大沼竜也
身体の教養ラヂオ
大沼竜也(おおぬま・たつや)鍼灸師。1991年宮城県生。身体の教養──自分の身体の状態を感じ取り、自分で調整できるようになること。読み書きと同じように、誰もが身につけるべきリテラシーだと考えています。漠然とした不安、疲れ、行き詰まり。その原因を思考で探しても、また同じ不調が戻ってくる。身体の状態が変わっていないからかもしれません。身体は常に何かを感じています。あなたが気づいていなくても。この「感じ」が、気分も判断も行動も──暮らし全体を方向づけています。身体の構造を知り、自分の身体に通し、感覚が立ち上がる。コーヒーを飲む、本を開く、誰かと話す。行為は同じでも、身体の状態が変われば暮らしの質が変わります...
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毎日が同じことの繰り返しでむなしい|岩を押し続けた男の話 07.07.2026 52:10
毎日が同じことの繰り返しで、何のためにやってるのかわからなくなることがあります。 その「何のため?」が消えている時間が、身体にはあります。夢中でやっているときです。 岩を押し続けた男の話から、「希望」の意味を取り戻す回です。 最も伝えたかったのは、 大事にすべきは、どんな構えを保とうとするか、その意思が幸福の起源であるということ。 身体が合理的になれば、むしろストレスは楽しめるものになるのです。辛いも...
人と会うとぐったりするのは、なぜ?|繊細だから疲れるんじゃない 30.06.2026 1:00:51
人と会うと、どっと疲れる。「私、感受性が強すぎるのかもしれない」。そう感じることはないでしょうか。 でもその疲れは、弱さというより、相手の体験に触れて自分の中の体験が呼び起こされ、増幅して、自分を飲み込んでしまうから起きているのかもしれません。 コミュニケーション三部作の最終回。繊細さの正体と、飲み込まれずに人と関わる「戻り方」を、身体の視点からゆっくり話しています。 ―――――――――― 【チャプター】 0:00...
相手が遠く感じるたったひとつの理由|共感とは、体験の共有である。 22.06.2026 35:07
「わかるよ」と言いながら、本当に伝わっているのかなと不安になることはないでしょうか。自分には共感力がないのかも、と感じている方もいるかもしれません。 でも共感は、相手をよく観察する技術ではなくて、自分の中に眠っていた似た体験が呼び起こされる「体験の共有」なんです。だとすると、鍵は相手ではなく、自分の体のほうにあります。 コミュニケーション三部作の第2回。共感とは何かを、身体の視点からゆっくり話してい...
会話で大事なのは、何があったかじゃない 16.06.2026 39:44
「ちゃんと話を聞いたつもりなのに、なぜか相手とのあいだに距離ができてしまう」。 会話で大事なのは、何があったかという事実ではなく、どう感じたかという体験のほうなのだと思います。そしてその体験は、頭ではなく身体に起きています。 対人支援を仕事にしている方も、そうでない方も。あなたと、目の前の誰かとのあいだに毎日起きていることの話です。 この夏の私塾募集にあわせた、コミュニケーションをめぐる三回シリーズ...
「変われない」と「知ったかぶり」|宮崎駿と知ったかぶりの身体 07.06.2026 49:41
本を読んでも、学んでも、なぜか変わらない。 それは頭が悪いからではなく、画面を指でなぞるように「知った気」になっていて、身体がどこへも出かけていないからかもしれません。 宮崎駿が十五年前にiPadへ放った一節を手がかりに、「わかる」と「知ったかぶり」の境目を、身体から考えてみます。 スタジオジブリのフリーペーパー『熱風』2010年7月号「ぼくには、鉛筆と紙があればいい」。そこで宮崎駿は、画面をさする手つきを「...
