Takashi Jome

考える塾 in TAIPEI

Society JA ↓ 101 episodes

哲学や思想や歴史や心理や脳や倫理などについてのエッセーです。

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Takashi Jome

Category

Society

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May 31, 2025

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Episodes

台湾島の話②歴史の始まり 参考文献「台湾 四百年の歴史と展望」伊藤潔 著 10.05.2021

 歴史学の主な研究対象は、遺された文献資料だ。文字のない時代について委ねられる考古学は、文献以外の資料から人々の生態を推測するが、歴史的事実を示すことはできない。文献資料を証拠として過去の「事実」を再現して示す事は、歴史学に与えられた社会的特権と言える。  台湾島の歴史を始めたのは、外来の諸勢力だった。オーストロネシア語族の発祥地と言われるこの島の住民たちは、まだ文字を必要としていなかったためであ...

台湾島の話①オーストロネシア語族の分岐 参考文献「台湾 四百年の歴史と展望」伊藤潔 著 09.05.2021

 南太平洋の西端に浮かぶ島、台湾島。海峡を隔てて西に中国大陸、南にフィリピン、北に東シナ海、東に日本の西端与那国島が位置する。全島面積は35,915平方km。南北に長いその土地の3分の2を山地、丘陵地が占め、中央にはこの島最高峰の玉山がそびえている。南西部には広大な嘉南平野が広がり、東部には山脈の狭間を花東縦谷が南北に伸びている。  この島は、ユーラシアプレートとフィリピン海プレートが交差する境界...

賢者の巻物⑫「知の考古学」ミッシェル・フーコー 08.05.2021

 歴史は、例えば革命とか戦争とか経済発展とかについて、その因果関係の説明のために語られる物語だ。軍国主義から戦後民主主義へ至る物語、東西冷戦から自由主義の勝利へ至る物語、「ゆとり教育」から「脱ゆとり」へ至る物語等々。人々はこれらの物語を通して過去を知る。この様に、あるまなざしを基にした解釈を物語るのが歴史の仕事。対して考古学の仕事は、ピラミッドや兵馬俑や古墳など、過去の遺物を発掘すること。歴史によ...

賢者の巻物⑪「悲しき熱帯」クロード・レヴィ=ストロース 08.05.2021

 世界的にはスマートフォンが携帯電話市場に広まりつつあった2010年代前半、日本では費用・サービス・操作性等で独自の進化を遂げた従来型の携帯電話がいまだにシェアの半分を占め、根強い人気を誇っていた。これをガラパゴス携帯、略してガラケーという。南米大陸の西方にあるガラパゴス諸島が、孤立しつつ独自の生態系を育んだように、外部の環境から閉ざされた特殊な市場・社会が独自の商品やシステムを育むことを、ガラパ...

賢者の巻物⑩「相対性理論」アルベルト・アインシュタイン 08.05.2021

 駅を通過中の列車の中でAさんが、プラットホームでBさんが、同時にボールを下に落とす。床までの距離はどちらも1m。AさんもBさんも、自分のボールは真下へ向かっているように見える。しかし、列車の速度で進むAさんのボールを静止しているホームのBさんが見ると、電車の進行方向斜め下向きに進んでいる。三平方の定理により、≪電車の進行距離≫²+≪Aさんの手から床までの距離≫²=≪Aさんのボールが移動する斜め下向きの...

賢者の巻物⑨「遠野物語」柳田國男 30.04.2021

 「存在」とは「用具性」をもって「ある」ことだ。哲学者ハイデガーはそう言明した。でも、存在にはもう一つの性質、「他者性」がある。  日本語で「存在する」は、「ある」の他に「いる」とも言う。日本では古来全ての存在は、「他者」として「いる」ものだった。存在者から他者性を切り捨てると、用具性だけが残る。人間にとって、存在から他者性を切り捨てて用具性を見出すことは、合理的になることを意味する。近代合理主義...

賢者の巻物⑧「存在と時間(下)」マルティン・ハイデガー 28.04.2021

 「武士道と云ふは死ぬことと見つけたり。」江戸時代中期に著された武士道倫理の名著「葉隠」の一節である。人間は、他人と交換できない己の「死」へ臨んだ時、他人と交換できない己の「本来性」へ呼び戻される。そして、本来あるべき自己の可能性へ自分を投げ入れる選択の自由を獲得する。「死」に臨む「生」を知るとき、「在るべき生」を生きる可能性も開かれる。  幼い頃、死ぬのが怖かったことはないだろうか。死について教...

賢者の巻物⑦「存在と時間(上)」マルティン・ハイデガー 26.04.2021

 机の引き出しからなくなったトンカチを探したら、机の上にあった。トンカチが宙に浮かない理由を考えたら、万有引力の法則があることが分かった。教科書で調べたら、ニュートンがこの法則を発見したという事実があった。物がある。法則がある。事実がある。何かがあるかどうか、私達は探したり考えたり調べたりする。もちろん、物事が「ある」ということがどういうことかなんて分かっている、つもりだ。でも、「ある」って何?と...

