波華〜namika〜
眠れぬ夜に安らぎを〜泉鏡花の妖し(あやかし)物語
心がざわめいて眠れない夜。そんな時には、美しい言葉の子守唄を聴いてみませんか。明治・大正・昭和初期にかけて薫り高い名作のかずかずを紡いだ作家、泉鏡花。その作品の朗読を、四季折々の自然の音に乗せて送ります。幻想的な作品から日常を描いたエッセイまで。鏡花ならではの耽美な世界と日本のたおやかな情緒をお楽しみください。ホームページでもコンテンツを公開。http://izumikyouka.com感想・リクエストなどもお待ちしています。http://izumikyouka.com/2-2/
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Episodes
黒猫・その11 泉鏡花 29.06.2022 6:54
【明治28年発表】 黒猫・その10のつづきエピソード。 普段は聡明な上杉家令嬢の小夜子が 自身の母と愛猫の黒猫に対しては幼児のようにあどけなく振る舞うように、 絵師の二上秋山もまた、髪結いのお島にだけは心を開いていた。 それは姉と弟のように純粋無垢な感情であったが お島の方は秋山に対して恋心を抱き、いつかは秋山の妻になること望んでいた。 心に秘めた恋心であったが、ある時、思いがけずお島は秋山に気持ちを知られ...
黒猫・その10 泉鏡花 18.04.2022 6:15
【鏡花怪異譚】明治28年発表 黒猫・その9の続きエピソード。 心を許した様子で髪結い・お島に膝枕し、髭を当たって(剃って)もらう秋山。 姉弟ならずも仲睦まじい二人はいかなる関係なのか。 二人は内縁でも夫婦でも、人目を忍ぶ間柄でもなく、性別を超えた信頼で結ばれていた。 秋山は裕福な生家があるものの、商いを継がせたい父兄に反発し、東京の美術学校を卒業した後は絵画の道を極めようとしていた。 生活のために絵を売る...
黒猫・その9 泉鏡花 16.02.2022 6:34
【鏡花怪異譚】明治28年発表 黒猫・その8の続きエピソード。 お島が訪れた粗末な家。 住まいの主は、新進気鋭の絵師・二上秋山(ふたかみしゅうざん)であった。 六畳間に所狭しと散乱している家具や道具。 そこに埋もれるように、秋山は伏せっていた。 お島は体調を崩した秋山を見舞ったのである。 気心の知れた様子で、仲睦まじまそうに軽口をきき合う二人。 煙管(きせる)に火をつけて燻らせたあと、お島は秋山に勧めるのだっ...
黒猫・その8 泉鏡花 28.01.2022 5:37
【鏡花怪異譚】明治28年発表 黒猫・その7の続きエピソード。 富の市の前に現れた謎の女、お島(しま)。 実は腕の良い髪結いで、新橋の名妓・小俊(こしゅん)の嫁入りに付き従って、この田舎町へとやってきたのだった。 お島は金銭にほだされることなく己の眼力で客を選ぶという、見た目に違わぬ気性の持ち主。 土地の富豪の奥方が髪結いを望むのを袖にして向かったのは、粗末なあづまやであった。 そこに住まっていた人物とは―――...
【眠れぬ夜のおしゃべり】竹屋の渡・後編【泉鏡花】 19.01.2022 7:48
案内人・波華が、配信したエピソードについてつれづれにおしゃべり。 眠れない夜やリラックスしたい夜のお供に。 泉鏡花の短編【竹屋の渡】について語る 後編 です。 前編から聴きたい方はこちらからどうぞ https://anchor.fm/u6c34u6708/episodes/ep-e1cn9t2 ※前編 では、作品が発表された明治時代の東京、隅田川沿いの街並みや、主人公が歩いたルートを取り上げています。 今回は、作品に登場する二人の美女について。 ひと時...