【後編】子供の飛び方から、大人の飛び方へ|身体の教養とは何か 02.06.2026 26:08
自分を分析するツールはたくさん試した。MBTI、HSP、ストレングスファインダー、エニアグラム。自己理解はできているはずなのに、なぜか生きやすくなっていない──そんな停滞を感じたことはありませんか。それは「俯瞰で意識的に見つめる」つもりが、いつのまにか頭の中だけで完結する「思考の檻」になっているからなのかもしれません。今回は宮崎駿監督の「俯瞰で意識的に見つめる」を身体の方から読み替え、「身体の教養」とは何...
【中編】考えても答えが出ないとき|キキが飛べなくなった日 31.05.2026 13:59
考えても考えても答えが出ない。でも考えるのを止められない。いつもと同じはずなのに、急に自分が言うことを聞かなくなる──そういう夜、ありませんか。それは思考力の問題ではなくて、「身体図式」というあなたの中の無意識の当たり前が、状況の変化に追いつけなくなっているサインなのかもしれません。今回はキキが突然飛べなくなった日に身体で起きていたことを、メルロ=ポンティの「習慣の獲得は身体図式の組み換えである」と...
【前編】キキはなぜ飛べたのか|宮崎駿『血で飛ぶ』と身体の話 28.05.2026 12:30
何も考えずにできていたことが、ある日急にできなくなる。子供の頃は当たり前にできていたのに、今は同じことがどうしてもうまくいかない──そんな感覚を、誰しも一度はくぐっているのではないかと思います。その「できる/できない」を分けているものは、意志の強さでも頑張りの量でもなく、身体に組み込まれていた「ある条件の整い方」だった。今回は魔女の宅急便のキキを起点に、その「整い方」の正体を身体論の側から読み解いて...
信頼は、結果と関係がない|裏切られても、傷つけられてもそれで良いと思える? 26.05.2026 16:43
人を信頼するって、本当はどういうことなんだろう。 信頼は、たぶん、結果と関係がない。信頼するから、関わり続ける。 質問回答エピソード後編です。前編からの続きですが、後編単独でも聴けます。 「やっぱりクズだった」と判定して離れる動きは、もう信頼の話ではないのかもしれない。それは、結果の答え合わせ。 信頼そのものは、結果に関わりなく、その手前で動いている。 そんな整理を、現象学のエポケー(判定の保留)、イエ...
人間不信になりそう|人を見抜くことは「不可能」なの? 24.05.2026 17:16
いろんなことが重なって、人間不信になってしまいそう。「やっぱりクズだった」を繰り返してしまう人、人を見抜こうとして疲れている。 そもそも、人を見抜くということが原理的に難しいのではないか、という話をしました。 癖と野生のあいだで、身体に何が起きているのか。質問回答エピソード前編です。 ソマティックスタジオサポーターからいただいたDM質問への回答です。 最初の印象では良くない感じがした人。 話してみたら心...
【後編】コリと疲労と鬱な気分|脳疲労が原因だった? 22.05.2026 14:56
「取れない疲れは『脳疲労』が原因かも?」シリーズの後編です。前編・中編で脳疲労のメカニズムと、身体動態瞑想の入口までお話ししてきました。今回はもう一段深く、宮本武蔵が示した「ゆるみ」の深さと、それを日常に織り込んでいくところまで、お話ししています。 後編(今回)でお話ししているのは、こんな内容です。 ・宮本武蔵『五輪書』にある一節──「心を静かにゆるがせて、其ゆるぎのせつなも、ゆるぎやまぬやうに、能々...
【中編】コリと疲労と鬱な気分|脳疲労が原因だった? 20.05.2026 20:55
「取れない疲れは『脳疲労』が原因かも?」シリーズの中編です。前編では脳疲労のメカニズムと、アスリートの脳疲労の話までしました。今回はその続きから、現代人がなぜ脳疲労を抱えやすいのかという構造の話と、対処としての「身体動態瞑想」の導入まで、お話ししています。 中編(今回)でお話ししているのは、こんな内容です。 ・座位時間そのものが運動量とは独立して身体に効いてくる──100万人を超える人々を統合した2016年...
