6年後の日本。 ある日、金沢犀川沿いで爆発事件が発生する。ホームレスが自爆テロを行ったようだとSNSを介して人々に伝わる。しかしそれはデマだった。事件の数時間前に現場を通りかかったのは椎名賢明(しいな まさあき)。彼のパ

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闇と鮒

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Fiction

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Oct 4, 2025

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Episodes

167 第156話 14.07.2023

3-156.mp3出社した椎名だったが、やはり体調が優れないと言うことで今日は休むこととした。「どこに向かっている。」「とりあえず一旦家に帰ります。あてもなく車を走らせるのも、見つかったらリスクですから。」雨脚が強くなっている。滝のように降るそれはフロントガラスから見えるはずの景色を白いしぶきのようなもので覆い、視界は極めて悪い。前方の車のストップランプが断続的に光る。椎名の運転する車は減速せざるをえなか...

166 第155話 30.06.2023

3-155.mp3「くせぇ…臭すぎる。」「どうしました。次郎アニキ。」「ほら見てみろよ。」顔面に切り傷のようなものが十字に入った男に前に次郎は出力した紙を並べた。「これが例の白人だ。」次郎が指す白人はどうやら2日前の4月28日からこのホテルのスイートルームに泊まっているらしい。雨澤が作り出した画像解析ソフトが、時間をかけずにそのことを次郎に示していた。このホテルにはスイートルームは2室があり、一方はこの白人。そ...

165 第154話 16.06.2023

3-154.mp3椎名が乗り込んだ車は何事もなかったように、そのまま北署を出発した。その様子を窓から眺めていた百目鬼が誰に言うわけでもなくつぶやいた。「気づかれることを心配せず、椎名をおおっぴらに尾行できるだけマシになった。浮いた人員は別の方面に回せる。」「油断は禁物です。」片倉が苦言を呈した。「心配してもどうしようもない。いずれにせよこれで椎名は丸裸だ。気楽にいこう。」百目鬼が楽観的な見解を示したそのと...

164.2 第153話【後編】 02.06.2023

3-153-2.mp3前進党幹事長、仲野康哉に呼び出された陶は議員会館の彼の部屋の前に居た。ノック音ドアが開かれ秘書の男性が彼を迎えた。「先生はいま会議室でミーティング中です。先生の執務室でお待ちいただけますか?」執務室に通された陶はソファに腰をかけた。「もうしばらくしたら終わりますので、しばらくお待ちください。」ドアが閉まる音すっくと立ち上がった陶は窓際に立った。衆議院第一議員会館8階のこの位置からは首相官...

164.1 第153話【前編】 02.06.2023

3-153-1.mp3雨が窓を打ち付ける。電話が相手につながるまでの間、その様子を見ていた小寺はため息をついた。「はい。」「あ、明石隊長。小寺です。」「聞いたよ。相手はもう勘づいているというわけだ。」「はい。」「取り逃がした連中は。」「申し訳ございません。」電話の向こう側から嘆息が聞こえた。「巻かれました。申し訳ございません。」再び小寺は謝った。「やめろ。過ぎたことだ。で、突っ込んできた外国人は?」「自ら命...

163.2 第152話【後編】 19.05.2023

3-152-2.mp3ドアが開かれると襟元を緩めた40代後半と思われる男、それに続いて記録係が現れた。彼は椎名と向かい合って座った。「話は富樫から聞いた。俺が責任者の百目鬼だ。」「責任者…。」「ああ警察庁警備局公安特課課長補佐 百目鬼和成だ。本件の現場責任者だ。現場の指揮は俺に一任されている。」警察手帳を見せながら百目鬼は椎名に言った。「結論から言う。われわれ公安特課は椎名賢明。君のオファーを受け入れる。」椎名...

163.1 第152話【前編】 19.05.2023

3-152-1.mp3「キンタイで椎名をパクっちまおうかとの話もあったが、その協議の最中、当の本人が出頭となったわけよ。」椎名を取り調べている金沢北署に入った片倉らは、岡田と富樫に特高内での会議の内容を簡潔に報告した。「出頭のタイミングといい、マルトクのスパイになりますという申し出といい、話が出来すぎとる。こいつは最高レベルの警戒態勢を敷かんといかんってことで、こちらの百目鬼理事官にもお越しいただいた。たっ...

162 第151話 05.05.2023

3-151.mp3「え?見た?」「はい。数時間前です。目鼻立ちがくっきりしてるけど、身体の線が細くってちょっとアンバランスな感じがしたんで覚えています。」相馬は駅に隣接するホテルの事務所にあった。「どの部屋に?」「それはわかりません。」「カメラ見せてもらって良いですか。」「あ…はい…。」「支配人。」フロントの女性が困惑した様子で部屋に入ってきた。「なに?」「例のあの方が支配人を呼んでます。」「マジかぁ…。」支...