【眠れぬ夜のおしゃべり】竹屋の渡・前編【泉鏡花】 12.01.2022 5:38
案内人・波華が、配信したエピソードについてつれづれにおしゃべり。 眠れない夜やリラックスしたい夜のお供に。 泉鏡花の短編【竹屋の渡】について語る前編です。 【竹屋の渡】本編はこちらから聴くことができます https://anchor.fm/u6c34u6708/episodes/ep-e1cn67d 今回は作品が発表された当時の街並みや、主人公が作中で散策したルートをひもときます。 リスナーの皆さまの作品解釈や、おすすめの文献もぜひ教えてくださいね...
【泉鏡花】竹屋の渡【短編】 09.01.2022 6:17
明治31年発表 エッセイ風短編。 隅田川を渡る船着き場「竹屋の渡(たけやのわたし)」での出来事。 まだ桜のつぼみも固い頃、早春の墨田堤へと向かうために主人公と友人は竹屋の渡を訪れる。 渡し船に乗り合わせた中には、婀娜な女性と若い美人の二人連れ。 船が岸を離れてからも華やかに戯れる二人であったが、ふいに一人が、「こんな好い景色の此処へ身を投げたらどうだろう」と問いかけるのだった―――。
黒猫・その7 泉鏡花 09.01.2022 7:15
【鏡花怪異譚】明治28年発表 黒猫・その6の続きエピソード。 盗賊の襲撃が、謎の女によって仕組まれた八百長だったことを知って絶望する富の市。 女はそんな富の市を憐みつつ、企てのいきさつを語る。 高嶺の花である武家の娘・お小夜への想いを遂げるためには、富の市自身が命を賭す覚悟が必要である。 その強い覚悟を見極めるための試練だったのだ。 謎の女は富の市に、想いを遂げたらきっと自ら命を絶つようにと迫る。加えてお...
黒猫・その6 泉鏡花 10.12.2021 6:23
【鏡花怪異譚】明治28年発表 黒猫・その5の続きエピソード。 突然現れた謎の女は、千吉に富の市を襲わせた張本人だった。 しかもまた、女と富の市とは顔見知りだという。 女は事態を納得できない千吉を追い帰したのちに、富の市に事の次第を語り出す。 千吉を使って富の市を襲わせたのは、富の市の覚悟を見定めるため。その覚悟を感じ入った今、きっと富の市の想いを遂げさせてやろう、と改めて女は請け負うのだったーーー
黒猫・その5 泉鏡花 03.12.2021 7:34
【鏡花怪異譚】明治28年発表 黒猫・その4の続きエピソード。 富の市(とみのいち)のお小夜への敵わぬ恋と執着心に同情し、富の市を袖にしたお小夜に、怒りにも似た気持ちを抱く盗賊・千吉(せんきち)。 富の市が思いを遂げるために、千吉はひと肌脱ぐことを持ちかける。 そこへ婀娜な女が声をかけてきてーーー
黒猫・その4 泉鏡花 26.11.2021 8:17
黒猫・その3の続きエピソード。 盲人の富の市(とみのいち)は盗賊に襲われるが、恐るどころか、金品を奪っても良いから殺して欲しいと盗賊に懇願する。 富の市は盗賊に、横恋慕しているお小夜(さよ)への異様な執着を語り出すのだったーーー
黒猫・その3 泉鏡花 19.11.2021 4:26
【鏡花怪異譚】明治28年発表 黒猫・その2の続きエピソード。 清らかな優しさから盲人の富の市に手を差し伸べたお小夜(さよ)。 卑しい心を催した富の市に引き倒され、手籠にされそうになるが、寸でのところで釣りから帰った弟の秀松(ひでまつ)に助けられる。 怒りに任せて富の市を打ちのめそうとする秀松だったが、富の市が頭から血を流しているのを 見たお小夜は秀松を諌めるのだったーーー ※注※ 岩波書店版全集では、原作が一...