賢者の巻物⑥「一般言語学講義」フェルディナン・ド・ソシュール 24.04.2021

 初めに言葉ありき。人は言葉を交わしあうことで、社会を営む。人間にとっての現実とは、社会的現実だし、社会的現実とは、言語という記号の織りなす現実だ。  日本では「蝶」と「蛾」を区別するが、フランスでは両者はともに「パピヨン」と呼ばれる。生物学的にも同じ鱗翅目で、明確な分類はない。それでも、日本で蝶と蛾は違う虫だ。ブリの煮物とハマチの刺身、料理しか見たことのない者にとってはそれぞれ別の魚だが、知る者...

賢者の巻物⑤「妖怪学」井上円了 24.04.2021

 夏と言えば「お化け」。日本の風土は、夏に蒸し暑く、寝苦しいこともあり、昔から、お化けは夏によく出る。  お化けにもいろいろあるが、日本では大きく妖怪と幽霊に分けられる。妖怪とは、様々な場所で起こる不可思議な現象に与えられた名前のことであり、幽霊とは、恨みを抱いた死者の怨念のことだろう。どちらも科学的・物理的には実在しない。にもかかわらず、お化けは実在してしまう。  ゲゲゲの鬼太郎と握手はできないが...

賢者の巻物④「プロテスタンティズムの倫理と、資本主義の精神」マックス・ウェーバー 24.04.2021

 欲望が景気を活性化する。資本主義経済は、労働者を搾取する資本家の貪欲な利潤追求と、消費者のこれまた貪欲な消費欲を、システムとして不可欠とする。だから、積極的に欲望が鼓舞される。欲望こそが、資本主義の精神的原動力だ、と普通は思われている。  だが、グローバル化した現代の国際経済を形成した近代資本主義は、営利追求を徹底的に敵視する、キリスト教プロテスタントの原理主義的な禁欲倫理がなければ、生まれてこ...

賢者の巻物③「経済学・哲学草稿」カール・マルクス 24.04.2021

 我々は、グローバル化した資本主義社会を生きている。それは、自らの意志と努力によって夢を実現できる社会、ということになっている。様々な事業、最近ではIT関連で億万長者になった企業家や投資家たちの存在が、それを実証してはいる。だが、その一方には、就職難・リストラ・非正規採用などの理由で、安定した所得を得られない層もいる。また、モノカルチャー経済の下、先進国市民の贅沢心を満たすために、低賃金で長時間働...

賢者の巻物②「論理哲学論考」ルートヴィッヒ・ヴィットゲンシュタイン 24.04.2021

 哲学には、一つの最終解答が示されている。「語り得ぬことについては、沈黙しなければならない」という解答が。  様々な事実が言語に写し取られているから、人間は言葉を使って語ったり(他人に説明したり)、考えたり(自分に説明したり)することができる。そして、説明が成立するには、言語が論理規則という条件を持っていることが不可欠である。例えば、事物をXとYの座標に写し取れば、その場所や形を座標の規則に従って...

賢者の巻物①「善の研究」西田幾多郎 24.04.2021

 欲望のままに生きる者が、道徳的な理想に向かう者へ、「お前のしていることも自分の願望をかなえるための行動だ。つまり俺と同じく欲望で動いているわけさ。行動ってのは、みんな欲から生まれてるんだ」と言う。人間と動物の行動の動機を、「欲望」の結果として認識し説明しようとする欲望一元論。  これは確かに分かりやすい。だが、行動についての認識と説明の怠慢でもある。人間も動物も、残念ながらそれほど単純にはできて...

哲人の記⑫フリードリヒ・ニーチェ 23.04.2021

 もしも、今生きているこの人生が、来世でも全く同じように繰り返されるとしたら。苦しみ多きこの人生が、何度も何度も永遠に繰り返されるとしたら・・・。  19世紀後半のヨーロッパ、技術革新と産業革命によって近代合理主義は大衆化し、キリスト教の世界観は科学的な常識に圧倒される。かつて科学者ガリレイの地動説を否定したローマ教会の説く宇宙観にもう権威はなく、人格を持った神は、妖精や魔女などと同様、非科学的な...

哲人の記⑪ゲオルク・ヴィルヘルム・フリードリヒ・ヘーゲル 23.04.2021

 一人の人間が生まれ出る。彼の意識には無数の色や音や臭い触感が現れる。そこに「物」が確かにある、と意識は思う。しかし、目の前の「物」は、私が後ろを向けば姿を消してしまう。でも、意識は継続してある。確かにあるのは私(意識)の方、と意識は思う。この「物」と意識の対立は、目の前の「物」が、継続する意識の中に継続して現れることで「それがある」という確かな「事」となって統一される。これが知覚だ。  やがて彼は...