【前編】コリと疲労と鬱な気分。脳疲労が原因だった? 19.05.2026 20:41
寝ても疲れが取れない。週末に休んだはずなのに、月曜の朝にはもう体が重い。激しく動いたわけでもないのに、夕方には頭がぼんやりして、目の奥が痛い。検査をしても異常は出ない。「年のせい」「ストレス」と言われて、それ以上の言葉が続かない──そういう疲れの正体について、僕は「脳疲労」という言葉で捉えています。 今回から3回に分けて、脳疲労とは何か、なぜ起きるのか、どう向き合うかについて、臨床と現代の神経科学の両...
自己愛が歪むと、人は差別したくなる?|陰謀論者と他責思考は藁をも掴む 13.05.2026 52:13
「あの人のせいだ」「中国人のせいだ」「あの世代のせいだ」── SNSを開けば一日中、誰かが誰かを糾弾している。気づくと自分も巻き上げられて、傷ついて、なんだか疲れている。 なぜ、人は誰かを悪者にしたくなるのか。 最近、こんな言葉を聞きました。「絶望を知らないからクズになる。だから誰かのせいにしたくなる」と。 確かに一理あります。けれど、深く考えてみると、見えてくるものがありました。 絶望って、「想像」でもあ...
禁欲ってどうなの?|身体論から見る「快楽」の捉え方 08.05.2026 30:12
「幸福とは〇〇だ」のラヂオを聴いてくださったある方から、こんなご質問をいただきました。 「禁欲についてもう少し詳しく聞きたい。性欲が強くて悩んでいる場合、その欲求に従うことでその時は快に向かうのですが、事後毎回不快な気持ちになります。寂しいというか虚しいというか。これを解消するにはどのように体と向き合えばいいのでしょうか。どれが自分の声かわからなくて」 すごく大切な問いだと感じました。今回はそのご質...
幸福とは〇〇だ|身体論から見る幸福論 01.05.2026 1:12:30
「幸せになりたい」と人は言う。けれどその幸せがどこから来るのかを明確に答えられる人は、ほとんどいないのではないでしょうか。 19世紀ドイツの哲学者ショーペンハウアーは「幸福は積極的なものではない、苦の不在にすぎない」と書きました。人生は欲望と退屈のあいだを揺れる振り子である、と。 今回はこの振り子モデルに、身体論の側から読みを重ねていきます。古代ギリシアのアリストテレス(エウダイモニア)から、エピクロ...
しなやかで強い心は身体からつくることができる|精神性と身体 28.04.2026 12:21
身体を鍛え、心を育む。 他国と比較しても、日本には独特な精神が根付いています。 それが、心と身体は表裏一体の同じものであり、 「身体を鍛えることで精神性を育む」という思想です。 「健康が大事」とかの類ではない、身体という希望の世界を新体論の観点からご紹介します。 ※この動画は以前に作成したもので、すでに公開済みのものを再利用しています。既知の方はすみません。初めて見るという方は、こうしたテイストも面白い...
「私らしさ」とは「匂い」である 21.04.2026 1:23:18
「私はこういう人間だから」そう思うこと、ありますよね。 人見知りだから、緊張しやすいから、気が弱いから──いろんな言い方がありますけど、そういう自己認識って、どこから来ているんでしょうか。 生まれつきの性格。よく言われます。でも、施術室で毎日、人の身体に触れていると、ちょっと違う景色が見えてくるんです。 性格と呼んでいるものの正体は、長い時間のなかで身体に染みついた「匂い」のようなものかもしれません。...
あなたの「人見知り」は肩が覚えている|「性格」という「癖」シリーズ 14.04.2026 52:35
人と話すのが苦手で、会議で発言を求められると肩が耳まで上がってしまう。頭では「大丈夫」と分かっているのに、胸が閉じる、息が止まる。 17年間、身体に触れてきて気づいたことがあります。「人見知り」の正体は、心の弱さではなく、身体の防御反応が固定化したもの──つまり「癖」ではないか、と。 今回は『セルフリセット』第3章をベースに、身体図式、防御反応、そして「性格」と呼ばれているものの解像度を上げていきます。2...