黒猫・その2 泉鏡花 04.11.2021 11:20
【鏡花怪異譚】明治28年発表 黒猫・その1の続きエピソード。 武家の娘・お小夜(さよ)のもとを訪ねた盲人の富の市は、なかなか帰る気配がない。 やがて辺りが暗くなり、お小夜たちは鮎釣りに出かけたまま戻らない弟・秀松のことが気にかかる。 お小夜は暮色の戸外に立ち出で、門の前を横切る小川の橋のたもとに佇みながら、秀松の帰りを待つのだった。 けたたましい音がして振り向くと、富の市が転んだ拍子に杖を流れに落としてし...
黒猫・その1 泉鏡花 13.10.2021 24:48
【鏡花怪異譚】明治28年発表 武家の娘お小夜(さよ)は雄の黒猫を飼っている。 その目に入れても痛くないほどの溺愛ぶりにお小夜の母は、(物語「南総里見八犬伝」の中で犬と結婚した)伏姫を重ねてお小夜を揶揄する。 ある日お小夜の家へ盲人の富の市が訪ねてくる。 富の市は生まれつきの盲目ではなく、十六歳の頃に病で視力を失ったのである。 お小夜に恋焦がれる富の市は、慎みなく他家へと出入りをする。 そんな富の市をお小夜...
【泉鏡花】幼い頃の記憶【エッセイ】 10.09.2021 10:32
明治45年発表 鏡花自身が少年だった頃の忘れえない思い出を綴ったエッセイ。 幼かった鏡花少年は、母との船旅で乗り合いになったひとりの年若い女性と出会う。 色が白く美しいその女性は周囲に馴染もうとせず、どこか寂しげに、ひとり水面や空を見つめているのだった。 女性とのただ一度きりの邂逅は、夢か、現(うつつ)か、それとも前世の光景かーーー。
龍潭譚・その10~千呪陀羅尼(せんじゅだらに)~ 01.09.2021 9:23
【鏡花怪異譚】明治29年発表。 龍潭譚その9・ふるさと のつづきエピソード。 魔処・九つ谺(ここのつこだま)から里へ帰った少年・千里(ちさと)。 自分の最大の理解者であった姉のことまでも信ずることができず すべての物事に敵意と警戒心をむき出しにしながら過ごすうちに、心身共に衰弱してしまう。 ある日千里は担がれて遥か石段を登り、大きな門構えの寺の本堂に据えられた。 本堂では数人の僧侶が声を揃えて経文を唱えだす...
龍潭譚・その9~ふるさと~ 23.08.2021 13:01
【鏡花怪異譚】明治29年発表。 龍潭譚その8・渡船(わたしぶね)のつづきエピソード。 老人に伴われて沼を渡り、少年・千里(ちさと)は故郷へと帰ってくる。 家に戻った千里を待ち受けていたのは、嘗ては親しかった友人や親類縁者たちの奇異の目であった。 再会を焦がれた姉ですら、千里のことを神隠しに遭って気がふれてしまったものと思い込んでいる。 毎日周囲からののしられ、あざけられているうちに、千里自身も疑心暗鬼に陥...
龍潭譚・その8〜渡船(わたしぶね) 04.08.2021 9:14
【鏡花怪異譚】明治29年発表。 龍潭譚その7・九つ谺(ここのつこだま)のつづきエピソード。 謎めいた美女の添い寝を受けながら少年・千里(ちさと)は夢うつつの心持ちで美女の寝姿に目を凝らす。 夜明け前の暗がりに浮かび上がる、仰向けに横たわる整った顔だち。 その守り刀を持った白い手を眺めているうちに、千里は自分の母が亡くなった日の姿と 美女を重ねてしまう。 死の影を払おうとして守り刀に手をかけると、刀の切羽が...
龍潭譚・その7〜九つ谺(こだま)〜 15.07.2021 6:51
【鏡花怪異譚】明治29年発表。 龍潭その6・五位鷺(ごいさぎ)のつづきエピソード。 水浴びから上がった美女は、千里に添い寝しながらいくつかの物語を語る。 やがて二人が居るこの場所が「九つ谺(こだま)」と呼ばれることを千里に伝えた美女は、自らの乳房を千里に含ませて眠りへと誘うのだった。 まどろんでいるところへ天井上、屋の棟あたりから凄まじい物音。美女が毅然と音の主を諌めると、音は次第に静まっていった。 それ...