哲人の記⑩イマヌエル・カント 16.04.2021

 理性とは、どこまで正しいものだろう。理屈は通っていても、おかしな論理はある。白を黒にひっくり返す弁護士の詭弁は、大変頼もしいものだが、理に適ってはいても正しいとは感じられない。でも、間違いも指摘できない。  18世紀のヨーロッパ、ドイツ人のイマヌエル・カントは、理性について考えた。理性はどこまで正しく、何のためにあるのか。  彼はまず、正しい認識とは何かを考えた。そして、事物が人間に認識されるので...

哲人の記⑨ブレーズ・パスカル 14.03.2021

 何かを認識することと何かを信頼することは、別のことだ。神についても、その存在を認めることとその存在を信頼することは、別のことである。  神は、科学的には観測できない。その点では、物理的には実在しない正義や愛、あるいは基本的人権や民主主義や平和などと等しく、実在についての科学的根拠はない。人間の人格も、その人の友人や恋人、家族、あるいは敵によって認識のされ方が異なり、科学的には特定できない。だが、...

哲人の記⑧ルネ・デカルト 12.03.2021

 様々な事象についてなされている一般的な説明は、本当に正しいのか。世間的通説は往々にして覆されるし、歴史上の事件から健康科学まで、学説・定説とされていたものが覆されることも少なくない。何が真実、何が真理か分からない時、疑えそうなことは全て疑ってみるという方法がある。方法的懐疑。  「我思う、故に我あり」とは、全ての知識や感覚、世界と自己の存在、そして神まで、疑いえる全ての事物を疑った16世紀の哲学...

哲人の記⑦パウロ 08.03.2021

 先哲の深遠な思想や哲学を学び、定められた戒律や法に従って日々精進すれば、シャカの説く仏陀や、孔子の説く君子や、荘子の説く真人など、理想的な精神状態を獲得できるのかもしれない。だが、それは誰にでも到達できる境地ではない。もし、知識・教養・哲学に縁の無い一般民衆など、万人に開かれた精神の幸福な境地があるとしたら、それを手にするか否かは個々人のお気に召すままだ。  古代ユダヤ人は、エジプト王朝の王族だ...

哲人の記⑥荘周 08.03.2021

 音が聞こえる。でも、あなたがいなければ、そこにあるのは空気の振動だけだ。空気振動を音に変換する聴覚を持つ生き物がいなければ、音は宇宙空間に存在しない。物が見える。でも、あなたがいなければ、そこにあるのは光の波動だけだ。光を色・映像に変換する視覚を持つ生き物がいなければ、映像は宇宙空間に存在しない。音や色に限らず、匂いも味も質感も、生き物の五感がなければ世界に存在できない。  あなたの前に机と椅子...

哲人の記⑤孔丘仲尼 16.02.2021

 人間は社会的動物である。互いに関係を持ち、共存していくために、秩序のネットワークを集団的に構築する。子供は、所属する人間集団のルールに取り込まれ、ネットワークを構成する端末の一つとなることで、初めて、ただの生物でない人間となる。人間社会は二つの大きなルールによってネットワークが構築されている。一つは言語であり、もう一つは礼儀だ。外国人が、居住する異国の地で最も困り、最も気にするのもこの二つだろう...

哲人の記④ゴータマ・シッダールタ 16.02.2021

 花壇に花が咲いている。なぜか?誰かが種を植えたから。空から雨が降ってきた。なぜか?上昇気流で雨雲ができたから。あらゆる事物には、それを生み出す原因がある。原因がなければ、事物は生まれてこない。「此があれば彼があり、此がなければ彼がない」。全ては何らかの原因によって生じる。昨日は今日の、今日は明日の原因となる。何かの原因は他の何かを原因として生じた結果であり、その原因もまた何かの結果である。何もの...

哲人の記③アリストテレス 16.02.2021

 三平方の定理からフェルマーの最終定理まで、数学の世界にはたとえ地球が滅んでも変わることない絶対不変の定理がある。科学の世界でも、ニュートンの万有引力の法則やアインシュタインの相対性理論で示された数式は、絶対不変のものである。  だが、数式は不変でも、万有引力の法則と相対性理論では、世界観に大きな差がある。前者は万物が質量に応じて持っている「引きつける力」を重力と説明するが、後者は重力を「時空の歪...

哲人の記②プラトン 16.02.2021

 インド人の食べるカレーは日本人には辛すぎる。日本人の食べるカレーもインド人には淡白だ。おいしいものは人によって違う。だが、好みの味が異なる二人の人間がいて、互いにおいしいと感じるものが違っても、どちらも「おいしい」という言葉は使う。同様に、何が美しく、何が正しいかは、時により、人により異なることがあるが、「美しい」とか「正しい」とかいった概念は普遍的に変わらずある。感覚は相対的だが、概念は絶対的...

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