161 第150話 21.04.2023

3-150.mp3「朝戸離脱。朝戸は武蔵が辻方面に向かいました。」「古田さんは。」「距離を置いて尾行の構え。」「朝戸班は両名をつけろ。」「了解。」「内灘より本部。」息つく間もなく無線が入る。「はい本部。」「先ほど応援依頼した人員が未着です。状況どうですか。」担当者と岡田が目を合わせる。「すいません。引き継ぎ漏れです。どこから応援をよこすって言ってました?」「朝戸班と聞いています。」担当官は直ぐさま朝戸班に...

160 第149話 07.04.2023

3-149.mp3広すぎる。部屋も調度品もベッドも何もかも。自分ひとりでは完全に持て余してしまう。落ち着かない。浮世離れしたこの環境が自分の心の安寧を妨げる。そう思っていた。いやそう思おうとする自分があった。ドアを開く音ーあれ…。なんだこの感じ…。「お客様。どうされました?」「あ、あぁ…。」147この部屋に案内されるときに背中に感じた妙な感覚。あれは一体何だったのか。どうしてあの白人を見た瞬間、悪寒を感じたのか...

159 第148話 23.03.2023

3-148-1.mp3金沢駅隣接のファッションビル。「どうや。」「あ!古田さん!」「しーっ。声でかい。」「あ…すいません…。」久美子の様子を監視している協力者と合流した古田だった。「ほらあのちょっと奥まったところあるでしょ。」エレベータ乗り場に休憩スペースのようなものがある。そこから奥のトイレと喫煙所に続く通路があり、その方面を男は目で指した。「いまあそこにいます。便所でも行ってんでしょうか。」「で、どんな感...

158 第147話 10.03.2023

3-147.mp3「世に出ないように緊急逮捕で身柄を抑えましょう。」「逮捕後の立証が難しいのだぞ。」「しかしこのまま指を咥えて待つというわけには…。」「もちろん。そのつもりはない。」 146百目鬼が捜査員にこう答えたときのことである。男が若林の元にやってきて彼に耳打ちした。「なに…。」「どうした?」松永が若林に聞く。「椎名賢明が金沢北署に出頭したようです。」「なん…だ…と…。」特高上層部三名の表情が明らかにおかし...

157 第146話 24.02.2023

3-146.mp34月30日木曜 7時半警視庁公安特課機動捜査班は警視庁内の会議室に集結していた。総勢30名。全国各地から集められた凄腕の公安警察たちだ。「定刻なので始める。」若林がそう言うと松永がマイクを持った。「おはよう。」全員が松永に挨拶を返す。「前置きは無しだ。我が国始まって以来の危機が目前に迫っている。」こう言うと正面の大型モニターにある眼鏡をかけた男性の画像が映し出された。どこにでもいる顔立ち。グレ...

156 第145話 10.02.2023

3-145.mp3「このことは京子には話して良いのでしょうか。」「駄目や。」「…ですよね。」「もちろんマルKも無しや。」「わかっています。」「…頼む。」「はい。」「説得できるか。」「やるしかないでしょう。」「そうか。」「任せてください。」頼んだと言って電話は切られた。別室に籠もっていた黒田は部屋を出た。偶然前を京子が通りかかった。「あ、デスク。」「おう。」「早速面白い話入ってきました。」「え?何のこと?」「何...

155 第144話 20.01.2023

3-144.mp3「本部から各局 ケントク捜査員冴木亮の逃走事案につき 6時47分 6時47分鞍月1丁目1番地中心の10キロ圏警戒態勢を発令する。 実施署は金沢北、金沢南、松任、野々市、津幡中央、川北、寺井、辰口 の各署とし同一に体制はいずれも甲号とする。」「ケントク岡田から相馬。」「はい相馬。」「いまの無線の通りだ。相馬も冴木亮の警戒に当たって欲しい。」「わかりました。」「いま何やってる。」「石大病院の様子を伺ってい...

154 第143話 06.01.2023

3-143-1.mp3着信バイブそれは一度の震えで止まった。病室のドアを開く音靴の音「容態は。」「安定しています。今は眠っています。」「そうか。」「極度の疲労が原因かと。」「特高はこれからどうするんだ。百目鬼理事官。」「若林警視正が片倉の後を引き継ぎます。」「大丈夫なのか。」「問題ありません。松永課長の人選です。朝倉事件時、石川で活躍した人物です。私がこうして上杉情報官と直接お会いできるのも若林警視正の調整...