龍潭譚・その6〜五位鷺(ごいさぎ)〜 16.06.2021 7:42
【鏡花怪異譚】明治29年発表。 龍潭譚その5・大沼(おおぬま)のつづきエピソード。 森の中で気を失ってしまった少年・千里(ちさと)。 涼しげな香りに目を覚ますと、柔らかな蒲団の上に身体を横たえているのだった。 頭をあげて見渡すと、庭の先には、青々と濡れたように草の生い茂る山懐が広がっている。 滑らかに苔むした巌角(いわかど)に浮かび上がる、一挺の裸ろうそくの火影。 筧(かけい)から湧き上がるように零れ落ち...
栃の実 31.05.2021 19:07
大正13年発表 金沢から北国街道を経由して東京へと向かう旅路での出来事を綴った、エッセイ的作品。 早朝に宿を出発した鏡花は、武生(たけふ)に着いたところで思案に暮れる。 その年の夏に起きた水害で崖崩れが起こったために、汽車も陸路も不通という知らせを受けていたからである。 ただ一つ、最も山深い難所ではあるが、栃木峠から中の河内(なかのかわち)を通る山越え路は通じているという。 覚悟を決め、険しい峠が重なる...
龍潭譚・その5〜大沼〜 30.05.2021 7:19
【鏡花怪異譚】明治29年発表。 龍潭譚その4・あふ魔が時のつづきエピソード。 黄昏時に現れる魔物から逃れるように、社の片隅に逃げ込んだ少年•千里。 そこへ、千里を探す姉と爺やの会話が聞こえて来るのだった。出掛けにいつも行う魔除けのまじないを、今日に限ってしてやらなかった事を悔やむ姉。 姉への恋しさに耐えかねて表へ飛び出した千里。千里を見つけた姉はすぐに手を差し伸べるが、その顔を見た途端「人違い」と告げて去...
龍潭譚・その4~あふ魔が時(おうまがとき)~ 30.05.2021 6:53
【鏡花怪異譚】明治29年発表。 龍潭譚その3・かくれあそびのつづきエピソード。 夕闇の古社にあらわれた美しく謎めいた女性。 目くばせされるままに暗がりの片隅へと歩み入ったところで、千里は「黄昏時の暗い片隅には魔物が棲むゆえに近寄ってはならない」という姉の教えを思い出して背筋を凍らせる。 左手にある坂道の底からは闇のような瘴気が立ち上るよう。恐ろしさに身を震わせながら狭い社の中に逃げ込むと、冥界から遣わさ...
龍潭譚・その3〜かくれあそび〜 25.04.2021 7:24
明治29年発表。 龍潭譚・その2~鎮守の社~のつづきエピソード。 夕暮れ時にたどり着いた神社の境内では、千里(ちさと)と同じ年ごろの子供たちがかくれあそびをして走り回っている。 「かたい」と呼ばれるこの集落の子供たちは、普段は千里たちと交流することはないが、人恋しい寂しさと安堵の気持ちから、千里は請われるままにかくれあそびの輪に加わる。 隠れる者を探す鬼役となった千里が顔を覆って待っていると、いつしか人...
龍潭譚・その2〜鎮守の社(やしろ)〜 12.04.2021 6:16
【鏡花怪異譚】 明治29年発表。 龍潭譚その2・~躑躅か丘~のつづきエピソード。 躑躅の迷路に囚われてしまった少年・千里。 見渡す限りに咲き乱れる赤躑躅から逃れるため、大波のように起伏する坂道を走りまわるが、出口が見つからない。 日が暮れかかり肌寒くなるにつれ、心細さと姉恋しさは増すばかり。 泣きながら姉を呼ぶと、千里の声に応えるがごとく、遥か遠くに滝の音が聞こえた。 さらにそ...
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