「ゆるむ言葉」言葉ならぬ言葉が、私たちをやらかくしてくれる。 10.04.2026 14:29
「力を抜いてください」と言われても、なかなか抜けない。でも「だらーっとしてみてください」と言うと、肩がほどけて息が落ち着いてくる人がいます。この差は一体何なのか。 今日はオノマトペの話です。だらー、ふわー、じんわり。子どもの頃に使っていた、言葉にならない言葉たち。 イメージというのは、空想でも妄想でもありません。レモンという言葉で口に唾液が湧くのは、かつて体で経験した酸っぱさが呼び戻されているからで...
「何をしても治らない」意識の方向を変えるだけで、変わりはじめます。 07.04.2026 29:53
ストレッチ、筋トレ、サウナ、ヨガ──いろいろやっているのに身体が楽にならない。そんなお悩みに答えます。 足りないのはメソッドではなく、自分の身体を感じ取る力のほうかもしれません。同じ動きを繰り返すと脳が感覚を間引いてしまう仕組み、「身体に気をつけているつもり」と「実際に感じ取れている」の乖離、そして感じようとすること自体が運動を変えるという話。 同じストレッチでいいんです。やりながら意識の矛先を変える...
暮らしが身体を壊す。暮らしが身体を直す。 03.04.2026 34:23
折坂悠太さんの「寂しさ」を聴いて、その余韻のまま一日を過ごした。 コーヒーを飲んでも、仕事をしても、なんかいつもと違う。あれ、今俺「丁寧な暮らし」してる?──そんな体験から始まる話です。 丁寧な暮らしって、お気に入りのアイテムで周りを囲むこと、時間を贅沢に使うことだと思わされがちだけど、 体がゴワゴワで苦しい状態で「今日はゆっくりしていいよ」って言われても、あんまりいい時間にならない。 逆に体がほぐれて...
自分探しの答えは、〇〇にある。 01.04.2026 28:03
MBTI、HSP、エニアグラム。自分を知るためのツールは、たくさんあります。 でも、ラベルが増えても「自分がわかった」という実感が来ない、という方が少なくないんですよね。なぜなのか。 千葉雅也『センスの哲学』にヒントがありました。千葉はセンスを「直観的にわかること」と定義しています。分析して導くのではなく、パッとわかる力のことです。 この「パッとわかる」が機能するには、前提があります。身体が感じ取れる状態に...
【メンタル回復法】鍼灸師が教える入浴法 24.03.2026 39:15
鍼灸師で身体論研究者の大沼竜也が、温泉に入るときにいつも意識していることをお話しします。 「溶けるように力を抜いて入る」──ソマティクスの視点から、ただの入浴ハックでは終わらない、身体感覚を軸にした温泉の入り方。 ・入水時に力まない練習 ・坐骨で座り、呼吸で内臓を動かす体操 ・露天風呂で「頭寒足熱」を実現する(東洋医学の視点) ・水風呂=現代の滝行。交互浴の極意 ・温泉で培う"構え"は、日常の苦手...
話が通じない人はなぜ勉強熱心なのか|人を学ぶほどに陥りやすい落とし穴 19.03.2026 35:35
「施術のとき何をしてるんですか?」とたまに聞かれる。正直に言えば、わからない。触れている、感じている、応答している、促している。四つが同時に起きていて、順番が説明できない。 養老孟司の「手入れ」という言葉がしっくりくる。でも植物と人間はちょっと違う。庭師は一方的に応答するけど、人間に触れるときは、相手が自分で自分の手入れをできるようになることを促している。庭師が庭師を育てている。 「この筋肉は硬い。...
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