153 第142話 23.12.2022

3-142.mp3最上殺害の実行犯は朝戸であると告げてきたあの男はいったいどういう立場の人間なのか。そもそも自分が山県久美子の監視をしているのは公安特課のごく限られた人間しか知らない事実。そうなると中の人間の線は薄い。「どうやって公安特課からネタを仕入れることができる言うんや…。」古田は煙を吐く。「…当初から言われとったしな、モグラの存在…。」ーモグラを使ってまでマルトクの内情を知りたい存在。それは何か…。「...

152 第141話 09.12.2022

3-141-re.mp3古田は目を覚ました。枕元のにある腕時計を手にすると、それは8時を示していた。「え!?」前日の疲労の度合いが何であろうと、いつも朝5時には目が覚める。それが今日は3時間も寝過ごしてしまった。彼は飛び起きて、部屋に唯一ある窓を開け外の様子を見た。今は4月30日木曜。4月29日水曜は古田にとって激動の一日だった。古くからの友人、公安特課の富樫に朝っぱらから休んでじっとしてろと言われ傷つき、ぶらぶら外...

151 第140話 25.11.2022

3-140.mp3現在時刻は2時半。陶は携帯電話でパソコンの画面を撮影した。シャッター音スマホに指を滑らせる音マウス音「シャットダウンと…。」席を立ち上がった陶は部屋全体を見回す。誰もいない。「よし…。」スイッチ音ドア閉める音革靴の音響くドアが開く音(遠くで)「ん?」陶は立ち止まった。背後でドアが開く音が聞こえた。いま自分が消灯して出てきた部屋の方だ。ーまさか…誰かいたのか…。汗のようなものが陶の首筋に流れた。...

150 第139話 11.11.2022

3-139.mp3枕元の携帯電話が光ったため、椎名はうっすらと目を開きそこに目を落とす。日付が変わった4月30日の午前1時半だった。ーなんだこの夜中に…。彼は自分の動きを悟られないように、布団を被ったままそれを操作する。空閑からのメッセージだった。「ルークから聞いた。石川の警察電話が不通になる障害が発生している。」「ほう。」「この計画は聞いていないが。」「ヤドルチェンコの仕込みじゃなくて?」「ヤドルチェンコ?」...

149 第138話 28.10.2022

3-138.mp3いつものように頭から布団を被った椎名は、その中でスマホの画面に指を滑らせていた。「ん?」陶からのメッセージが画面に表示された。ー紀伊倒れる…。椎名は即座にそれに返信をする。「何を使った?」「ノビチョクを使った。」「大丈夫か?バレないか?」「心配ない。いま手の者に処分させているところだ。」ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー町の雑踏ハイヒールの足音「お姉さん。」自分を呼...

148 第137話 14.10.2022

3-137.mp3「まぁ座れ。」言われるがままに紀伊はそこに座った。「回りくどいことは無しや。直球で行く。」「…。」「ビショップは空閑。空閑光秀。金沢の進学塾の経営者兼講師。ほうやな。」目の前に座る片倉とは彼は目を合わせず無言である。「黙秘か…。」あきれた顔で彼の様子を見た片倉はため息をついた。「紀伊、お前には期待しとってんけどなぁ…。残念だよ。」「…。」「ま、どうせ一生しゃべるつもりないんやろ。ほうやろうか...

147 第136話 30.09.2022

3-136.mp3玄関ドアの音部屋に入ってくる音「あ!帰ってきた!」画面を見ていた富樫は大きな声を出したため、岡田もつられてそれを見る。「ひとまず…よかった…。」その場に居る二人とも安堵の表情を見せた。「椎名の車が見当たらんっちゅう現場の報告から、多分タッチの差で難を逃れとるやろうと思っとりましたが、これでひとまず安心ですね。」岡田は口をつぐむ。それを見た富樫はしまったという表情を見せた。「ウチから二名だ。...

146 第135話 16.09.2022

3-135.mp3椎名がネットカフェの個室に入ったと報告が入って1時間半。彼に張り付く現場捜査員から変わった様子などの報告は未だない。「そういやいつ頃からやったけ…。週に一回はネットカフェ。これが椎名のルーティンになったんは。」ホットコーヒーに口をつける息をつくマウスの音しばし無音「ワシをすっ飛ばして頭越しに直でやり取りする警察の誰かさんもさることながら、身近で世話してきたワシに悟られんように特高とコンタク...

145 第134話 02.09.2022

3-134.mp3陸上自衛隊兼六駐屯地内の一室で三好は男と向かい合って座っていた。「そうです。我々はいざというときの即応体制を整えるためにいます。水際対策はあくまでもそちらの仕事。我々の存在は保険と考えてください。」「と言うことは、自衛隊としてはその危機が目前にまで迫っているとの認識なんですか。」「何度も言うように我々が動かないに越したことはない。そちらの仕事の内で完結するのが国益としては良とされることで...

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